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    雛鳥🐣

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    雛鳥🐣

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    ぷにち小説っす!
    これから更新していくね☆

    " 日本がプロイセンと付き合い始めたらしい "
    それはフランスから、イタリアから、ハンガリーからとそこかしこからじわじわと広まっていった。
    フランスはアメリカとイギリスに伝えたらしく、「あの坊っちゃん、失恋で一週間も寝込んでその後無理矢理俺をバーに連れ出していつも以上に酔い荒れて後始末が大変だったよ。」と物語った。
    イタリアはドイツに伝えたらしく、ドイツは当の本人から聞けなかったことに悲しんだ。「兄と友人が…」と酷く驚いているようだったが「そんな深い関係のある自分が幸せを願わずに誰が願う」と2人の幸せを祝った。
    ハンガリーはオーストリアに伝えたらしく、彼もドイツと同様に驚いたが、ドイツと同様に認めもした。
    また、その流れはじわじわと世界に広まり始めていた。

    日本が何よりも警戒していたのは中国であった。自分の兄を自称する彼が「日本とプロイセンが付き合ってるらしいぞー。」なんて聞いて「へー、そうあるかー幸せになるよろしー。」などと簡単に受け入れてくれるはずがない。しかも、彼が嫌いな西洋人となると尚更だ。何より他人から聞くのが問題だ。「何故、我に先に言わねーあるっ!!」と飛んでくるのが簡単に想像できる。そこからグチグチ語られるのは流石に面倒だ。シルクロードを渡って彼に情報が行く前にプロイセンを連れて中国の元に行かねば、ともう行くのかよ。と面倒くさそうにするプロイセンを説得させて至急中国に向かうことにした。

    「どうか、今回だけはプライドをお捨てになってくださいね…。」
    中国行のフライト中、日本は耳打ちにプロイセンにそんな事を言った。その言葉の意図が上手く掴めなかったらしいプロイセンは小首をかしげたが、理解しきれないことを前提に話している日本は微笑みながらこうとも言った。
    「中国さんを敵視するのは構いませんが、中国さんが何を思ってそれを告げるかを把握してあげてください。中国さんの方は必ず貴方を敵視するわけですから、貴方が対立してくるであろうというのは予想範囲内なんです。だから、奇想天外な行動を取ってください。得意分野でしょう?」
    やけに遠回しな発言に自分が此奴にも試されているという解釈をしたプロイセンは悪役のように口角を上げてニチャリと笑った。
    「元軍国家な俺様を試すと来るか。敵を見極めるのは得意だからな。任せやがれ」
    得意気にそう言うプロイセンの解釈は間違っていなかったらしく日本はまた微笑んだ。
    「ふふ。なら、頼みますよ。」

    中国に着くと早速中国の元へ向かった。
    日本とプロイセンにとっては短い旅な為休む必要なくすぐ家に着いた。
    「中国さん、お久しぶりです。今大丈夫ですか?」
    そう言いながら日本が戸を叩くとドカドカという足音らしき音と勢いよく開く扉の音が鳴った。
    「にほ〜ん!よく来たあるなぁ!急にどうしたあるか?にぃにが恋しくなったあるか!?」
    4000年も生きてるとは思えない程若々しく目を輝かせながら喜びを隠すことない中国が出てきた。
    「俺をガンスルーすんなよ…。」
    呆れ顔した日本と同様に呆れて隣のプロイセンが言った。
    「はぁぁぁ〜〜、何あるかてめぇは。我と日本の兄弟愛を邪魔する奴は死刑あるよ。」
    「…おい日本。こりゃ無理ゲーってやつだろ…。」
    先程日本に一方的に語りかけていたときとは違いすぎる感情、気分の高低差に風邪を引きそうになるぐらいな中国に痺れを切らして耳打ちに日本に言うと日本は何も言わず、プロイセンの方を見てにこりとただ微笑んだだけだった。
    (この爺、俺に何を期待していやがる…。流石に元騎士の俺様でも、この頑固な齢4000超の爺には苦戦するぜ…?)
    ずっとプロイセンを睨んでいる中国に苦い笑みを見せているプロイセンは自分が此処に来るまでのフライト中に遠回しに告げたことを実行してくれているように日本には見えた。
    「此処に居ては何も話せません。中に入れてはくれませんかね?」
    その日本の言葉を聞いて、仕方ねぇあるな。とプロイセンに舌打ちして中国が言った。
    廊下を進みリビングに着くと、座るよろし。と中国がローズウッドで作られた椅子を指差した。
    恐れ入ります。と日本が椅子に腰を掛けるとプロイセンも椅子に座った。
    茶を入れてくるある。と中国が台所へ向かうのを見送ると日本はプロイセンを見てクスリと笑った。
    「驚いたでしょう?お茶は淹れてくれるんですよ。貴方のも。」
    中国の家など今回初で歓迎などされないと思っていたプロイセンにとって、お茶が出るのは少し驚きだったようだ。
    「嗚呼、茶が飲めるかも聞かれたからな。まあ、飲めないなんて答えたら、茶すら飲めねぇ奴が日本の隣に立つんじゃねぇある!とかってガチボコに怒られそうだがな。」
    「ふふ、言いそうですねぇ。」
    中国は欧米を好意的に思っていない。だから、確実に拒否される。プロイセンはそう思っていた。話すら聞いてくれないと。まだ日本との関係、つまり本題には入っていないが少しは光が見えたような気がしていた。
    「てめぇらが隣に並んで座ってんのなんか嫌ある」
    そんな野次を飛ばしながらお茶の淹れられた湯呑が3つ置かれたお盆を持ちながら台所から戻ってきた。
    「俺は此処にいると存在意義が無くなりそうだ。」
    「無くなってしまえよろし。」
    何か言い返そうとしたが苦々しくもやめると中国は勝ち誇ったような顔でプロイセンを見た。
    「そんなことどうでもいいある。何か言うために来たあるよな?はよ言うよろし」
    本題を唆す中国に先程まで何も言っていなかった日本が口を開いた。
    「私、プロイセン君と付き合ってます。」
    日本の一言に中国どころかプロイセンまで唖然とした。日本ってこんなにずっぱりと言えるタイプだったか…!?プロイセンがそんなことを思った瞬間、バンッッ!と中国がテーブルを叩く音が部屋の隅まで響いた。
    「何ほざいてるあるかっっっ!!!!長老を誂うとは良い度胸あるなぁ!!何が目的ある!」
    中国は日本とプロイセンが繋がってるという状況に関してどうしても否定、批判したいらしく、何故か別方向の解釈に陥った。
    日本は、矢張りそうなりますよね…。と呆れたように耳をふさいだ。同様に隣にいたプロイセンも思っていた。
    「日本!それとも何か誑かされてるあるか!?それとも、弱みを握られて脅されてやってるあるか!?それとも本当に我を誂って遊んでるあるか???日本はそんなことしねぇ奴あるよな?」
    プロイセンに向かれると予測していた矛先は、付き合ってます。と自ら申し出てしまった日本にまず向いてしまった。日本は内心、しくった。と思いつつ冷静に対応するよう努めた。
    「誑かされても、脅されても、誂ってもないですよ。事実、私はプロイセン君と好きで付き合ってるんです。貴方に怒られる筋合いはないですよ。」
    日本は絶えず冷静だが、100%の思いを込めて中国に訴えかけるように言った。中国に響いたかは兎も角、隣にいるプロイセンの心には深く刺さった。いつもは、軽々しく言うものじゃないです。なんて言って、言ってくれない"好き"というワードが日本自身の本心から聞けたような気がした。軽々しく言うものじゃない日本の"好き"という言葉はちゃんと自分の為にあった。とプロイセンの胸の内はそれだけだった。
    「何言ってるあるか!怒る筋合いがない訳ねぇあるっ!!我はお前のにーにあるよ!?我が言わなくて誰が言うあるか!」
    中国の騒がしい言葉に日本は、はぁぁ、と溜息をついた。
    「誰も言わなくて良いでしょうに…。」
    日本は独り言のようにぽそっと呟いた為か中国には届いていなかったようで、次はてめぇだ。と言わんばかりにプロイセンをキリと睨みつけた。
    「てめぇ!我の可愛い日本に何したあるか!」
    「何もしてねぇよ!」
    中国の言葉に答えたプロイセンの口調は反論と言うよりツッコミのようだった。こりゃ厄介な奴だな…。と内心思いつつ中国の申し出は全て聞くことにした。日本が言ったようにいつもなら勢いでがっつくがそれを抑え、プライドを捨て、戦法を考える為に先手を譲った。
    「日本はてめぇに弱みを握られているある!ぜってぇそうある!そうじゃねぇとこんな欧州の馬鹿じゃが芋亡国ヤローなんて連れてこねぇある!弱みを握られて脅されてるか、誑かされてるか、騙されてるある!ぜってぇ裏があるある!それに、てめぇが隣にいても日本を守ることはできねぇある!てめぇはもう国としての地位を失ってるあるからな!それなら我の所に来た方が断然守られるある。」
    プロイセンは中国のつらつら言い続ける批判論で大体の申し出をなんとなく理解でしたような気がした。
    (成程な。つまり、弱くて可愛い自分の弟を俺は守れねぇっつーことか。それは亡国だから。そして、自分の弟は弱くいから、俺に騙され、脅されていると…。こりゃ大層な妄想癖だせ。)

    空気を読まないただのうるさいニートというのが大体の国達のプロイセンに向ける解釈だ。
    だが、日本は知っている。プロイセンがどれ程相手のことを考え、ベストな対応をしているかという事。プロイセンはどの国よりも考えて行動している事。自分が亡国で在ることを弁えて、あれでも彼なりに言動を控えている事。きっと自分なんかよりもプロイセンという存在について理解している者は多いだろうが、それでも自分が第一の理解者であると日本は思っている。だからこそ、中国という厄介な存在もどうにかして対処してくれる。彼ならできる。
    中国はあからまさにプロイセンを煽っているのだから中国はプロイセンが敵対してくるであろうと必ず読んでいる。そして、日本はプロイセンが中国の下手にまわってくれると信じている。
    「お前は兄貴失格だな。」
    プロイセンはこのまま中国の下手にまわるのは好ましくないと考えた。そうしてしまえば、参りました。降参です、貴方の言っていることは大正解です。と言っているようなものだと思ったからだ。それなら少しは一国の兄としてのプライドを残した方が敵策だと感じた。
    「は?てめぇは何を言っているあるか?我に喧嘩売ってるあるか?亡国の癖に」
    予想通りの反論が返ってくると、日本はこれでは中国の思うツボだ。最終的にこんな好戦的な奴と繋がるなんて認めねぇある。で終わってしまう。
    「あの…プロイセン君…?」
    やめた方がいいと告げようとした途端、安心しろと言わんばかりに、任せやがれ。と言われてしまった。先程まで思っていたことを全部撤回してやりたいと日本は思ったが、何も言わないことにした。
    「今此処に亡国という価値基準は要らねぇ。俺は一国の経済大国の弟を持つ1人の兄だ。」
    先程までの下手に回ろうとする思考を捨て、いつもの自分で語りかけるのがベストだ。そう感じた。
    何が言いたいあるか?と言わんばかりに睨む中国をまっすぐに見つめた。
    「兄が弟を認めてやらなくて、誰が認めるか。お前は此奴を未熟でちんちくりんに見えるかもしれねぇが、俺は俺の脅しなんかで無理矢理恋人にならざるを得ない状況になるようなタマじゃねぇと思うぜ?此奴は周りが思う以上に根深い軸のある奴だ。それを知ってるのは多分、俺とアメリカだけだな。此奴、第二次世界大戦後、敗戦国の癖に景気が良くなったからって欧州の奴らから嫉妬喰らってるレベルだぜ?それに、此奴は一時お前をも越した経済大国だ。それとも、可愛い弟に抜かされたのが心苦しくて、現実逃避して忘れちまったか?」
    煽るような口調でいうプロイセンの言葉に何も言わずに睨み続ける中国に、はぁぁ、と溜息を付きながらプロイセンは続けた。
    「日本を、弟を、愛してんなら認めてやれ。此奴は立派な経済大国だ。この爺はお前が思う以上に根強く生きてやがるぜ。」
    プロイセンは中国をより一層汚れなきまっすぐな瞳で見つめた。
    「それに、折り入ってお前に頼みたいんだ。俺はお前の言う通り、国としての地位を捨てた亡国だ。俺が守れるのは日本という経済大国な島国ではなく、1人この地球上に誕生した者として、個人としてしか守れない。だから、中国。お前には日本国を今まで通り守ってほしい。お前の存在は必要不可欠なんだ。俺はまだこの厄介爺の隣に立つ身として未成熟だ。だから、此奴について、教えてくれ。頼む…。」
    『奇想天外な行動を取ってください。得意分野でしょう?』確かにそうは言った。だが、自分までもを驚かせるとは、流石プロイセンだ。と日本は心底思った。そして、先程まで殺ってやんよと言わんばかりにプロイセンを睨んでいた中国の表情は睨んでおらず、あからまさ驚いていた。中国からしたら、こんなに誠実に頭を下げて頼み込むプロイセンを見るのは天変地異でも起こったかのような気分になる。
    「許せねぇが、何も言えねぇある。仕方ないな、てめぇみてーな奴がここまで頭下げるんなら、認めてはやるある。確かに日本は強い国ある。けど、我にとっては小さい頃から見てきた、かけがえのない奴ある。だから、認めてはするが許せねぇある。日本を堕落させたらおめぇの命は無いもんだと思うよろし。」
    予想以上にすんなり受け入れてくれたのはプロイセンの言葉を正しいと感じたからか、諦めが良かったからか、それでも厄介なことは変わらない。だが、協調していくべき存在なのだろうとプロイセンは思った。
    「有り難い。」
    ただそれだけを告げた。

    中国を説得した後、2人は宿がないからと中国の家で1泊した。気に食わねぇある。とか言いながら、晩飯はプロイセンのみ激辛料理にして差し出した。
    うわ辛ぇ!!とか言って水を求める様を写真に収めてやる。と企んだが、想定とは遥かに違い。うめぇ〜!と舌鼓を打っていたのをみて悪くないなとは思った。そして、2人が隣り合わせに座るのも自然体に許した。日本は中国の思っていた以上に成長していた。

    「それにしてもあんな訴え方できたんですねぇ。」
    日本に帰るフライト中、日本がそんな事を言い出した。
    「お前は俺様のなんだと思ってやがる…。」
    先程まで背もたれにもたれかかりながら日本映画を観ていたプロイセンが背伸びをしながら答えた。
    「それにしても、厄介な長老だな。いろいろと俺を罵ったり厄介払いしたりすんのに土産はくれんのかよ。」
    両手に渡された土産の紙袋を思い出しながらそう呟いた。日本もくすくすと笑いながら、そこが否めない所ですよね。と答えた。
    「中国さんっていつもうるさくてウザったいのに、律儀なんですよ。思考回路が硬いのか、はたまた違った何かか…。それは分かりませんがね。」
    「まあ、お前を大切にしようと努力してんのは伝わったぜ。」
    そんな思い出話をしているうちに、日本に着陸した。
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