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    h1k0yanag1

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    h1k0yanag1

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    ソウベニ、ソウコクでSH2パロ
    書きたい所だけど書いたので全体的にすごくテキトー
    めちゃくちゃ死ネタなのでご注意

    『あいまいな 眠りの中で

    夢見るのはあの町
    
サイレントヒル

    いつかまた 二人で行こうと

    約束しておきながら

    俺のせいでかなわなかった

    俺は一人でそこにいる

    あの思い出の場所で

    おまえを待っている』

    3年前に病気で死んだはずのベニマルから手紙が届き、ソウエイは2人の思い出の場所『サイレントヒル』を訪れる。
    手紙の思い出の場所とは湖畔の公園ではないかと考えたソウエイは、人気のないサイレントヒルの街を1人進む。
    霧が常にかかったような見通しの悪い街を探索する途中で、人の形をしたクリーチャーと出会ったりして街の異常さを感じつつもベニマルに会いたい一心で公園を目指す。
    立ち寄ったアパートの中で、巨大な鉈でクリーチャーを殺すクリーチャー、レッドピラミッシングを目撃したりする。

    辿り着いた公園には人影が一つ。ずっと待ち望んだその姿に思わず駆け寄って声を掛けるソウエイ。

    「ベニマル!?」
    (ソウエイを見るが返事をしない人影)
    「ベニマル…じゃないのか?」
    「お前の友に似ているのか?」
    「いや…死んだ恋人だ。…似ている、本当に似ているんだ、声も顔も…ただ服装や髪の色は違う、それに…」
    「俺はな、コクヨウと言う。ベニマルってやつの亡霊かな?」
    (コクヨウがソウエイの手を握る)
    「どうだ、暖かいだろう」
    「本当にベニマルじゃないのか?」
    「俺はコクヨウと言っただろう」
    「…間違えて悪かった」
    「何処へ行く」
    「ベニマルを探しているんだ、コクヨウは…見なかったか?」
    「ベニマルは死んでいるのではなかったのか?」
    「ああ…3年前に。だが手紙が来たんだ、“思い出の場所で待っている”と」
    「それがここなのか?…でも知らない、見てないな。思い出の場所とやらはここだけなのか?」
    「いや、あとは…ホテル、あそこもそうだ。湖の見渡せる…今もあるのか?」
    「レイクビューホテルならまだあるな。しかしホテルでの思い出?一体何の思い出なのやら…。冗談だ、そう怒るな」
    (ソウエイがその場を立ち去ろうとすると、コクヨウが後を付いてくる)
    「付いてくるのか?」
    「置いていくつもりだったのか?」
    「いや、だが…」
    「こんな化け物が彷徨いている場所に?他の誰もいなくなってしまった。…ベニマルに似ているんだろう、お前の好きな。それとも嫌いだったのか?」
    「そんな事はない」
    「ならばいいだろう?」
    「…わかった」

    ソウエイはコクヨウと行動を共にする。化け物に襲われたり紆余曲折しながらとある建物に入りホテルへの道の探索を続けていた。
    突如背後からレッドピラミッシングが現れ追いかけてくる。からくもエレベーターに逃げ込んだソウエイだったが、扉が勝手に閉まりコクヨウが外に取り残されてしまう。
    何とか扉を開けようとするソウエイだが、追ってきたレッドピラミッシングにコクヨウは目の前で殺されてしまう。

    失意のまま探索を続けるソウエイ。
    行く先々に深い穴があり、ソウエイは迷う事なくその穴に飛び込んでいく。何度も、何度も。
    幾つか穴に飛び込んだ先、牢屋のような鉄格子の部屋に囚われているコクヨウを発見する。

    「無事だったのか…コクヨウ、あいつに…殺されたものと思っていた。傷は大丈夫なのか?」
    「ああ、一つもない」
    「…コクヨウ?先程あいつに刺された傷はどうしたんだ?」
    「刺された傷?ソウエイ、何の話をしている?」
    「エレベータの所で追い詰められて…ついさっきの事だぞ、忘れたのか」
    「あの場所でお前と逸れてから、何かあったのか?他の奴と間違っていないか?…ふふ、お前は昔から、案外そそっかしい所があるから。覚えてるか?あの時の…」
    「コクヨウ?何を言って…」
    「だから、ホテルでの忘れ物だ、ソウエイ。忘れ物などない、大丈夫だと言ったくせにな。残っているといいな、あのビデオテープ」
    「何故知っている!?お前はコクヨウじゃないのか!?」
    「俺は本当のベニマルじゃない」
    「だからコクヨウなんだろう?」
    「お前が望むのならそうなのかもな」
    「そんな事を聞きたい訳ではない」
    「もういいだろう、俺は俺で。ここにいるのだから。なぁ、生きていて本物だ。ほら、触ってみるか?」
    「…分かった、取り敢えずそこにいろ、迎えに行くから」
    「そうだな、こんな鉄格子越しだと何も出来ない」

    牢屋にいるコクヨウと別れ、長い道を迂回してようやく鉄格子の奥に見えていた牢屋の扉に辿り着くソウエイ。
    しかし牢屋の中には、血塗れで死んでいるコクヨウの姿があった。どうしてこんな事が起きているのか理解できず打ちひしがれるソウエイだったが、何とかその場を後にして先に進む。

    ようやくホテルの思い出の部屋に辿り着いたソウエイは、テーブルの上に置かれた一本のビデオテープを発見する。デッキに入れて再生すると、ベニマルとこの部屋に泊まった時の様子と、ベッドに横になっているベニマルにソウエイが覆い被さり、何かをしている姿が映し出されていた。
    それを見てソウエイは全てを思い出し、ふらつく体で何とか椅子に座り項垂れる。
    ベニマルは病気で死んだのではない。ソウエイが殺したのだ。
    思い出した事実に項垂れているソウエイの耳に、ラジオからベニマルの声が流れてくる。

    「…ソウエイ、何処にいるんだ?待ってる、ずっと待っている。来てくれるだろう、俺が嫌いか?だから会いたくない?早く来い。道に迷っているのか?近く、すぐ近くにいるんだ。なぁソウエイ、会いたいんだ。俺が分からない?ソウエイ、なぁソウエイ、ソウエイ、ソウエイ、ソウエイ…」

    壊れたようにずっと名前を繰り返し呼ぶ声に、ソウエイは部屋を後にする。


    ベニマルの事が好きで好きで仕方なかったソウエイは、3年もの間ベニマルを監禁してベッドに拘束した。好きあっていた筈なのに、ソウエイの仕打ちに怒りと絶望を滲ませたベニマルは最初の内は説得しようと優しく声を掛けていたが、ソウエイに解放の意思はないと気付いてからはひたすら罵倒を繰り返していた。
    ソウエイがどれだけ愛を囁いてもベニマルはそれに応える事はなく、毎日繰り返される呪いの言葉に耐え切れなくなったソウエイは首を絞めてベニマルを殺害。
    己の仕出かした事に耐え切れなくなったソウエイは記憶を封印してしまった。

    サイレントヒルという街は、心に闇を抱えた人を惹きつける。そして己の罪や罪悪感がクリーチャーとして具現化し、訪れた者を襲う。
    コクヨウの存在もまた、サイレントヒルがソウエイの欲望の元作り出した人物である。ソウエイを罵倒したりしない理想のベニマル像として。

    ソウエイは3年間ベニマルを監禁したと言う記憶を『3年前にベニマルを病気で亡くした』と言う都合のいい記憶に書き換えた。そして知らぬ間にサイレントヒルに惹きつけられて訪れてしまっていたのだった。

    ベニマルに呼ばれるまま進んだ先で、レッドピラミッシングに再度殺されるコクヨウを目撃する。
    レッドピラミッシングとは、ソウエイがベニマルを殺してしまった事で生まれた『自分を罰して欲しい』という罪の意識から生まれた存在である。
    無意識のうちに自分を罰してくれる誰かを望んでいたソウエイは、ここで己の罪を認めてレッドピラミッシング〈断罪者〉と対峙する。

    「俺は弱かった。だからお前の存在を望んでいた。俺の罪を罰してくれる誰か…。だがもういらない、分かったんだ、自分で、決着をつける」

    そしてソウエイが罪を認めた事で、レッドピラミッシングは自身はもう必要ないとでも言うように自害した。

    ソウエイは長い廊下を進む。かつてのベニマルとの会話が思い出されていく。

    「…何か用かソウエイ」
    「ああ…これ、お前の好きな…」
    「甘いもの…?いらない、部屋から出ていけ」
    「そんな事を言わないでくれベニマル…」
    「ずっとこんな狭い部屋に俺を閉じ込めて。見ろよこの細い腕。ろくに動きもしてないから随分と痩せ細ってしまった…出ていけよ、俺なんか放っておけばいいだろう。俺はお前の望むような言葉は絶対に言わない。…まだ俺のこと愛してるって言うなら、殺してくれよ。まぁ俺の弱っていく姿を見て楽しんでいるなら、殺すなんて事はしないか…。
    なあ、出ていけって言ってるのが聞こえないのか!二度と俺の前に現れるな!

    …嘘だ、ソウエイ、行かないでくれ。…何でこんな事になってしまったんだ…?ずっと側にいてくれて、一緒にいれるだけで幸せだったのに。なぁソウエイ、頼むよ、一緒にここから出ようって言ってくれ…共に生きようって励ましてくれ…助けて…」

    ソウエイは建物の階段を登る。ずっと登った先に、窓の外を見るベニマルがいた。ソウエイが声を掛けると、ベニマルは微笑みながらこちらを振り向く。

    「ハッ…間違えるなよ、ベニマルはお前が殺して、もういない」
    「コクヨウか…」

    顔も声も、髪の色も服装も、全てあの頃のままのベニマルの姿をしたコクヨウが目の前にいた。ソウエイは自分にもそう言い聞かせるように、言葉を紡ぐ。

    「コクヨウ、もういいんだ」
    「どう言う事だ?…俺なら、ずっと共にいてやれるのに?お前を罵りもしない、重荷にもならない。お前が望んだ通りだろう!」
    「全部思い出したんだ、結局お前は…ベニマルじゃない」
    「そんな事…許さない。ソウエイ…ベニマルには渡さない!」

    コクヨウはクリーチャーの姿となってソウエイを襲う。戦いの末、傷ついたコクヨウは地面に倒れ伏す。ソウエイの名を何度も呼ぶその異形に、ソウエイは止めを刺した。


    狭くて暗い部屋の中、ベッドに横たわるベニマルと側の椅子に座っているソウエイ。

    「ベニマル…すまない」
    「死にたい、俺はそう言った。もう楽にして欲しかった」
    「俺が、俺のせいで苦しむお前の姿を見ていられなかっただけなんだ。いや、それだけじゃない。“死にたくない”とお前はそうも言っていたのに。本当はどこかで憎んでいたんだ、俺を愛さないお前などいなくなればいいと」
    「お前は俺を殺したことで苦しんでる。それでいい」

    そうしてベニマルは一通の手紙をソウエイに渡し、静かに息を引き取った。
    ソウエイはベニマルの遺体を抱き抱え、部屋を後にする。



    「全部思い出したんだ、この街に来た本当の理由も。俺は何を恐れていたのだろう?ベニマル、お前を失った今、他に何を…」

    ソウエイの歩む足音がピタリと止まる。
    そして大きな水音が辺りに響く。
    気泡がこぽりと音を立てて浮かんでいくのが見えた。

    「これで一緒にいられる…」




    『あいまいな 眠りの中で

    夢見るのはあの町

    サイレントヒル

    いつかまた 二人で行こうと

    約束しておきながら

    俺のせいでかなわなかった

    俺は一人でそこにいる

    あの思い出の場所で
    
おまえを待っている

    いつかお前が来てくれるのを
    待っている
    だがお前は来てくれない
    寂しさと哀しみの中で
    いつまでも待ち続ける

    俺の許されない罪
    お前を傷付けてしまった俺の罰
    現実も夢と変わらない
    俺はいつもお前を待っている
    会いに来てくれることを祈っている
    ベッドに横たわり
    変わらない天井を眺めながら
    いつもそんな事を思っている

    今朝 昔の夢を見た
    2人で何でもない日々を過ごしていた時の
    気分が少し軽くなった気がしたけど
    ただそれだけだ
    だがこんな話をお前にしたとして
    お前はまた苦しむのだろうか
    この暗くて狭い部屋を訪れるお前は
    いつもどこか苛ついている
    俺のことが嫌いなのだろうか
    俺が疎ましいのだろうか
    俺が憎いのだろうか

    それも仕方ない
    もう一生この部屋から出られないのだと悟った時
    出してくれ こんな場所で死にたくないと足掻いた
    どうしてこんな事をするのかと泣き叫び
    自分の焦りのままにお前を傷付けた
    だから俺を嫌い疎み憎んでも
    当たり前だと思う
    それでも俺は ここに書き留めておきたい

    俺はお前を愛している
    俺の事を好きでいてくれて
    閉じ込めてまで側にいたいと願ってくれたこと
    本当は少しだけ嬉しかった

    俺が死んでからこの手紙が見つかるように
    ベッドの下に隠しておいた
    だからお前がこの手紙を読む時には
    もう俺はいない

    忘れてとは言わない
    忘れないでとも言えない
    俺がこの部屋に来てそして死ぬまでの数年間
    お前を枷にはめてしまったことが
    俺はとても哀しかった

    お前にはたくさんのものを貰っておきながら
    何一つ返すことができなかった
    だからもう俺に縛られることなく
    お前はお前の生きたいように生きて欲しい

    ソウエイ

    俺は幸せでした』


    end 《In Water》
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