──このまま雨の中に呑み込まれて、消えてしまえれば良いと思った。
スノーボーダーとしてやっていけない様な大怪我を経て、何の縁だかジムリーダーをやる事になった。今のぼくに残された、唯一と言っても過言ではない、課された責務をどうにかこなしていく。ポケモン勝負は嫌いではない。だから、特に戦闘方面での支障は無かった。
けれど、ジムに挑む最終試練となるに等しいぼくの元にやって来る学生が、戦況が劣勢になっていくにつれ、段々と憔悴していき、諦めてしまう様が、嘗ての自分と重なって見えて。何度も何度も挑戦しても勝てずに、最終的に諦めてしまう様に、あの頃の自分を思い出して。
それを何回も何回も繰り返して。
──ある日、それに耐え切れなくなって、ナッペ山から逃げ出した。
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