ベニマルは確認書類や報告書を持ってリムルのいる執務室をノックする。気配で察しはついているのだろう、リムルの気の抜けた「どぞ〜」と言う返事が返ってきて、失礼しますと声をかけながら入室した。
「リムル様こちらを…おっと」
書類を渡そうとしたが、先客がいる事に気が付いてベニマルは言葉を留まらせた。そこには見慣れた青い背中、ソウエイがリムルと何やら話をしていた所だった。椅子に座ったリムルが体を傾けてベニマルへと手を振る。
「悪いなベニマル、今ソウエイに仕事を頼んでてさ」
「いや、俺の方は急ぎではないし、話が終わってからで構いませんよ」
「悪いな、んで今日は…」
リムルがソウエイに視線を戻し話を続ける。それを頷いて聞いているソウエイの纏う雰囲気に、ベニマルはほんの少しの違和感を感じた。それはごく近くにいるリムルにも、きっと誰にも気付かれないようなほんの些細なものだった。
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