日陰 スカラビア寮地。太陽光を遮る雲は無く、余すことなく地表の砂を焼く。燦々と輝く太陽の下で、より一層オアシスは煌めいていた。
そのオアシスを中心にして開かれた宴では、今がウィンターホリデー、冬の只中であることなど誰もが忘れている。
陽気な音楽に合わせて歌い踊り、豪華な料理の数々に賑わいを見せた宴も中盤。各々が自由に過ごす合間──
目まぐるしいホリデーだ。オクタヴィネルの寮長、アズール・アーシェングロットは賑々しい光景を見て思う。オーバーブロットの不祥事など、まるで夢の中の出来事であった様だ。普段海の中にいる人魚があげく砂漠の果てまで飛ばされたなど、それでさえ校内の出来事であるから笑える話である。
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