花は口ほどにものを言うプロローグ
いつからとか、なにがきっかけだったとか、そんなことは、覚えてない。
気付いた時にはもう好きで、心の内側を彼に侵食されていた。
姿を見かけると目で追って、言葉を交わすと嬉しくて。
だけど、本当はわかってる。
彼は自分に振り向かない。
どんなに好きで焦がれても。どんなに相手を思っても。
この気持ちが、彼に届くことは決してない。
叶わない片思い。
持っているだけ無駄な感情。
だけど簡単に捨てられない。
辛くて、苦しいこの思いは。
きっと、鮮やかな花の形をしているのだろう。
1 花吐き病
現実の恋愛も、幸せな恋物語みたいに全て上手くいけばいいのになんて、何度考えたことだろう。
もしこれが物語なら、自分はきっと当て馬役だ。
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