お互い様苦手な方用に一応ワンクッション
台詞の中だけですが、勃つ勃たないとかの単語が出てきます
あとメモ書きなので地の文とかは整えてない流れだけの文です
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就職先とか色々が高確率で重なって結局ずるずると腐れ縁みたいなのが続いてるサンポと星ちゃんで、結構な確率で周囲のモブから「正直なところ二人ってできてるでしょ?」みたいな事を言われたりするんだけどそんな事はない
でもある時の飲み会で恒例と化してるその話題になった時にそこそこ酔ってる星ちゃんが「そもそもサンポって私相手じゃ勃たないでしょ」って言ったらサンポが思わず真顔で「いえ、そんなことはありませんが」って"ガチ"の答えを出してくるから場が一瞬本当に静まる回
でも酔ってる星ちゃんはそんなの気にしてないというか酔ってるから「嘘つき、また変なこと言って。サンポがそういう冗談を言うから新入社員の子たちが毎回変な誤解をするんだけど」って吐き捨てて酒を呷るのね
そしたらサンポが水の入ったコップを差し出してやりながら「でも、僕も貴女も社内で男女絡みのトラブルに絡まれることは無かったでしょう?」とかほざくわけ 星ちゃんは「そうだね、サンポに都合よく女性避けの盾にされた」って呆れてるんだけど、もうだいぶ酔いが回ってきてふにゃふにゃしてる
明日も仕事があるからそろそろ飲み会もお開きにするかって話になってきた頃合いですっかり酔った星ちゃんがサンポの胸ぐらを掴んだまま「さいてい」「おんなのてき」って言いながらうつらうつらしてる 可愛いね
それで仕方がないですねえってやれやれ顔のサンポがお先に失礼しますよって星ちゃんを支えるようにして出てくんだけど、帰路の途中で「さっきの、本気で言ってる?」って星ちゃんが呂律も思考も回ってないまま辿々しく好奇心のままに聞いちゃうわけ
「さっきの、とは?」
「私でたつとかたたないとか……」
「貴女今日はいつにも増して変な酔い方をしていますねえ……逆に何故たたないと思うんです」
「サンポ、結構社外の女の子と、遊んでるし、ずっと近くにいても、手出されなかったから」
的な会話の中でサンポが頭痛が痛くなったり(頭痛が痛くなったり)、社外の女の子が時々サの本当に知らないところで星ちゃんに突っかかってた事とかが判明したり、その話の末に星ちゃんが酔いが回ってう〜ってぐずりながら
「さんぽは遊び回って自由なのに何でわたしはさんぽのせいで苦労しなきゃいけないの、別に、遊びたいわけじゃないけど……」
「あんたのせいで人生がめちゃくちゃ」
みたいな不平不満が出ちゃうわけ
それでサンポがぴたりと足を止める
急に支えてくれているサンポが立ち止まったから星ちゃんだけちょっと前に踏み出しちゃって身体のバランス崩しちゃうのね
そんな星ちゃんが転ばないようにしっかりサンポの腕が回されてるんだけど、星ちゃんはいきなり止まってどうしたんだろうってサンポを見上げる
「サンポ……?」
そしたら酔ってぼやけてる視界の中で、真面目な顔をしたサンポと目が合う
「確かめてみますか? 僕が噓つきかどうか」
「え?」
「現状維持もそろそろ馬鹿らしくなってきたんですよ、最近。このままでは一生平行線でしょうから」
「なんの話……? え、サン」
顔に影がさして、あれ、今一瞬キスされた? ってなってる星ちゃんを覗き込むようにサンポが額をこつんと合わせて来る
「実のところ、人生をめちゃくちゃにされたのは僕の方なんですよ」
って言いながら、とうとう星ちゃんに手を出しちゃう回
この話の時空のサンポは別に熱烈な恋の落ち方をしたとかではなくて、腐れ縁で長年の間なんだかんだと付き合いが続いて来たうちに大人になるとか昇進するとか、色々周りの環境とかも変動したりする中でずっと自分への扱いを変えなかった星ちゃんとの時間に心地良さを覚えて、年数が経つと共にそれが段々と心地良さだけではなくて、独占欲とかも湧き始めた感じ
他の女の子(そもそも自分のいる会社で手を出すと星ちゃんの耳にも大々的に入っちゃうからしなかった星ちゃんへの気持ちを自覚する前も後もこれは変わってない)に手を出したりしても本気になんてなれなくて、事あるごとに星ちゃんと比べちゃって、自分に思いっきり好き!大好き!ってしてくれる人がどれだけいても、どれだけそれが美人だろうが熱烈な恋心だろうが、星ちゃんのことが脳裏を過ってしまうから上手く行かないの
サンポはサンポで星ちゃんに人生をめちゃくちゃにされていたのね
星ちゃんが物理的に目に見える形で人生をめちゃくちゃにされていたとしたら、サンポは精神的に目には見えない形で人生をめちゃくちゃにされてた感じ
けど今更星ちゃんに手を出した所で絶対本気扱いされないだろうし、みたいな諦念で別に腐れ縁でだらだら過ごせるからいいですかねえって思ってた矢先に「そもそもサンポって私相手じゃ勃たないでしょ」みたいな事言われて「??????」ってなってた
酔わせ過ぎたなって流石に送って帰ろうって思って肩貸してあげたら星ちゃんにその意図があろうがなかろうが(実際無い)、星ちゃんから「サンポのせいで人生がめちゃくちゃ」って言われて、とうとう長年の我慢にも限界が来たサンポ
手を出す(くだりは割愛)
翌朝起きてから星ちゃんが「……????????」ってなって処理落ちしたままとりあえず周りちゃんと確認せずに散らばった衣服を着て慌てて遅刻寸前で出勤するんだけど、昨日と同じシャツだからモブ後輩ちゃんに「あれ、星先輩昨日帰らなかったんですか?」「え、もしかしてとうとうサンポさんと……!?」みたいないつもの揶揄い方をされるんだけど、相手は本当に冗談で口にしたんだけど星ちゃんはそこで漸く酔ってた間の断片的な記憶が蘇って来て、
「……僕の気持ちも知らずに、」
「貴女が知らないだけで、僕がどれだけ」
「僕のものにならずとも、誰のものにもならなければそれで良いと思えるほど」
「本当に心から、僕は貴女を──」
みたいな最中のサンポの言葉やらがいくつか鮮明に再生されて「……???!??!??!??!」って封を切ったようによみがえった記憶で脳がキャパオーバーでパンクして真っ赤になってその場に座りこんじゃうの
「え、え、え!? 星先輩もしかして本当に!?」
「ちが」
「え~!?」
みたいに完全に全てを悟った後輩ちゃんがはしゃいでる中、後ろからサンポがやって来る
「お姉さん、携帯電話と僕を置き去りにしていくとは思いませんでしたよ。朝の挨拶すら無しに」
「……な、なな、」
「? ……ああ、何となく状況を理解しました。ほら、分かったでしょう? 僕が噓つきではなかったと」
──そもそもサンポって私相手じゃ勃たないでしょ
──噓つき
そう言った自分を思い出して恨めしい気持ちになりながら、星ちゃんはもう恥ずかしいやら今更ながらに腰が怠くて立てないやらで真っ赤になったまま座り込んでるんだけど、サンポが「そもそも半休を取ってあげたんですから、急いで出勤しなくて良かったんですよ。貴女が話も聞かずに、というか僕にすら気付かずに部屋を飛び出ていくものですから」って言いながら星ちゃんのこと抱え上げるのね
オフィスがざわざわしながら二人の動向というか、星ちゃんの言葉に耳を傾けてるんだけど、消え入りそうな声で星ちゃんが抱えられたまま「……サンポのせいで、ほんと、全部めちゃくちゃ」ってサンポの胸板をぽかぽか叩くからサンポが「それに関しては、お互い様ですよ」っていう 𝐻𝑎𝑝𝑝𝑦 𝑒𝑛𝑑……