Mess-age翻る布と、踊るライト。
うねる群衆に呼応して、跳ねる声。
舞台袖には背中しか見せない。
ステージへ上がれば観客に夢を見せる、みんなを笑顔にするアイドルになるのが彼だから。
アンコール曲も終え、深々と頭を何度も客席へ向かって下げながらようやく袖幕まで戻ってきた鋭心へ駆け寄る。
案の定膝を着くように前のめりに倒れ込んできたので、体を滑り込ませて抱き留めた。
今日の公演は、これまで彼が魅せた中でも最高の出来だった。
けれどもトランス状態の一種なのは一目瞭然で、明らかにオーバーワークだった。
しかし終演のアナウンスが流れても、会場からは拍手が鳴り止まない。
これこそが壮絶なパフォーマンスに対しての、わかり易すぎる評価だ。
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