彼 に 会 え な い 理 由「ねーえ!今日こそ会わせてよー!」
これで何回目?そんなの覚えてない。
神聖ローマがいなくなって何年だったかも忘れちゃうくらい時間が経っていった。プロイセンに弟ができたと聞いて会えることを楽しみに過ごしてる。プロイセンは俺のこと好きだし最初はすんなり「イタリアちゃんなら良いぜ!」って言って会わせてくれるとイタリアは信じてた。でも違った。
「すまん、イタリアちゃん。会わせてやりたい気持ちは山々なんだけどよ。生まれ方が少し特別でな…どうしても今は会わせてやれねぇんだ…。」
何故?何故特別だと会わせてくれないの?イタリアはどうしてもプロイセンが会わせてくれない理由が理解しきれなかった。何か含みがある…何か隠されてるような気がすると思いどうしても諦める心持ちが持てなかった。勿論、オーストリアやハンガリーにも会えるよう頼んだ。だが、2人もイタリアを会わせる事は認めなかった。プロイセンもオーストリアもハンガリーも口を揃えて「イタリアの為」という。
ある日、オーストリアが少し遠出をするということでプロイセンとハンガリーもそちらの方を少し気にかけていた。
今しかない!
イタリアはこの状況をチャンスと思いプロイセンの家、もといドイツの家へ向かうことにした。勿論、認められてない為お忍びでまだ小さいであろうドイツにもバレぬよう窓越しに見ることを目的とした。
あの3人が過保護に守ってる国だ。きっと自分が覗いても気付かない。そう思いながら、警備を掻い潜り、人影目立つ窓際まで来た。
やっと見れる。そして待ちに待ったと期待の思いを強く込め窓を覗いた。
「……神聖ローマ?」
自分でも分かる。何度も見てきたから神聖ローマではないことくらい分かっている。
そう、神聖ローマが帰ってくる幸せな夢は何度も見てきたから。そして、その度に味わうのはもう帰ってこないという事実。全て理解している。でももし彼が神聖ローマなら…そういう期待を自分にさせない為にプロイセンやオーストリア、ハンガリーが自分を彼、ドイツに会わせなかったこともイタリアは理解した。イタリアがこよなく愛した神聖ローマに瓜二つな彼の瞳がキラリと光り、イタリアと目が合いかけ、思わずしゃがんだ。
「明るい…。」
ドイツの瞳は神聖ローマよりも明るかった。
「俺はきっと、あの子とはまた別の愛をドイツに送るんだろうなぁ…。」
プロイセンにワシャワシャと撫でられている彼をみて改めてイタリアはそう思った。