銀糸病原体銀糸病原体
序章
ある日、地球は正体不明の細菌に覆われた。
大半の人口が死滅し、生き残った人々はシェルターに避難し限られた環境の中で生活を余儀なくされた。
その中で、数少ない有識者や自発的な者が募り、正体不明の細菌の調査機関が結成された。
とは言え、細菌の詳しい情報を得ることはできず、感染した者は体から銀糸の様な突起物が生え、次第に血液が黒く泥の様なものとなり体から漏れ出して死を迎えることと、その症状から<銀糸病原体>と名付けることしか調査は進んでいなかった。
何故ならば、外へ出たがる者など居なかったからだ。
外へ出れば、銀糸病原体と共存した生命体に襲われ、感染して死を迎えることとなる。
人としてありふれた死を迎えるより先に、細菌に侵されて人としての形状を損なわれて苦しみながら死ぬなど、普通の人間ならば避けたいものだ。
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