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    kei_tnprak

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    kei_tnprak

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    SSにも満たないSSSです。なんでも大丈夫な方向け。※読んでからの苦情などはお控えください。全て自己責任でお願いします。

    tnprプラスでSSS(芥) 普段は寝てばかりなのに、珍しく昼休みにもかかわらず起きていた。彼は教室の開け放たれた窓から少し身を乗り出すと、大きな声でおーい!と叫んでいる。
    思わずその声につられるように、窓の向こうのグラウンドに目をやる。
    そこには1人の女子生徒が校舎へと戻っているところだったようで、彼女は声が聞こえた方に視線を上げた。
    両手を上げぶんぶんと振りながらこっちこっち〜!とまた叫ぶ彼に気付いた彼女が、一瞬目が合うと少しだけ微笑んでからすぐに校舎へと姿を消していく。
    それでも彼は満足したように笑っていた。
    そんな姿に思わずへぇと少し声が出る。
    この氷帝学園のテニス部レギュラー陣といえば、あの跡部景吾を筆頭にとてつもない人気を誇っているのは全生徒が認識していることだろう。
    その中で彼は特に興味のないことにはとことん無関心で、大体は寝ているかテニスをしている姿しか見たことがないと言っても過言ではない。
    だからこそ今の姿があまりに珍しく、つい興味が湧いてしまった。
    席に座ったまま身体だけを後ろに向けると窓の外を見たまま、まだニコニコしている彼、芥川に声をかけた。
    「なぁ、芥川」
    「ん?あんた誰?」
    クラスメイトでお前の前の席にいる者ですが!?と叫びたくなったが、この男はいつもこうなので説明したところですぐ忘れるだろうと思い、あえて無視して会話を続けた。
    「さっきの子って彼女?」
    そう聞けば「そうだよ〜」とまたもやいい笑顔。
    こう言ってはなんだが、先程見た彼女はこの氷帝学園では珍しくとても控えめな子のようにみえたのだ。いい意味でお淑やかそうで、悪くいうなら存在感が薄く感じる。
    だから何気なしに聞いてみた。
    「へぇーなぁあの子のどこがいいの?」
    瞬間ぱちり、と1度瞬きをした彼は、心底不思議そうな顔で答えた。
    「あの子にどこか悪いとこなんてある?」
    たった一言、だがとんでもない惚気爆弾にすぐに言葉が出ずにいると、突然目の前の彼がガタッと音を立てて立ち上がり、教室の出口まで一目散に駆け寄る。
    そこには先程の彼女が来ていたようで、この学園生活で今まで見たことないくらいの、とても幸せそうな笑顔が浮かんでいた。
    (…無粋な質問だったな)
    内心で手を合わせてごちそうさまと呟きながら、そっと2人から視線を外した。


    あの人のどこがいいかと尋ねる人に どこが悪いと問い返す

    (都々逸恋歌より)
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