世界が終わる日に 世界が終わろうとしている。
否、もうとっくに終わっているはずだった。
二回目の大崩落。HLに再び現れた歪は高く長く深く細く。弾ければ、きっと世界を飲み込むほどに。
それがいま均衡をぎりぎりのところで保っているのは、僕に背を向けて立つあの人の仕業だ。
瓦礫、破片、生きていたものの残骸、その他諸々。足を取ろうとするそれを踏み越え地を蹴り走る僕の背中に向けて、仲間たちが名を呼ぶ声が聞こえる。
止まる訳にはいかない。
「ばかな、こと、してっ」
ソニックも置いてきた。みんなみんな、置いてきた。
妹の名を心のなかで呼ぶ。ごめん。たぶん、もう会えない。
第二次崩落が世界を巻き込めば、被害は一度目のそれの比ではなく。きっと、ミシェーラの住む故郷も、この街も、なにもかも無事では済まない。
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