自販機喉が渇いたから自販機へ駆け足で向かう。
何を飲もうかな。スポドリか炭酸かどっちも捨てがたい。
自販機がある場所まであと数メートルというところで、見知った後ろ姿が2つ自販機の前に並んでいた。歌川と菊地原だ。心臓がドクリと大きく脈を打った。どうやって声をかけよう。どうすれば普通だっけ? あー、こういうのって考えるだけ無駄だよな。ええいままよ。
「歌川! 菊地原!」
2人は同時に振り返りこちらを見た。歌川はおお、といつも通り爽やかに笑いかけてくれ、それとは反対に菊地原はゲッと言わんばかりの顔をしていた。
「おい、菊地原! 人の顔みてその表情はどうなの?」
「別にいつもこんな顔なんだけど」
「こらこら、2人とも。喧嘩するな」
1938