人生で一番幸せになった日 ーエピローグーベッドの上で見上げる快惺の顔は、なんだかいつもと違って見えた。こうして触れあえるのも久しぶりな気がする。聞けば、触れてしまったらせっかくのサプライズが我慢できなくなりそうだったから、とのこと。
触れられない間は、寂しくて、怖くて。でも知ってしまえばそれは全部泉の為だった。それまでの寂しさなんてあっという間に喜びに変わって、別れ話どころかプロポーズされたことがもうこのまま死んでもいいと思うくらい嬉しくて。
快惺の背に回そうと上げた左手の薬指に、しっかりと輝く指輪があることに知らず知らず笑みが零れる。
「……泉、オレのもの……なんだな」
ぎゅうっと抱きしめられるその力強さにすごく安心する。触れる素肌は暖かくて、鼓動のリズムが心地よくて。
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