tnprプラスSSS(切) 彼女の事になるとお前は喜怒哀楽がいつも以上に忙しないと部活の先輩に言われたのは、つい最近のことだった気がする。
あいつと付き合って１ヶ月と少し。好きになってからこの気持ちは落ち着くどころかどんどん大きくなっていってる。これがベタ惚れってやつ？我ながら笑えるぜ。
だからついあいつの行動や言葉に俺は柄にもなく振り回されてる。
今日もそうだ。珍しく朝練がなかったので昨日の夜に、朝迎えに行くから一緒に学校へ行こうぜと電話したら、嬉しそうな声でいいよと言ってもらえた。寝る前なんて明日は手繋いで周りに見せつけてやるかなんて考えてた程には浮かれながら寝た気がする。
だけど朝起きて俺を待ってたのは寝坊という目覚め。慌てて携帯を確認したらあいつから不在着信が数件と、メッセージアプリから届いていた遅刻しちゃうから先に行くねの一言だった。
とにかく大急ぎで準備して家を飛び出して学校に滑り込み、なんとか遅刻はせずに済んだ。
自分の席に着いてすぐに携帯を取り出してメッセージアプリを開くと、寝坊したことや電話に気付かなかったことへの謝罪を送り、続けて昼休みに埋め合わせするから一緒に食おうぜとも送る。後はあいつからの返事を待つのみ。
…だったんだけど、昼休みになっても返事がこないどころかメッセージに既読さえついてない。電話もしてみたけど出なかった。あいつの教室にも行ったけど既に姿はなく、他の場所も探したが結局いなかった。
そこからはもう俺はずっと気落ちしたままで、放課後部活のために部室へ行って着替えが終わった後も携帯を確認してみたけど、やっぱり返事はない。
｢はぁぁぁ｣
でかいため息と共にガンッとロッカーに頭をぶつけながらズルズルとしゃがみこむ。こんな状態で先輩達に会ったら絶対からかわれるだろうな…。
ただいつまでもこんなことしてても仕方ないから、とりあえず気持ちを一旦切り替えて部活に行くかと立ち上がった瞬間、手の中の携帯が震えた。
慌てて画面を見ると、そこにはメッセージアプリからの通知。画面をタップしてから数秒、俺はめちゃくちゃニヤニヤしながら思わずガッツポーズをとる。
そのタイミングで先輩達が部室に入ってきて、俺の姿を見ると案の定からかわれたけど気になんかならない。何故なら今の俺はめちゃくちゃ機嫌がいいから。

『ごめんね、鞄に携帯入れたまま見てなかった…！部活終わるまで待ってるから帰りは一緒に帰ろう？』

部活後、校門で待ってる彼女のとこに一目散に駆け出した。




泣くもじれるも　ふさぐもお前　機嫌なおすも　またおまえ

(都々逸恋歌より)