ラブ・ロマンスには程遠い 番外編少し涼しくなってきた気候の中、外から来た客の体を冷やさぬようにとやや過保護に設定された暖房の暖かさが広がり、意図して照明を少し絞り気取った雰囲気を醸し出している空間から、揚げ物や肉を焼いたような匂いがほのかに漂っている。
客層はまばらなようで、見た限りではサラリーマン風の若い男や自分より少し年下ぐらいの年齢の夫婦、延々お喋りを続けている若い女二人組…平日といえどまだ夕刻なためか、中学生ぐらいの男児を連れた母親も見える。
米国風の気取った店内からは聞いたこともない洋楽が流れ、設置されている木の椅子は洒落ているものの見るからに硬そうで、座り心地は期待できなさそうだ。
……それにしても、一体何年ぶりだ?まさかこの歳でハンバーガーを食う羽目になるとは。
5862