『今年も残すところ、あと1時間となりました。街はニューイヤーのカウントダウンを前に集まった人々で賑わいを見せています…』
テレビからよどみのないアナウンサーの声が聞こえると、オレは「もうそんな時間か」とキッチンから身を乗り出して壁にかけた時計を見た。
チキンのパイが入っていた皿をピカピカに洗い終えて水切りラックに置き、手を拭きながらやけに静かなリビングソファへ近づいていく。
ソファの上には長い脚を肘掛けから投げ出して、静かに眠りにつく人物が居た。
「も〜食ったらすぐ寝るんスから」
やれやれと思いながらもソファの傍らに畳んであったブランケットを広げて、その体にかけてやる。初めて一緒に年を越すんだから、せめてカウントダウンぐらいまでは起きていてほしかった。そう思いながらも、すやすやと寝息を立てているレオナさんを見つめる。オレと同棲を初めてから、少しばかり頬のラインがふっくらしたような気がしなくもない。
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