今日も人間のふりをしている。今日も人間のふりをしている。
魔法生物たちはいつもそう言いたげな目でこちらを見てくる。
ご飯をあげれば食べてくれる。ブラッシングをすればちゃんと甘えてくれる。
でもそれはその時だけ。いつも少し遠巻きに、警戒しているみたいに僕を見る。
ナティやセバスチャン、ポピー。他のみんなにも先生たちにもシローナにもピピンさんにも、人間じゃないディークだってそんな目で見ないのに。
僕に向き合う魔法生物たちだけは、いつでも僕の頭の1ヤード後ろを見る。
ああ、そうだね、僕はいつもここから見てる。
恐ろしく疲れているときには偶にあったことだったけれど、ホグワーツに来てからそれはほとんど四六時中になった。
何もかもが自分の頭越しのように見えて、現実感がまるでない。ふわふわと浮わついた心地で、色鮮やかな景色もすべて作り物のよう。何をしていても操り人形を繰っているようで自分の体が動いている気がしないし、何かを感じてもそれはそのように感じているという情報だけで、胸の奥には手が届かない。
1945