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    yuribaradise

    @yuribaradise

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    MAIKING創望のSS(途中) 怖い夢を見てしまったぼんの話怖い夢を見たんだ。そう言った望の瞳は不安げな色をしていた。ちょうど今この時刻に迫る宵闇のように、光が届かず途方に暮れている様を映し出しているみたいだった。
    「おばけの夢とか? ぼん、苦手だもんね」
     創真は優しく問いながら望を労わる。しゅんと力無く落ちてしまった肩をさすって、微笑みかけた。
    「ううん、違う……」
     目をぎゅっと瞑って首を思い切り横に振り、望はその問いに対し否定をする。やっと絞り出されたようなその声は僅かに掠れていた。
    「おばけなんかより、もっと怖いヨ……」
    「ぼんがそんなに怖がるなんて……いったいどんな夢を見たの?」
     望が人一倍ホラーやオカルトが苦手なことは創真もよく知っていた。他に彼が怖がるものはあっただろうか。考えてみたが思い浮かばず、再び問いを投げかけるしかなかった。
    「ぼん?」
     返事が返ってこない。きっと聞こえなかったわけではないはずだが、望は顔を曇らせて口を固く結んでいた。何かおかしい。そう感じて創真は呼びかける。もうすっかり呼び慣れたあだ名で。
    「……ソウちゃんが、いなくなっちゃう夢」
     悲痛な涙声は夜の静寂の中に吸い込まれていくようだった。
     創真は目 909

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    PASTこれも過去作 初めて書いた晶蛍でした今日もいつも通り。授業を受けて、練習をして、手の掛かる幼馴染みの世話をして。物好きな彼主催のお茶会に駆り出されれば、大勢が求めているであろう笑顔を振りまく。特に代わり映えのしない日常だ。まったく晶は、どうしていつもそんなに心から楽しそうに笑っていられるのだろう。
    「蛍、大丈夫かい?」
    「何が?」
    「最近浮かない顔をしていると思ってね、もしかして疲れているんじゃないかい?」
    「……くくっ、何かと思えば……心配には及ばないよ」
     一瞬、息が止まってしまうかのような思いがした。晶は妙に鋭いところがある。感情を抑えることなんて僕にとって容易いはずなのに、彼の前では隠し事ができないのではないかと時々考えてしまう。だが僕は疲れてなんかいない、いないはずだ。清々しい気分かと問われればそれは否定してしまうけれど。自分でもこの心の中にある一点の曇りのようなものが何なのか、わからずに落ち着かないでいる。
    「何かあったらいつでも言ってくれよ。大親友の俺がいつでも相談に乗ろう!」
    「はいはい。それよりも早く練習に行こう、また君の天使様の機嫌を損ねてしまわないうちにね」
     その日も練習は卒なくこなして、何事もな 6206

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    PASTぽいぴくで文章投稿できるようになったと聞いて過去作で投稿テスト 初めて書いた創望小説ですテスト前。多くの学生にとっては憂鬱な期間である。寮の部屋、図書館、放課後は皆それぞれの場所で勉強に励んでいるが、たまには一緒に外に出て気分を変えてみようと望は提案した。その誘いに乗った創真はこうして望と二人、街の喫茶店を訪れていた。
     壁際の、一番奥の席。たまたま空いていたそこは静かで落ち着ける場所だった。
    「ラッキー! この席空いてるなんてついてるヨ~!」
     今日の占いもイイ感じだったし、と笑みをこぼしながら言う望の声は弾んでいる。飲み物の注文を済ませ、早速本題に取り掛かる。しかし創真の取り出した教科書を見て望の顔が少し強張った。
    「えっ、ソレからやっちゃう系?」
    「ん? 一日目の科目だったしね」
    「化学マジ苦手~!」
     ちょっとオーバーリアクションで頭を抱え項垂れる望を微笑ましそうに眺めながら、『俺は好きだけどなぁ』と創真は穏やかな声で返す。
    「だって化学式とか全然わかんないし~……」
    「俺にまかせて? 手取り足取り教えてあげるよ♡」
    「やった! ソウちゃん先生お願いしますっ!」
     望は顔の前で両手を合わせ、拝むようなポーズをして少しおどけて見せてから、今度は幾分か真剣な顔になる。 6133