きっかけは単純だった。借りてきたビデオの中にゲイポルノが混じっていたからだ。
週末、遠方で開かれる同窓会に出掛けた両親は妹たちを母の実家に預け、土曜日も学校がある高杉は家で留守番させた。
「家に誰もいないから、泊まりに来ない?親も森君がいた方が安心だって」
丸い小ぶりな顔立ちに似合う耳を見せるように切りそろえた紅梅色の髪に勝ち気な瞳。
ツンとすました顔立ちは猫のようだと云われているが性格も何処か似ている。
愛くるしく猫が好きな人間はそれだけで猫に捕らわれてしまう。
だが猫は気まぐれなので、本当に懐いた相手にしか媚びないし、近寄りもしない。
それでも良いと何人もの女子生徒が高杉を構い倒そうとしたが、いまだに三ヶ月記念日を迎えた彼女はいない。
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