目を覚ました瞬間に形容し難い不快感をあちこちに覚える。月に1回程度の頻度で訪れるそれは、どれだけ経験しても慣れることはない。全身で不調を訴えてくる身体に引きずられるかのように落ち込んだ心が、今日これからの気分をあっさりと決めてしまった。せっかく今日は久しぶりに凪砂さんと会える日だというのに。
凪砂さんが所属している劇団サークルの地方公演が千秋楽を迎えたのは昨日のことだった。互いの仕事が立て込んで一週間以上会えないことなんて今までざらにあったにせよ、離れた土地に長期間いるというだけでもやっぱり普段と違うものがある。
それでも凪砂さんはほとんど毎日のように電話をかけてきてくれたけれど、話せば話すほどにそばにいて温もりを感じられないことへの寂しさは増すばかりだった。
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