Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    暖(はる)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 56

    暖(はる)

    ☆quiet follow

    茶道部森君と生徒会副会長の高杉さんの話の全文
    ぐだマシュが含まれてます。
    モブ生徒会長が登場します

    #長晋
    changjin

    校庭のソメイヨシノが散り、瑞々しい若葉が折り重なり影を落としていく。
     六限目のチャイムが鳴り、担任の科目だったため挨拶もそこそこに皆教室を出て行く。
     やや小ぶりに作られたせいか、男子高校生の平均身長から離れた森は巨躯を屈めながらドアをすり抜けるしかない。
     複雑な渡り廊下を歩いて、五分程で屋外の茶室にたどり着く。
     校舎内に取って付けたような和室ではなく、初代校長が道楽で作った侘寂のある草庵風の茶室はさすが元名門女子校である。
     膝退に部屋に入ると、少し空気が淀んでいたので換気をする。
     窓を開け、初夏に近づく風が入ると昨年張り替えた畳から若いイ草の匂いが鼻を擽る。
     *
     義務教育中、真面目ではあるが扱いにくい生徒と教師から煙たがられた森は高校へは行かず、親が働いていた会社で働くつもりでいた。
     少々性格に難があり、親の身長を早々と抜かしても可愛い息子であることには変わらないと、愛情深く育てていた両親も「進学しない」という言葉には困り果てていた。
     英語なら大殿の商談についていけば厭でも身につく、数学も小難しく教えられた公式より現場で役立つ計算の方が良いと淡々と話していると、蘭丸を着せ替え人形にしていた信長が声をかけてきた。
    「そう親を困らせるものではない、」母親よりも年上のはずのなのに未だに少女めいた顔の信長は花も恥じらうほどの笑みを浮かべながら、しかし声はそこにいる全員が彼女に向かって頭を垂れなければいけないと感じるほど威圧を飛ばす。
    「そなたの考えも一理あるが、そう先走るな。青春を楽しんでからこちらに来い」
     そのときは揉んでやると、威圧を消しカラカラと笑う。
    「そうじゃ、儂の母校に行け」と閃いたように信長が手を叩くと話は纏まった。

     シュポっと沸かした茶釜から湯気が出る。そろそろかと茶器を手に取れば、タイミングよろしく高杉が正しい作法で部屋へ入ってくる。
    「森君、おまたせ、」
     森よりも少し濃い赤毛を汗で湿らせている。そういえば高杉のクラスはこの曜日は最後に体育だったかと思い出す。最後に体力を使い果たせるなんてヒドいよねと、与えられた時間割に文句を言っていたが、お前がもやしなだけだろう、昼前よりはマシだと思ったことを話せば、それもそうだと口を尖らせつつ、笑っていた。
     お洒落を気にする割に高杉は制汗剤を使わない。元々体臭が薄いのか、汗をかいたばかりでも厭な臭いはない。
    「遅い、」
     今日は高杉が支度する番だったが気配が無かったため森が支度をしていた。
    「ごめん、生徒会の用事で呼び出されてね」
    これで許してくれと高杉は鞄から紙箱を取り出し森に披露する。
    「ほーん、」
     悪くねぇと口にすれば高杉はにこりと笑う。
     真白い餅を葉で包んだ柏餅は、先ほど搗いたばかりかと思うほど見るからに柔らかそうで葉も瑞々しい。来客の余りだと高杉が話すので味はお墨付きとみた。
    「何どうしたの、森君?」
     じっと高杉の顔を眺める森に高杉が首を傾げる。出逢った頃よりも少し尖りがついた頬は今が成長の盛りだと教える。それでも、身長こそ記録更新中だが顔の輪郭は中学で成長を終えた森に比べまろやかだ。
     触れてみたいと手を伸ばせば届く、高杉の頬の代わりに、森は柏餅を皿へと移す。
     *
     二人の出会いは昨年の四月、信長の言いつけ通りに彼女の母校に入学した森は背を伸ばし懸命に桜を撮る高杉に釘付けになっていた。
     新入生の証である花を胸元に飾り、成長を見こして買った制服は袖が余っている姿は初々しかった。
     今でこそ平均身長をクリアしたが去年はまだそれよりも十センチは低かった彼は、どうにか花を間近で撮られようと頑張っていた。
    「撮ってやろうか、」
    「ありがとうございます……でも、これは自分で撮らないと意味が無いから、」
     ぺこりと頭を下げると、どうにか気に入る写真が撮れたのか顔を綻ばせて笑う。
    「綺麗だな」
     ハッと自分が口にした言葉に森自身が驚いていた。出逢って五分も経たない相手にかける言葉では無かったと口を閉ざす
    「僕もそう思います、地元の桜が一番だと思っていたけどここの桜も綺麗ですね」
     友人にも見せてやりたかったと、桜に負けないほど薄い唇で言葉を続ける。
     どうやら彼は、上着を脱いでいる森を上級生だと勘違いしているようだ、訂正しようかと声をかけようとすれば、儚げに高杉が「返事も帰ってこないのに、馬鹿だな」とひとりごごち高杉は呟く。
    「なぁ、」
     名前はと聞く前に両親に呼ばれた森はその場を後にする。
     式が終わりクラスが発表され、教室に入った瞬間、「あー!」と高杉が、後に信長が命名した桜色のメモリアルをかき消すほどの大声を発した。
     暫くし、親しくなった頃、保護者かと思っていたと口にする高杉にケラケラと森は笑った。

     茶を飲み終わるとあとは、作法の本を読むか庭の手入れをして時間を過ごす。
     部員はと高杉を入れて五人ほど居るはずだが、残りは兼部しているため滅多に来ることはない。
     そういえばそろそろ千利休講師を招いての茶会があるから、希望者募集のポスターを貼らねばと目の前にいる高杉に声をかけようとしたが、先に声をかけられた。
    「森君、生徒会に入らないか、いや入ってくれ!」
     膝が触れるほど近づく高杉にたじろぐが、森は「あっ」と低い声を出す。
     現在生徒会には、三年の藤丸会長、あとは全員二年で、副会長の高杉と同じ役職の阿国、これは女子校から男子を受け入れる際に、副会長は男女一人選出するように決まったらしい、他に書記で留学生のマシュと会計に剣道部の斎藤、顧問に山南がおり、森が入る理由はない。
     中学の生徒会しか知らない森だが、普通の学校では九月と三月に生徒会選挙があるが、この学校では三年生が生徒会に在籍するときだけ、十二月に選挙がある。
     それでも三年生が決まった生徒を推薦し、生徒会メンバー、各委員長が承諾すれば選挙もない。これは信長がいた時代にあった姉妹制度が形骸化したものらしい。
     そのせいでいくつか弊害も出てきたのを身をもって実感した森にとっては返事をしかねる。そもそも自分が大将にと選んだ男がまだいるのに引き抜いてくるのが気に入らない。「テメェ、殺すぞ、」
     畳も震えるような、ドスのきいた声と共に高杉を睨めば、高杉は落ち着けと手を上げる。
    「待て森君、誤解しているようだから話すが、実は藤丸先輩が夏休みを前に留学することになった、そのまま現地の大学に入るようだ。どうやら彼女の帰国に合わせたようだ、、」
     一気に生徒会から二人を抜けるのは痛手だと、とりあえずは手伝って欲しいと話す。
    「僕個人としては君を副会長にして運営するのも悪くはないが、ここは生徒の意見も取り入れなければね、」
     学校に蔓延る害は僕が卒業する前に取り除かねばと公平に選挙で決めると、柔らかな口調とは裏腹に真剣な顔つきで話す。
    「そいつはいい。で、お前はそのまま会長か」
    「いや僕も、残ったメンバーも対抗馬が出れば選挙に出る」
     候補者がいればだけれどねと茶目っ気たっぷりに話すが、そのときが来ればこの男はあの手この手を使って動き出すだろう。それも悪くはないと思いながらも、この男のいない生徒会は味気ないのではないかとも、決まってもないうちに考え込む自分は相当に末期だろうと森は自分でツッコミを入れる。

     そもそも、自分のテリトリーにずけずけと侵入することを嫌う森と、エキセントリックな高杉が同じクラスだからといってここまで親しくなることはない。

     切掛は丁度昨年の今頃の時期になる。共学になってから年数が経ったとはいえ未だ男子生徒の人数は一割にも満たない。地元ではお嬢様学校としてイメージが強く保護者からは進学先の不安や思春期特有の恥ずかしさから入学生が少ない。
     入ってみれば、普通の共学と変わらない。授業の質は名門校だけあり高く、進学先にも何の問題も無いが偏見はなかなか消えない。
     そんな理由から男子生徒が入れる運動部は少なく、剣道部とミニバスケ部しかない。幼い頃から、武術を嗜んでいた森も通い慣れた道場で躰を動かす方が都合がいいため剣道部には入部せず、信長が「あそこの茶器は良いぞ」と勧められ茶道部へ入部した。
    「今のところ君一人なのだよね、どうする」と名前も忘れた元顧問に教えられたが、続けると話し部室へ向かう。
     暫く使っていなかった茶室は薄ら汚れているようにも見えたが、定期的に換気はしているのか思ったほど空気は淀んでいなかった。
    「ヤニ臭ぇ」
     風流な茶室に似つかわしくない匂いに森は顔を顰める。教師か生徒、どちらか知らないがたばこを嗜んでいたことが分かる。
     見つけたらぶっ殺すと舌打ちすると、森は用務員から掃除道具を借り、部屋を清潔にしていく。
     信長が言っていたとおり仕舞ってある茶器は素晴らしかった。テレビ番組などで鑑定されれば数百万はする品々は、幸いに灰皿代わりにはされておらず、森は暫しうっとりとそれを眺めていた。

    静寂を打ち消したのは少女の甲高い悲鳴と煩く鳴り響く防犯ブザーの音だった。
    躙り口からのそりと出れば、眼鏡を掛けたボブヘアが似合う華奢な少女の手を強く握りつぶしている優男がいた。
    「助けてください!」
     森の気配に気づいた少女が救いを求める。興奮していたのか森の気配に気づくのが遅れた優男がぎょっとする。
    「ちょっと話しかけただけじゃないか、それよりも君だ。なぜ、茶室にいる、」
     森の体格に驚きながらも優男は指を差し喚いている
    「入部したから? それよりも離してやれよ、」
    離さないならと近づく森に優男は少女の躰も考えず勢いよく手を振りほどく。
     蹌踉めいた少女を抱きかかえると、男は覚えていろよと今時漫画の悪役でも言わない捨て台詞を吐き退散していく。
    「ありがとうございます、」
    「いや、」
    事情を知らない森が頭を掻いていると、マシュと三年の藤丸が走ってきた。
     一見どこにでもいそうな男子生徒だが、写真コンクールに応募した写真が実は殺人事件の証明写真だったと警察と新聞記者がインタビューしに、学校へわらわらと来たのを覚えている。
    「先輩!」
    「良かった、教室に迎えに行ったけれどいないから探して……森君だよね?」
    「はい、」
     もう大丈夫だろうとマシュの躰を支えるのを止める。誤解されるようなことは何もしていないが、気まずい。
    「助けて貰ったんです、本当にありがとうございました」
     深々と頭を下げるマシュに続けて藤丸も頭を上げる。
     何度も礼を言われることはないので頭を上げるようにと口にすれば、二人同時に顔を上げる。
    「なんで俺の名前、」
    「顔と名前を覚えるのが得意なんだ、それにうちの学校男子が少ないから」
    君たち目立つし、と一緒にされたのが誰かを聞こうとしたが気丈に振る舞ってはいるが、優男に乱暴されかけたマシュが震えているため、落ち着くまで茶室で休むように声をかけることを優先した。

    「この間はどうも、」
     優男――信じられないが現時点で生徒の長である男が爽やかに森からすればニヤニヤと笑いながら、教室を訪ねてきた。
    「あっカイチョウさんが何のようか」
     機嫌悪く声を発せば、周りの女子生徒たちがキャッ小さく声を漏らす。
    会長ではなくカイチョウと軽い言葉を投げかけられた生徒会長は森を他の生徒から見えない角度で睨み付けるが、凄みが足りない。
    「茶道部なのだけれど、君しかいないから廃部が決定したよ」
    「まだ、入部する奴が来るかもしれない、」
    「……三日だけ待ってやる、反省したら謝りに来い、」
    だから凄みがないとため息を漏らし、生徒会長の耳打ちを受け流す。

     あれから三日が経ったが、森が生徒会長の元へ行くことはなかった。部員は来ないが、森を気に入ったのか藤丸とマシュが掃除を手伝いに来る。
     部屋の掃除もおおよそ終わり、用務員では行き届かない庭の手入れを藤丸と始めると、買い出しに出掛けていたマシュの悲鳴が聞こえる。
    「君も懲りないね、俺が廃部って言ったら廃部なんだよ、」
     清廉潔白な生徒会長の顔ではなくチンピラ然とした顔の男が、マシュのか細い首に腕を回し、こちらへ近づいてくる。
     この間のことがあってか、藤丸がよこした女子生徒がいない。
     脅されたのか。口車に乗せられたか分からないがマシュが危険なのは確かだ
    「カイチョウにそんな権限があるとは思わないけれどな、」
    「あるんだよ、決定権は俺にあるし、委員長も全員俺の言いなりだからな、」
     女なんて少し笑顔とヤって脅せばイチコロさと、教師だって優秀な生徒の意見を取り入れるとゲスに笑う。
     気に入らないと、いっそぶん殴ってやろうかと拳を握りしめれば、それより先に藤丸が動く。
     マシュを助けようと必死に男の腕にしがみ付いてはいるが、向こうの方が喧嘩慣れしているようで太刀打ちできずにいる
    「殿様、ちゃんと避けろよ、」
    森はぞうきんを干していた竿竹を手にすると勢いよく振り回すと、男に目掛けて投げ飛ばす。
     ガッと眉間の骨を砕くような音と一緒に男が崩れ落ちる。ふわりと崩れるマシュを藤丸が抱きかかえ、男から距離を取る。
    「百点!」
    高らかに叫ぶ森にどこからか喝采が飛ぶ。
    「こんなことしてタダで、今すぐ、退学させてやる……!」
    「カイチョウにそんな権限があるんですか、」
     地面に這いつくばりながらも虚勢を上げる男に、さらりと赤毛を靡かせ高杉が姿を現す。
    「誰だお前、」
    「いや、見事な悪役でしたねカイチョ。いやもう、カイチョじゃないか、なんて呼べばいいと思う?」
     男を指さす高杉の視線は森に向かっている。
    「何でもいいんじゃねぇ、呼ぶのもめんどい」
    「それもそうだね、カイチョでいいか。凄いね、飲酒にたばこに乱行、こんなのが会長だなんて、情けない」
     折角学校に通っているのだから楽しませてよと高杉は男を冷ややかな目で見つめる。
     森ですらぞくりと背筋を震わす視線は、女子生徒と戯れているときの明るさはない。
    「なんのことだ、」
    「調べはついているんですよ、もう少し早く暴いてやるつもりでしたけれど。みんな口が堅くて、……でも女の子ってお前が思うほど馬鹿じゃないから、」
     残念でしたと、高杉がしゃがみこみ男の額を叩く。
    「デタラメだ……!」
    「往生際が悪いな、これでもシラを切る?」
     アンと、思わず赤面してしまう甲高い音声が高杉のスマホから流れてくる。
     森からは映像が見られないが、早送りにしたのだろう、女が絶頂する際に喘ぎながら目の前にいる男の名前を口にする。
    「ここヤリ部屋だったんだろう、だから森君が邪魔だった。そうそう、喫煙と飲酒の証拠は用務員さんが残しているから」
     うちの父親警察で働いているのだと口角を上げ笑う高杉と、青ざめる男、表情だけでは、どちらが悪役か分からない。
    「後はお願いしますね、山南先生」
     一部始終を見ていたのは教師の山南と付き添ってきた斎藤だ。
     恐らくは言い逃れがないよう、背後を任せるために連れてきたのだろう。
     引きずられるようにしてその場を後にする男はこちらを睨む余裕なくとぼとぼと歩いて行く。
    「どうしてここにいる、」
    「教室で話していただろう、まさかこんな事になっていたなんてね、」
    面白かったから良かったけれどツメが甘いよと高杉は頬を膨らませる。
    「……ありがとな、」
    「いいよ、僕がやりたかったことだ。それにしても藤丸先輩だっけ格好いいね彼、」
     身を挺して彼女を守るなんて王子様だと高杉は微笑ましそうに笑う。
     先輩、マシュとほろほろと涙を流し抱きしめ合っている姿はなんとも微笑ましいが、ムズ痒い。
    「やり投げだっけあれ凄かったけれど彼女に当たったら、どうするつもりだったの?」
    「当たらないだろう、」
    「大した自身だな、」
     藤丸も気づいていないだろうが、反撃こそできないがマシュは最低限自分の身が守れるように姿勢を固めていた。
     問い詰めるような真似はしない、おそらくは自然と身についた動作なのだろう。

     そのあとは怒涛の展開だった。高杉がそのまま生徒会に乗り込み、得意のマシンガントークで生徒会メンバーを放逐すると、藤丸を会長に据えるべく案を捻りだしていた。
     森の方もマシュを守るためとはいえ怪我をさせたことには代わりがない。
    「儂が代わりに来ちゃった」と黒塗りの高級車で颯爽と現れた信長に、教員全員が出迎え話し合いが始まった。
     応接間に通され話をすべて聞いた信長は、
    「儂も裏から回すつもりだったが、先を越されるとは、欲しい男だ」と目を輝かせる。
     一応、怪我をさせたのでと恐る恐る教師の一人が口にすれば、「女子を助けたのだぞ、誉じゃ」と森の頭を撫で、教師をそれ以上何も言わせなかった。
     あとは大人の駆け引きと退出された森に高杉が紙を握らせる。
    「遅くなったけど入部届、先に入部したのは君だから部長は任せた」
     僕はこれから忙しくなるからねと高杉は茶目っ気たっぷりにして笑う。
     後日、素人だろうと高杉に指南書を渡せば、母親が茶道嗜んでいたため、まごつくことなく綺麗に茶を飲み干す。最後のしたり顔がなければ完璧なのにと思いながら口にはせずにいた。
     *
    「ねぇ、どうしたの森君?」
     懐かしい記憶を思い出していると高杉が驚くほど近くで森の顔を眺めている。
    「乗ってやるよ、選挙にも出る」
    「本当にそうと決まれば藤丸先輩に写真を撮ってもらおう、公約はどうする? 君のポスターが校内に貼られるのか、面白い!魔除けにもなりそうだ」
     高杉は、敵に塩を送るとも知らずにくるくると表情を変え森の生徒会入りを歓迎している。

    「騙したな、こうなっては仕方がない学校の運命を賭けて勝負だ。森君!」
    副会長に立候補するだろうと思っていた森が高杉と同じ会長に出馬し、戦うことなど予想していなかった高杉はどこかの生徒会のような台詞を森に突きつけた走り去る。
    「浚っちまおうか、」
     追いかけるのは簡単だだが、それでは面白くない。あちらから手を伸ばしてきた瞬間、あの日一瞬で森が浚われたように高杉を浚ってしまおうと森はひとりごごちに口にした。

     さて全校生徒を巻き込んだ生徒会選挙の行方がどうなったのか、この二人に進展があったのかは、また次回のお話で
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works