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    sheep_lumei

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    星がサンポと端末越しに仲良しになっていく話

    本国のすた~れいる公式がビデオ通話してるサン星を供給してくれたから私も煎じておくよ ありがとう公式 やはり公式を信じて幻覚を煎じながら生きていくしかない あとお揃いだったんですかブレスレット? なに?

    星間交信記録・Record 1

    朝、とはいっても星にとっての朝は彼女が起きたその瞬間をさす。特に用も無かったため昨夜はゲームで夜更かしをしてしまい、当然ながら時刻は昼下がりだ。寝ようと思えば無限に寝ることができそうだと思いながら開いたばかりの目を閉じようとして――ふと、じゃあ何故自分はいま目を覚ましたのかと顔を起こす。

    震えている端末。今日は当然アラームなどかけていないため、着信に他ならない。眠気を振り切るように手を伸ばしてどうにか掴んだ瞬間にバイブレーションはぴたりと止んでしまったが、微睡みながら顔認証で表示した通知にはなのかの名前がある。

    「なの……」

    そういえば昨日、「明日はベロブルグの行政区でうんたらかんたら……」駄目だ思い出せない。なのかが何かを買いに行くと言っていた記憶はあるが、十中八九電話はこの件だろう。それもビデオ通話の通知だ。服か、それとも食べ物か。何にせよ折り返しの電話を入れようと画面をタップした拍子に誤って通知欄をクリアしてしまった。

    これだから微睡みながら端末を見るのは良くない。無視しようとしていた通知を開いたり、逆に見ようとしていた通知を消してしまったり。いっそふて寝でもしようかと悩んだが、星は眠い目を擦りながらメッセージを開く。電話帳よりもメッセージアプリからかけ直した方が早い。ふあ、と欠伸をしながらビデオ通話を押した。

    一回、二回、三回。コール音が鳴るもなのかが出る気配はない。間が悪いのか、それとも星が電話に出なかった事でまだ寝ているのかと呆れられているのか。出ないなら出ないで折り返しがかかってくるのを待とうと通話を切ろうと、して。

    プルルルル、プツッ。

    「……もしもし?」
    「あれ?」

    自分の目を擦ってみる。目の前に広がる光景は変わらない。ついでに頬を抓ってみるが痛かった。

    「……なの、いつからそんなうさんくさい顔に」

    しかしつながったビデオ通話の向こうに映るのは笑顔のなのかでもベロブルグ城でも行政区の整えられた街並みでもない。店か家かは分からないがとにかく屋内にいることだけは確かな、サンポ・コースキそのひとである。

    「開口一番に失礼な……お姉さん、もしかしなくとも間違い電話ですね」

    そんな筈は、と言いかけて急激に眠気が消えた。

    「あー……う、ん、ほんとだ。ごめんサンポ、寝ぼけて間違えちゃった。切るね」
    「ちょっ」

    メッセージ欄を見返せばなのかとのチャットの下にサンポがいる。そうだ、この男は昨夜わざとらしい誰がどう見ても詐欺のメールを星によこしてきたばかりなのだ。半分は寝ぼけていた星自身のせい、半分はスパムメールをよこしてきたサンポのせい。溜息を吐いた星はろくに話を聞かずに通話を切った。

    それを些か後悔する羽目になったのは今度こそなのかとの通話を終え、流石に寝台から起き上がるか……と伸びをした直後。通話中で全く気付かなかったが、なのかと話していた間にサンポから幾つかの不在着信が入っていた。それも現在進行形で。

    「も、もしもし……?」
    「ああもうやっと電話に出ましたねお姉さん! 間違い電話、はいそうですか、で終わる話じゃありません。これは一種の信用問題ですから。貴女から連絡が来ること自体珍しいというのに、事前連絡もなく突然の電話ですよ電話。そりゃあ、僕だって何か異常事態が発生したのかと心配になるじゃないですか! 丁度商談の途中だったというのに、貴女のことを思って通話に出たかと思えば間違い電話だったの一言で切られ(中略)」

    正直途中からサンポの話は覚えていない。何なら聞き流しながらゲームをしていた。僕の話聞いてます!? と詰められたりもしたが、所詮画面越しなので空返事で充分である。確かなのは、信用問題だの何だのと言っているサンポが星に望んでいる事は彼の商談(どうせ詐欺だろう)を邪魔してしまった事に対する補填だ。とはいえお金で解決するとなるとサンポを満足させるだけの金額を自分は持っていないわけで……「僕の! 貴重な! 時間!」と主張しているサンポをそろそろあしらいたかった星は、口から出まかせで雑な提案をしてみる。

    「わかったわかった、じゃあ……たまに旅の話とかするからこういうミス、全部チャラにしてよ」
    「それは……まあ、それで構いませんが」
    「良いんだ」
    「星穹列車の開拓の旅はとても興味深いですから。ではまた」

    ツーツーツー、と呆気なく通話が切れた画面を見つめながらぽつりと一声。

    「あんたはあんたですぐ切るじゃん……」



    ・Record 4

    「――で、それで星芋ぷるっぷるっていう飲み物があるわけ。名前に私の文字も入ってるし、見た目も写真映えって感じで可愛い~! ってなのが言うから買ったんだけど、これが飲めたものじゃないの。それこそ水にゴミを溶かしましたみたいな味。いや、でもゴミが悪いんじゃなくて、ゴミみたいな味なのが良くないって話ね」
    「星さんのその、謎にゴミを擁護する姿勢はどこから来るんですか?」
    「強いて言えばベロブルグのゴミ箱由来じゃないかな。漁りがいがあったから……ねえサンポ、お願いがあるんだけど」
    「何です? 貴女と僕の仲ですから出来る限り引き受けましょう。お安くしますよ」
    「私が今度ベロブルグに行くまでにゴミ箱の中身を漁りがいのあるものに変えておく事ってできない?」
    「嫌です」
    「即答しないでよ。私とあんたの仲じゃなかったの」
    「親しき中にも礼儀ありですよ」
    「ああいえばこういう!」



    ・Record 10

    「やっほー。最近どう? 詐欺やってる? 博物館ガイドの仕事はシルバーメインにバレた?」
    「元気です。僕は詐欺師ではなく商人です、商人。シルバーメインの皆さんにはバレていませんよ、僕の博物館ガイドはすっかり様になってきました……そういう星さんは?」
    「超元気。でも誰かさんのせいでこないだ生きた心地がしなかった」
    「はて」

    小型ニュートリノ放射性爆弾、実はただのびっくり箱だったそれに同梱されていた手紙のことを忘れたとは言わせない。とはいえサンポの名前だけが記されていたため、星に宛てたものであると断言はできないのも確かで。だが百歩譲ってサンポが同姓同名の別人じゃないかと主張してきたとして、星は既に返答を考えてある。

    ――あんたと同姓同名でこんな真似をするような人間が、この世に二人もいてたまるかと。

    「肌身離さず持ち歩け~みたいなこと書いてあったから私、列車でこうやってごろごろ寝るにも落ち着かなかったんだよ? というか解決するまで列車にはなるべく近付かないようにしてたし……最悪、羅浮の人通りが少ないところで爆発させればワンチャンあるかなって。ほら、私は一応頑丈だし」
    「頑丈かどうかで語る事なんですかねえ、これ」
    「とにかく。あんたがやったかはこの際置いておくとして、サンポってベロブルグの外に行けたりするわけ?」

    ぴく、と画面越しのサンポが片眉を上げた。

    「さあ、どうだと思います?」
    「……あーあ、やっぱり最初から嘘つかれてた。言葉で言った事ないだけで、自分はベロブルグの人間ですって顔してたくせに」
    「まあまあ、こうして僕の秘密を明かせば明かすほど僕らが親密になった事の表れだと思いませんか?」
    「物は言いようだね」

    まあ、いいけど。
    星がさくっと話題を変えればサンポも変に掘り下げてくる事は無い。知りたいと思ったら聞く、教えてもらえないと分かっていても。つまり聞かないという事は今の星にとって大して重要なことではないという事だ。そういう、星のよく言えば割り切っていて、悪く言えば少々達観しているような面を、サンポはよく理解してくれている……と思う。少なくとも偶に電話をかけて旅の話をするという勢い任せの提案を、こうしてまだ飽きることなく守れているくらいには、サンポとの電話は楽しかった。

    「羅浮のことが色々片付いたら今度はどこに行くのかな、列車。あとで姫子たちに聞いてみようっと」
    「ベロブルグに立ち寄るご予定は?」
    「ど、うなんだろ……? 行先を決めてるのは私じゃないから、資材の補充とかが必要なら寄るんじゃないかな。なに、私に会いたくなった?」
    「あははっ、ええ。列車の皆さんが来られるとベロブルグは活気立つので、愉快なことが増えるんですよ」



    ・Record 26

    「……ええと、お姉さん?」
    「……」

    返事はない。すっかり月明かりが眩しい深夜二時だ。まあ、今現在ピノコニーに滞在している星には時間の概念などあまり無いのだろうが、仮に寝ぼけてビデオ通話をかけたというのなら相当だ。しかしビデオ通話でかかってきたかと思えば星の側のカメラは切られていて、どうにも寝ぼけている訳ではなさそうなのも確か。

    「あー……もしもーし、星さん? 僕のお得意様の星さん? 銀河を駆ける星穹列車の開拓者、ベロブルグを救った偉大な救世主様ー?」
    「うるさい……」

    ようやく声が聞こえてきたかと思えば、どことなく普段よりも力のない声だった。その理由を尋ねようとして、ぐすっと鼻をすするような音が聞こえてくると、サンポは開きかけていた口を一度閉じて何事も無かったかのように振舞う。あちゃあ、と内心星が泣いている可能性には気付きつつも触れないでやった。サンポ・コースキは善良な人間なので泣いている人間を揶揄うような真似はしない。時と場合によるが。

    「なんか面白い話して」
    「あ、のですねえ……貴女それ僕相手だからまだ良いものを、口下手な方に振ったらかなり恨まれる言葉ですよ」
    「知らない。あんたは口下手じゃないでしょ」
    「はあ……はいはい、お姉さんの気が済むまで一人で喋りますよ」

    とはいえサンポも泣いている相手に下手なことは話せない。泣いている理由が分からないとなると変に星が興味を持ちそうな話題を選ぶのも悪手だろう。しばし逡巡した末にサンポはここ一週間、自分が目撃したベロブルグの住民たちの話を一から十まで話して聞かせてやった。

    「初めてあんたのおしゃべりなとこに感謝したかも。ありがと」
    「ええ、ええ。気が済んだのであれば何よりです。ところで何があったんです?」

    相変わらずビデオ通話はサンポだけのカメラが入っている。絶妙な沈黙は星が理由を言い渋っていることの表れだったが、サンポが揶揄うつもりで聞いている訳では無いと判断したのか、漸く重い口を開いた星がぽつりと呟いた。

    「……蹴られた」
    「けられた? 足で蹴りを入れるという意味の蹴られた、で合ってます?」
    「そうだけど」
    「ええと……蹴られて、それで落ち込んでいるんですか? あの星さんが?」
    「なんか失礼じゃない?」

    星といえば、手に持ったバット、もしくはベロブルグで手に入れた槍で大抵の出来事には物理的に対応してしまえるような少女である。そんな少女が今更蹴られたくらいで泣くだろうか。心配は全くといっていい程にしていないが、困惑と混乱でサンポが言葉に詰まっている間に星があっさりと答えを口にする。

    「折角ピノコニーでゴミ箱に出会えたと思って漁ろうとしたのに、漁る暇もなく私のこと蹴飛ばして逃げてったから……」

    ゴミ箱。

    「ゴミ箱」

    思わず心の声がそのまま口に出ていたが、星はゴミ箱を漁れなかったことが相当悔しいのか、サンポがあんぐりと口を開けたまま固まっている事を気にすることなく自身の屈辱的な敗北についてこれでもかと語っている。講談師が舌を巻くような鬼気迫る語りようだが、暫く経ってハッと我に返ったサンポは密かにこう思った。

    気遣って、その、なんだ、少しばかり損をしたな……と。

    「まあ、元気になったなら良しとしますか」

    随分と互いに絆されたようだ。星も、自分も。



    ・Record 35

    「あ、そうだ。あんたから電話してきたからすっかり忘れてたんだけどさ」

    これ見てよ、と星は手首につけた新品のブレスレットをサンポに見せた。

    「露店で売られてたんだけど、なーんか見覚えあるなって思って。引っかかるから思わず買っちゃったんだけど……さっきあんたと話しててすっきりしたの! これサンポの腕輪にそっくりじゃない?」

    ぽかんとしているサンポに、星は自分がどれだけ既視感の正体を探し求めていたかについて熱弁してみる。如何せんずっと引っかかっていたのだ。通りすがりに見かけて一度は素通りしたが、帰りにもう一度通りかかった際にどうしても既視感の正体を思い出せず、寝台のそばにぽーんと放り投げていたブレスレット。正規の店でつくられているようなものではなく安い量産品だからこそ、頭を過った何かに気付くまで手元に置いておいても良いかと思い購入してきたのだ。

    「ねえ、そう思わない? 私ってやっぱり見る目があるでしょ? 価値っていう意味じゃなくて、記憶力というか、咄嗟の判断というか! なーんだ、あんたの腕輪に似てたから引っかかってたんだ。すっきりしたぁ……」

    ずっと黙り込んでいたサンポが、ひどく疲れたように溜息を一つ。

    「僕、貴女のそういうところ好ましく思いますよ……」
    「多分褒めてるんだよね? ありがと」
    「ええ、ええ、ご安心ください褒め言葉ですとも。それから、」

    ――今度ベロブルグを訪れた際には、それを持って僕の元に来てください

    「なんで?」
    「それ、どう見たって道端で売られているような安いものでしょう。貴女の向こう見ずな戦闘につけていこうものなら一瞬で消し炭になること間違いなし。お代は頂きませんから正規の店でつくられているものと交換しますよ」
    「……よくわからないけど分かった? でもサンポに何のメリットがあるの?」

    ブレスレットを指先で弄びながらきょとんと問いかける星に、頬杖をついているサンポが吐息を零すように笑い返す。

    「さあ。後々振り返ってみれば、これが先行投資になるかもしれない……とでも言っておきますよ」
    「?」



    ・Record 

    「まあ……随分と心を開いてもらえたといえば聞こえはいいですけど……」

    ぼやいた心の声をどうやら口に出してしまっていたようで、水が揺れる音と共に画面の向こうの少女が首を傾げる。

    「何か言った?」
    「いいえ何も。ただの独り言です」

    ならいいけど、とさほど気にする素振りを見せないまま話の続きを口にする少女こと星へ耳を傾けながら、サンポは書類を整理するという建前のもと出来る限り画面から目を逸らしていた。理由なんて分かりきっている。星が簡易スタンドにセットした端末を浴槽の縁に置いて、湯船に浸かりながら電話をかけてきているからだ。

    先に弁明をしておくが、今回は星が電話をかけてきている。いつものように世間話かと思いながら反射で通話に応じればこれだ。前々から倫理観と羞恥心を銀河のどこかに落としてきてしまったのではないかと疑いたくなるような少女だったが、暇だったと言いながら湯船から電話をかけてくるあたり本当に銀河のどこかに彼女の常識は置き去りになってしまったらしい。

    水を吸って首筋に張り付いた髪と明らかに浴室だと分かる光景を目の当たりにしても動揺を顔に出さなかった自分をこの世界は大いに称えるべきではないだろうか。それはまあ、サンポだって流石に注意は……まあ……したとも。だいぶかなりすごく濁した言葉で、「入浴中にビデオ電話なんてかけるものじゃありませんよ」と。最も重要だが最も触れたくない論点をずらした上でかけた言葉が注意になるのなら、サンポは注意をしたのだ。

    それに対する星の返答が以下の通りである。

    「大丈夫だよ、入浴剤色ついてるやつだし」

    何が大丈夫なのかと今すぐ星の両肩を掴んで振り回したい気持ちになったが、あいにく星たちが乗る星穹列車はベロブルグではなく遥か遠くだ。肩を掴むこともできなければ、そもそもサンポがベロブルグから出なければ直接顔を合わせることもない。

    湯水にありきたりなアヒルのおもちゃを浮かべてぴこぴこ鳴らしている姿を見ていると呆れに混じって星の鈍感さに対する一種の苛立ちすら湧いてくるが、何とか言葉を飲みこんだサンポはお得意の仮面を貼り付けて星の冒険譚に耳を傾けているというわけだ。

    「はあ、ベロブルグの寒さがちょっとだけ恋しいな」
    「恋しいのは寒さだけですか兄妹? 僕という有能な商人兼貴女の友人のことも恋しがってくださいよ」
    「こんなに電話してるのに恋しかったら、私が結構な寂しがりやになっちゃう」
    「それくらいが年相応かもしれませんねえ」
    「あと、あんたは商人じゃなくて詐欺師でしょ。最近いくら稼いだの?」
    「まさかまさか、こんなに善良な僕が詐欺など働くわけ……ざっとこのくらいでしょうか」
    「うわ」

    サンポが自分用に分かりやすく計算している収支の紙を特別ですよ、と画面に向けて提示すれば、星が吸い寄せられるように端末へ顔を寄せた。あ、これは。サンポは珍しく冷や汗をかきながら頬杖をつくふりで目を逸らす。湯気でややレンズが曇っているのが救いだが、恐らく今画面に目を向ければ見えてはいけないものが見えているに違いない。

    わざわざこうして目を逸らしてやるのは星のためではなく、我が身のためだ。星穹列車の面々にバレた時、間違いなく糾弾されるのはサンポなのだから。それはまあ、サンポだって生物学的に健全な男だ。見たくないわけがないだろう。

    「はあ。星さん、この軽い口約束から始まった近況報告の通話ですけど……最近少しばかり味気ないんですよねえ。続けたいのは山々なのですが人間、新鮮味を求めてしまうといいますか、特別感が欲しいと言いますか」
    「言いたい事は分かるけど。お互い、話す事は沢山あるけど新鮮味はないよね」
    「なので僕から提案なのですが。軽い口約束ではなく、ちゃんとした約束事として取り扱いません? その方が僕の性分に合うんです」

    それで、この倫理観も羞恥心もどこかへ置き去りにして来てしまったような少女がいつか自分以外の異性に同じことをやらかそうものならたまったものでは無い。サンポは頭をこれでもかと回して、この機会に言質をとってしまう事にした。

    「例えば……そうですねえ。旅の話をどうやって誰に話すのかは星さんの自由ですが、ビデオ通話は列車の方や致し方ない連絡を除いて僕だけにしておきません? 僕も、仕事の連絡以外では貴女としかビデオ通話はしませんから」
    「じゃあ、それで? あんたが気乗りするなら良いよ」
    「決まりですね」

    その方が互いにしか繋がらない糸電話みたいで少し面白くないですか、と。あくまでも“例”の一つとしてサンポが口にしたこの提案を、深く捉えていない星はあっさりと承諾した。

    「嫌になったらいつでも言ってください。その時はまた、別のことでも考えましょう」

    手を変え品を変え、少しずつ。名前のつかないこの関係が、しかし二人だけの特別なものであるようにと。サンポは星の手首で輝いているお揃いの腕輪を見つめながらにこりと笑った。

    とりあえず目下の悩みは、星に風呂場から電話をかけることを辞めさせる方法を見つけることである。
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    sheep_lumei

    DOODLE星がサンポと端末越しに仲良しになっていく話

    本国のすた~れいる公式がビデオ通話してるサン星を供給してくれたから私も煎じておくよ ありがとう公式 やはり公式を信じて幻覚を煎じながら生きていくしかない あとお揃いだったんですかブレスレット? なに?
    星間交信記録・Record 1

    朝、とはいっても星にとっての朝は彼女が起きたその瞬間をさす。特に用も無かったため昨夜はゲームで夜更かしをしてしまい、当然ながら時刻は昼下がりだ。寝ようと思えば無限に寝ることができそうだと思いながら開いたばかりの目を閉じようとして――ふと、じゃあ何故自分はいま目を覚ましたのかと顔を起こす。

    震えている端末。今日は当然アラームなどかけていないため、着信に他ならない。眠気を振り切るように手を伸ばしてどうにか掴んだ瞬間にバイブレーションはぴたりと止んでしまったが、微睡みながら顔認証で表示した通知にはなのかの名前がある。

    「なの……」

    そういえば昨日、「明日はベロブルグの行政区でうんたらかんたら……」駄目だ思い出せない。なのかが何かを買いに行くと言っていた記憶はあるが、十中八九電話はこの件だろう。それもビデオ通話の通知だ。服か、それとも食べ物か。何にせよ折り返しの電話を入れようと画面をタップした拍子に誤って通知欄をクリアしてしまった。
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    sheep_lumei

    DOODLEすぺ~すで行ったサン星推しカプすごろく(相互の手引ちゃん(@ tebiki396)が優しいことに付き合ってくれました。ありがとう。)でとったメモ、を一応誤字がないか確認したものになります。
    会話をしながらとったメモなので小説になっている文・なっていない文が混ざっています。

    お借りしたすごろくは元ツイートを後程追記します。
    2023年、ありがとうございました。
    サン星 推しカプすごろくlog【目次】

    1: ○○しないと出られない部屋迷路

    2: 現パロで一緒に住んでいるすごろく

    【○○しないと出られない部屋迷路 編】

    ・手を繋がないと出られない部屋

    「……何これ?」
    「ふむ……まあ、文字通りの意味でしょうねえ。星さん、手を」

    星が特に思うところもなく手のひらを差し出せばサンポの手がそれを握る。お互いに形状こそ異なれど手袋に包まれている手のひらが重なり合って、しかし扉が開くような音はしない。

    「もしや素手でなければいけないんでしょうか?」

    ううん、と考え込む素振りを見せていたサンポがぽつりと呟いた言葉。悩んでいたって仕方がないからと星は自分の包んでいる手袋をさっさと外してしまう。そんな星を暫し見つめていたサンポがにこりと微笑んだ。
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