「お前の事だ。ろくに進路など考えてはいるまい。卒業後は、俺の元で働くが良い」
いつもの様に何処から滲み出るのか解らない自信で頼城紫暮が言い放つ。その言葉半ばで矢後勇成はくるりと踵を返した。
「無視する気か? 不良。全く予想通りの反応だな。だが、昼寝はし放題で、仕事内容は強い奴と戦う事。と聞けばいくらお前でも……」
さっさと立ち去ろうとしていた勇成の足が止まる。肩越しに振り返ったその表情を見て紫暮はやれやれと息を吐く。
「……話しを聞く気になった様だな」
勇成に与えられた肩書は、紫暮のボディガードだった。そもそも紫暮にボディガードなど不要にも思えるが、即座に対応出来ない場合も多いのだと、簡単に説明された。
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