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    暖(はる)

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    暖(はる)

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    セクピスパロディーの長晋。
    現代パロディー、二人とも男子大学生(大学生活してない)
    mr君が年下

    君は僕の運命の番「種付け?」
     短かった高校生活も残すところ卒業式となった頃、ふかふかのソファーに座りながらお気に入りのマグカップに口をつけていた晋作はその言葉を口にすると紅茶を吹き出した。
     お行儀が悪いと親に注意されても、口を拭うことなく話を続ける。猿人と言われる「人間」と猫や犬の魂が混じった人間「斑類」がいる世界で、晋作の家は斑類の家だった。
     現在人口の三割ほどしかいない、少子化の世界では家系図を起こしたら一般的倫理を持ち合わせている人間ならひっくり返りそうなほど種違い、腹違いなどが当たり前に存在している。
     それを可能とするのが斑類の貞操のなさとブリーリング行為だ。
     重種、中間種、軽種という順番で格の違いがあり、重種の雄の種付け行為は安くても一千万、女性は出産までの期間があるので五千万はかかる。
     そこまでは斑の常識で晋作もよく知っている。
     付け加えるなら男でも蟲を使って妊娠できるという、まずは斑類の生存が第一の世界なのだ。晋作は半重種と呼ばれるほぼ重種として扱われる貴重な存在ではあったが、うちの子をおいそれと他にはやらない、斑類にしては珍しくお互いにこの人しかいないと愛を貫き通した両親を見て育った晋作の思考はどちらかといえば一般人に近い。
     勿論、年頃の男子なのだから可愛い女の子とお付き合いしたい、良家の息子らしくしっかりした嫁を貰いたい、両親と僕の恋愛価値観はまた別だよねという俗な考えはある。
    「それがねなんと一億払ってでも子どもが欲しいですって、こんな話滅多になくてよ」
     話を持ってきた親族のおばがいうには相手は、斑類のヒエラルキーの中でも三位に君臨する熊樫の最重種であり、晋作と同じ蛇の目の血も引いているので是非に子作りをしたいと言い出したそうだ。
    「おばさま、」
     はしたなく膝を叩いて顔を震わすおばに晋作よりも先に両親が魂現を前に出し始めた。
     斑類は動物の魂が入っているため感情が高ぶればその魂が露わとなる。
     これを「魂現」というのだが、これを普段人前に晒すのは裸を見せるのも同じだ
    「ごめんなさい……でも、年も近いし会うだけならいいでしょ」
     それでも食い下がるおばが言うには年は晋作より二学年下であり、何でも入学式の日に晋作を見つけて以来、一目惚れしたようである
    魂現を覗くこともいけないだとと斑類は幼い頃に躾けられるが、どこかにやはり特性が出る。
     熊樫なら体格が大きいのがその一つであるが、そんな下級生いただろうかと晋作は首を傾げた。
    「う~ん、どうしても会わないとダメ」
     最重種と半重種の子どもなら間違いなく貴重な「重種」は産まれるが晋作は乗り気がしなかった。
     相場の二倍でのブリーリングにおばは興奮気味に話すが、晋作のプライドはチョモランマよりも高く蛇の目の習性かシベリア大陸より他者の対する評価は冷たい。。
     そんな彼が男抱かれてこいと言われて素直に頷くはずがない。
     けれど一億だ、その金があれば可愛い妹たちの婿候補はこちら主導で動かせる。
    蛇の目と猫又の半重種は晋作だけで、妹たちは猫又の中間種だ。
     中間種はおっとりとしていて扱いやすいと、まるでモノのように扱う斑類の高校生達に反吐が出ていた晋作は「会うだけ」ならと返事をした。
     **
     左右対称のテラコッタタイルの重厚なホテルはそこに神父がいたならすぐと式が挙げられそうだなと晋作はきょろりと目を動かしながら中へ入っていく。
     お互いまだ学生なのだからラフな姿で良いといっても場所は高級ホテルだ。
     入学式で着ていく予定のスーツでは相手に失礼だと、白のジャケットに赤いシャツと、高校生にしては洒落た恰好の晋作に待ち合わせでロビーにいる他の斑類が品定めしていく。
    「もしかして、先ほどの」
    「それなら仕方がない」
     諦めと嫉視が交差するなか、赤い絨毯が敷かれたエントランスを抜けると、フロントの案内に従い歩いて行く。
     形式上はお見合いなのだから二階のラウンジで顔合わせをすると思ったが、まさか最上階の一角を貸し切っているとは思わず、相手がどこまで晋作の躰を求めているかが窺えた。
    「待っていたぞ、高杉」
     部屋に入る前から感じる威圧感は彼からだと高杉はふっと詰まっていた息を漏らすと、悟られまいと、笑みを浮かべる。
    「……この話持ち出したのってもしかして君達?」
    「うちも少しは動いたが、ほとんど勝蔵だ」
     織田吉法師といえば、斑類の中で知らぬ者はいないほど有名人の一人である。
     どの種族にも当てはまらない織田の一人と聞いただけで大抵の斑類は震え上がるが、晋作と吉法師は同学年で、斑類の間で頻繁に行われるお見合いパティーで何度か話しているうちに意気投合したためフランクな付き合いをしている。
    「勝蔵……?」
    「ああ、うちでの呼び名だ気にするな。釣書キチンと読んできたのだな」
    「まあね、」
     釣書という名の血統書は今時珍しく手書き、それもしっかりと墨を使って書かれていた。
     男子高校生というのは大半は字はお粗末なモノだが、勝蔵こと森長可は違った。
     書道の嗜みがあるのか筆に迷いがなく、きっぱりとした字で自己紹介が始まっていた
    どうやら入学してすぐと留学したようで、道理で見覚えがないのだと晋作は一人納得した。
     その後に書道検定や算盤、武術の嗜みもあると書かれているのが高校生らしくて面白かった。
     斑類最強の織田を前に青ざめている晋作の両親と仲人の伯母をよそに、今から種付け相手に会うことを忘れ吉法師と話していれば、ずしりと空気が重くなり、蘭の香りに包まれる。
     胡蝶蘭の間に挟まれた噎せ返る匂いは蕩けたバニラアイスが病床にこぼれ落ちたように甘ったるい匂いに、嗅いではいけないと鼻を押さえたくとも本能がそれを求めてしまう。
     逃げなくては、蹌踉めきながらも踏み出す高杉の腕を誰かが掴んだ
    「ようやく手に入れた、俺の晋作」
     目の前の男はパリッとした三つ揃えのスーツを着ているはずなのに、そこには己だけの真っ赤な熊がいた。
     くるくるとした瞳は蛇の目の血がそうさせるのか
     この瞳はダメだ、何もかもを蕩かす黄金の瞳が晋作を射貫けば晋作は考えることを全て放棄した。
     **
     番を見つけフェロモンや発情期に当てられた斑類がする行為は一つしかない。
     熊樫の凄まじい精力と蛇の目の淫靡な欲情を前に理性など役には立たず、気づけば晋作はベッドで組み敷かれて、破瓜された。
     今思えばよく初めて同士で怪我がなかったと感心すらしたが、悔しいがあの時はまだ長可は成長途中だったのでどうにか繋がれたのである。
     今だったら確実に死んでいたとソファーの上で一人納得する晋作の頭を長可が後ろから頭を撫でて、躰を包み込んでくる。
    「森君、ちゃんと明日の準備は出来たか、」
     森君は僕だけの呼び名だと高杉はいつか織田の前で自分の独占力を見せつければ、お熱いことでと大笑いしていた
    「年下扱いするんじゃねぇ、殺すぞ」
     あの字からは想像が出来ないほど長可は高校生らしい言葉遣いは乱暴ではあったが、ちゃんと彼の中でそう話して良い相手とダメな相手は区別しているし、話したくない相手なら無視をするのだから晋作は好かれているのだろう
    「殺すならベッドの上で、なんてね……ごめん本当に冗談だから、僕明日一限からなんだ」
    「……それなら仕方がねぇ、週末きっちり殺すから覚悟しておけ、」
    「そういう所だぞ、森君」
     さらりとすごいことを口した長可が更に躰をすり寄せる
     あの後、そういえば懐蟲仕込んでいなかったなと、もぞもぞとベッド上で口走った晋作に、長可が首を傾げ、同じ弓道サークルにいる刑部が聞けば「同人誌の鉄板ネタ」というような誤解から始まる恋が始まった。
     長可は最初から晋作が欲しかったのだ。
     熊の執着心と蛇の執念深さを持ち合わせた長可は、晋作と同じ学校に入り、告白しお付き合いを開始するつもりだったが、「スクールライフよりキャンパスライフの方が楽しくない☆」という吉法師より話が通じない魔王信長の一声で留学した彼は一足飛びで卒業し、織田の力を使って、晋作と同じ大学へ潜り込んだ。
     おかげで三年生になった現在でも「森、お酒のみに行かない」という大人の誘いに「まだ未成年」という彼渾身のギャグだと思われる事実を口にするハメになっている。
     運命の番であれば結納金は不要とその代わり学生らしい慎みのある生活を晋作の父は求めたが、番との同棲生活だ爛れもするがキチンと学業がこなせているのは長可の忍耐力と晋作の努力の賜物である。
    「冷たてぇな、温めてやるから布団に行くぞ」
    「……絶対に手出すなよ、単位落としたら叱られるのは僕だ」
    一緒に住んでいるマンションに寝室は一つしかない
    「あ、寒い寒いってすり寄ってくるのはお前だろ」
    「僕は蛇の目だからね、仕方がない湯たんぽがそう言うのだ寝てやろう」
    しゅるりと長可の躰に纏わり付くと晋作はベッドに連れて行くように命じる。
     熊は気に入ったモノを埋める習性があるのだから、ここは年上らしく攫われても良いのだろうと蛇の目で笑った
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