白色 水無月が日毎にめくるカレンダーに書かれ始めた梅雨の頃。昨日までの酷い雷雨が嘘のように晴れ渡っており、朝靄が立ち込め、霧の奥には早う朝にならないかと待ち侘びるような淡い色をした空が見えていた。寒くもなく暑くもなく、涼しいこの屋敷の中庭は暇を潰すのにも趣味を楽しむのにもうってつけである。
珍しく晴れた日だったので、私は紫陽花を見るために彼女を連れ立ってここへ来ていた。地面がぬかるんで靴が……ということは心配しなくても良さそう。綺麗に整えられている。ここの屋敷の従者達は朝早くから起きているのだろう、嵐で落ちた葉は端に寄せられ、道の端に少しだけ泥が残っていた。きっと掃除したんだろう、私が起きるより前に……たまには彼女ら彼らに全く自由な日を作ってあげよう。いつも頑張ってくれているお礼として。
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