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    koudate

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    風邪を引いて張遼がちょっと弱気になる話。

    #三国創傑
    #惇遼

    創傑伝 夏侯惇×張遼(匂わせ呂遼)酷い、夢を見た。何故今更呂布が。
    依頼があるままに暴れては斬り伏せ、仕事が無い日は呂布に組み敷かれ好き勝手に暴かれたそんな怠惰な日々が脳裏に焼き付く。
    汗で濡れた敷き布を掴みながら身体を起こす。不快な夢に引きづられているのかイヤに身体が重たい。何を馬鹿な事を考えているんだしっかりしろ、もうアイツと組んでいた時の私では無いんだから。
    カーテンを開けると朝日が部屋に射し込む。俯瞰するギエリア、そうだ私はブルーウィングの曹操様の片腕なのだ。ノーズフォックスを吸収し忙殺の毎日。ぼんやりとてしてる暇は一秒一刻とて惜しい。……少し早いが行くか。気怠さを振り払うかのように部屋を出た。

    違和感がある。今朝会ってからずっと観察してるがやっぱり今日のアイツはなんかおかしい気がする。淵にも聞いて見たが「いつも通りだろ?」とあしらわれてしまった。確かに仕事している姿は何時もと変わらないように感じるが、なんと言うか俺にはムリに張り切っているように見えた。気になるこのままじゃおちおち仕事に集中出来やしねえ。
    耐えきれずにとうとうイスから立ち上がると曹操様の方から何事かと視線が注がれる。肝心のいつもなら「どうした?」とすぐさま聞いてくる男は書類に向かったまま。ドスドスとデスクまで赴く。
    「張遼」
    声を掛ければようやく気づいたようでグリーンのモノアイが此方を見上げた。
    「……どうした夏侯惇」
    「どうしたじゃねぇよアンタ何かあったのか?」
    「別にいつも通りだ。早く仕事へ戻れ」
    「でもなんか朝からおかしいだろ」
    「うるさい放っておいてくれ」
    振り払おうとした腕を掴む。
    「あっつ!!」
    コイツの平熱なんて知らないが触れた体温が明に高すぎる。
    「曹操様!張遼具合悪いんで休ませてきます」
    「ああ、頼んだ」
    「私は問題ない!まだ仕事が途中だ」
    なんでこんな状態で仕事続けようとしてんだよ。自身を省みない事にも苛立ちを感じ、強く腕を引いたまま拒否する張遼を半ば無理無理執務室から連れ出す。
    「離せ」
    「普段のアンタだったら俺の事なんざとっくりに振り払ってるだろ」
    「…………」
    自覚はあったらしい。それからは黙って大人しく引かれるまま宿舎まで歩いた。

    初めて入った張遼の部屋は俺の部屋と同じ間取りのはずなのに最低限の家具だけ置かれ随分と殺風景だった。此処に越してからもう半年は経ったてるんだからもう少し賑やかだだと想像していた。
    「体温計や薬は?何処にしまってるんだ」
    「そんなものない」
    これは氷枕やスポドリも期待出来そうにないな。やれやれと言葉を呑み込み先程より具合が悪そうな張遼をベッドに寝かせ次いでに息苦しそうなんでマスクも外してやった。
    「で、なんで体調悪いの黙ってたんだよ」
    ベッドの脇に腰を下ろし朦朧としてる男をジとりと見る。
    「……前はこれくらいだったら仕事はしていたんだ、それが当たり前だと思って」
    確かに呂布なんか風邪引いてもお構い無しって感じだもんな。
    「呂布の時とは違うんだ、気にせずしっかり休めよ」
    「……しかし」
    何か言いたげだが言い淀み、中々次の言葉が出てこない。
    沈黙のまま数分は経過しただろか。珍しく根負けした張遼が漸く重たい口を開いた。
    「休んだら……居場所が、無くなりそうで」
    ……ああ、なるほど。傭兵時代気を抜けば出し抜かれたるから自身の地位を守る為ずっと張り詰め休む事が許されない、いや出来なかったのか。そりゃあ熱が出たって休めねぇよな。
    「安心しろ曹操様は風邪引いて1日2日休んだ位で見捨てるような人間じゃねぇ。ブルーウィングに迎え入れた時点で此処がアンタの居場所になったんだから」
    な?頭を撫でながら笑えば力なくこくりと小さく頷いた。撫でながら額を触り熱を測れば、さっきよりまた体温が上がってる気がした。やっぱり解熱剤飲ませないとダメだ。
    「そうだ、この部屋の冷蔵庫ってスポドリ入ってる?」
    「いや……酒とミネラルウォーターしかない」
    予想通りすぎる答えに笑ってしまった。色々と入用だな。
    「ちょっと薬取ってくるわ」
    よっと立ち上がりドアの方に向かおうと踵を返すとガクンと体制を崩しかけた。振り返ると腰の鎧を掴まれていた。掴んだ当人が俺より困惑顔になっている。マスク外しているから尚更わかり易いな。
    「薬と体温計取ってくるだけだからスグ戻る」「あ、ああ……」
    名残惜しげに手が離され熱で潤んだ表情は早く戻って来いよといいたげだ。
    珍しくこんなにも弱気になっているのは熱のせいだろう、今日はそう言うことにしといてやる。
    スグ戻るからともう一度頭を撫でてやると「私は子どもじゃないぞ」と文句をいいながら布団を顔まで上げた。
    「悪いついクセで」
    昔は淵が風邪を引く度に同じように看病していた。年上の頭撫でるのは不味かったか?でも俺が一番に勧誘した手前、やはり張遼の事は気にしてしまう。ふとした時に何処か不安そうな顔をする時があるから。今日みたいな弱った姿見てしまったら尚更だ。という訳でとことん嫌がろうが甘え尽くしてやる。
    必要なモノをさっさと見つけて戻って来ようと足早に廊下を駆けて行く。


    「曹操様も気にかけてたんですね張遼さんのこと」
    モッシャッモッシャッとお菓子を食べてながら荀彧が聞いた。
    「私が部下の異変に気づかないわけ無いだろ?」
    「じゃあ何故朝のミーティングの時に休めって言わなかったんです?」
    「ああいうタイプは私が休めと言ったところで言う事を聞かないからな」
    「あーなるほど、さすが曹操様」
    「夏侯惇が動くのがもう少し遅かったら私が連れて行ったんだが」
    「先輩も張遼さんの事朝からずっと気にしてそわそわしてましたもんねー」
    早く告白しちゃえばいいのに。お菓子を口に放り込み、ボソリと呟く。見ていて周りが気づく程にお互い意識しているのに、あの二人はもどかしすぎる。
    「そもそもアイツは好きって気づいてないと思う、昔っから自分の感情には疎いんだ」
    見守ってやってくれ。笑う曹操の表情が兄の顔をのぞかせていた。そんな顔もするんだ曹操様。
    「で、夏侯惇先輩と張遼さんの仕事は誰が代わりにするんですか?」
    「……荀彧頼めるか」
    申し訳なさそうに頼む曹操の手元には確認中の書類が。勿論デスクにもまだまだ積まれている。他に頼めそうなのは夏侯淵だが割り振られた書類を片付けるのでいっぱいいっぱいだろう。
    「仕方ないですね、今度ケーキ買ってくださいよ」
    立ち上がり、空の菓子袋をゴミ箱へ放り投げると、書類がとっ散らかったままの二人のデスクへと向かった。
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