滲む月夜ジェイミーはいつものように屋上から紅虎路を眺めていた。
なにか起きればトラブルバスターとして飛んでいくのが毎晩のことだが、この日は黄巾族たちの小さなトラブルがあった程度で、平穏な夜だった。
今日は一階の好好饅頭店が夜の営業を休んでいるらしく、いつもに比べ人通りも少ない。
「ま忙しくないことは良いことだな」
ジェイミーは一人そう呟くものの、正直なところつまらないという気持ちも少なからずあった。
今夜は誰かと闘うこともなさそうだ、といつもよりゆったりと動いていたジェイミーの瞳が、黄巾族の黄色い段ボールではない、金色の髪を捉えた。
ジェイミーはすぐにその人物が誰なのか気づく。
(…ルーク)
ジェイミーは細く息を吐いた。
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