Forever yours「さあ、お前の出番だ。出てくるがいい!」
芝居がかった口調で命じた男の背後の空間がゆらりと揺らぎ、何もないところから一体の人型の魔物が現れた。その姿を目にして、男と対峙していた星は呆然と呟く。
「……サンポ」
それは一週間前に突然姿を消した、星の使い魔の名前だった。
「はははははっ! どうだ、最も信頼していた右腕に裏切られる気分は!!」
「ど、うして……」
「申し訳ありませんねぇ。こちらのデボルド卿が、給金をたんまり弾んでくれると仰るものですから」
「ふん、金で主人を裏切る使い魔など聞いたことがない。貴様はよほど人望がないらしいな」
強張った顔で声を震わせる星を鼻で笑い、デボルドと呼ばれた男はニヤニヤと厭味ったらしい笑みを浮かべた。
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