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    case669

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    黒峰さんの猫じゃみちゃんの絵から書いたカリジャミ

    #カリジャミ
    kalijami

    にゃあ。

    と、ジャミルが鳴いた。
    いつもひんやりとした眉毛をへにゃりと下げて、つり上がった目尻を垂れ下げて、いつもきりりと結ばれた唇をぱかりと大きく開けて、もう一度、にゃあ、と鳴いた。
    「じゃっ……じゃみ、ジャミルが可愛い!!!」
    カリムが思わず頬へと手を伸ばせば、避けるどころか自ら近付いてすりすりと頬擦りされた。更にはそのままカリムの足の上に我が物顔で乗り上がって座り、ちょん、と鼻先が触れあう。思ったよりも重くて足が痛い。けれど、今まで見たことも無いくらいに蕩けきったご満悦な顔をしているジャミルを見てしまっては文句なんて言えようも無かった。
    「……ジャミル?」
    「なあう」
    名前を呼べばふにゃふにゃの笑顔でジャミルが答える。なあに?とでも言ってるような顔でこてりと首が傾き、ぴるぴると頭に生えた猫耳が震えていた。
    ジャミルが可愛い。
    いやいつもの姿だって十分可愛いのだけれど、それはそれとしてジャミルが可愛い。
    感極まって思わず唇を重ねようと近付けるも、ぐいっと二つのぐーにした手で思い切り顔を押し退けられてしまった。
    「ふなぁーあ」
    やーだね、とでも言っている、ような。思わぬ抵抗を受けてぺっしょりと悲しくなってるカリムを見て嬉しそうに笑ってる顔が可愛いのに、可愛くない、から、可愛い。
    「ジャミルぅ、ちゅーさせてくれよお」



    「……あの、そういうのは他所でやってもらえませんか?」
    実験室のど真ん中でいちゃつき始めた主従に思わずアズールが突っ込む。
    放課後に錬金術の課題を片付けようとクラスメイト数人で実験室を借りた。課題そのものはさほど問題なく終わったのだが、片付けをしている最中に一人が誤って棚の瓶を落としてしまい、不運な事にそれをジャミルが被ってしまった。
    そこへジャミルを迎えに来たカリムがやってきて……この有り様だ。
    鍵のかかっていない棚に置かれていた瓶だから、恐らくはたいして心配するような物では無いだろうと最初はジャミルの可愛らしい姿をアズールも楽しんでいた。たくさんスマホに写真を納めたし、なんなら今もスマホを向けたまま動画の録画だってしている。だがこれ以上は正直勘弁して欲しい。続けると言うのならば勿論録画はし続けるが、正直クラスメイトのキスシーンなんて見たく無い。
    「だってジャミルがこんなに可愛いんだ!」
    ちゅーしたいいい!と思い切り突っぱねられても諦めないカリムに思わず溜め息が零れる。
    こんな時にカリムを宥めてくれるのはジャミルだが、今はそのジャミルのせいでこんなことになっている。いや、正確にはジャミルは被害者で有り、一切非は無い筈なのだが、ジャミル以外にカリムの御し方を知る者が居ない今、呑気にふにゃふにゃの笑顔を振り撒いてカリムを虜にしては満足そうにしている姿を見ていれば恨みたくもなる。

    はああああ、と。
    アズールはもう一度、深い溜め息を吐くのだった。
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    case669

    MEMOだだっ子なアデレイジグナタス要塞の、宰相の部屋。
    レイヴスが数度のノックの後、返事を待たずに開けたその部屋の中に、宰相が落ちていた。
    「………」
    これが普通の人間相手ならば心配してやるべきところなのだろうが、相手はアーデンである。何を思って床の上に大の字になって転がっているのかは知らないが、ろくでもない事を考えているのだという事くらいは流石にレイヴスも身に染みて理解している。扉から机までの直線上に堂々と落ちているアーデンを踏みつけてやりたいのは山々だが、下手に突いて関わり合いにはなりたくないので投げ出された足の方から回り込んで机へとたどり着く。広げられたままの資料や書類をざっと見渡し、邪魔にはならずに目に着く場所を探して持って来た報告書をそっと置いた。本来ならば書面と共に口頭で概要をざっと説明する予定だったが、本人がこの状態なら諦めるのが吉だろう。将軍としての務めはこれで十分の筈だ。
    そうして踵を返そうとした右足が、動かなかった。思わずつんのめりそうになるのを辛うじて堪え、足元を見ればだらりと地面に寝転がったままレイヴスの右足を掴むアーデンの姿。
    「普通さあ、人が倒れてたら心配するもんじゃないのぉ?」
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