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    oriron_kon

    主に妄想の呟きを文章化。リンバスは5×7と2×7が気になる。

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    oriron_kon

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    執行ムルがNヒスにキスするだけの話。
    ※見ようによっては執行ムル→Nヒスのヒスが報われないオチ。

    #ムルヒス

    執行ムル×Nヒス『接吻』 前置きもなく、にゅっと伸ばしてきた両手で両頬を挟まれては力強く引き寄せられる。
     あ…このまま顔の皮を引き剥がされるんだ。
     と何故か他人事な感想が浮かんだと同時に恐怖がMAXに達し、浮かんだ感想ごと頭の中は真っ白になった。

     そんなヒースクリフの予想を裏切るかのように、ムルソーは真顔で己の唇を相手のと重ねさせた。
     恋人同士がするキスとは言い難い、ただ唇を押しつけてるだけのキスだった。それに加え、肝心の本人は両目をしっかりと開けたままなせいで、余計に圧を感じる。
     硬直したヒースクリフの恐怖に満ちた表情が深緑色の双眼に映る。

     ひび割れてざらついた唇を唇で触れては離れ、また触れるの繰り返しが何度も続くと焦れったくなったのか、ムルソーはいきなり相手の下唇を軽く噛んだ。
     軽く歯を立てただけなので特に痛みはないが、攻撃されたと思い込んだヒースクリフが「ぎゃっ!」と小さく悲鳴をあげたことで開いた隙間を狙い、再び唇が重なる。
     今度は上唇と下唇の間へ捻り込ませるように己のを押し付けては、相手の口内へ舌を滑らせた。

     人間が持っているのよりとても長く、人間の常識からかけ離れた青緑色の舌がヒースクリフの口内を這い回る。
     あのポーカーフェイスのどこに隠してたんだと突っ込みたくなるのが上顎裏や頬裏などあちこち撫でてきたのにヒースクリフの全身が大きくはねる。
    「っ!?んん―――…!!」
     明らかにディープキスをされているとようやく状況を把握し、急いで振りほどこうと身をよじるも、力強く両頬を掴まれているせいでびくりともしない。
     紫色の瞳から大量の涙が溢れ、頬を伝い落ちていく。
     対し、ムルソーはうっとりとかそういった空気すら見せない淡々とした真顔で相手の口内粘膜をひたすら舐めとる。

    「おっ…ぼっ、うぐっ…う゛っ、う゛ぇっ……」
     缶詰の中身を無理やり食わされた時に似た息苦しさに何度もえずく。
     今すぐ解放されたい気持ちを込めて、相手の二の腕あたりを強めにタップしてみても気持ちは届かなかった。むしろ抵抗すればするほど、両頬を掴む力が強まってる気がする。
     
     相変わらず、彼の反応を隅々まで観察するかのように目を開いたままなムルソーは相手の口内に収めた舌を器用に動かし、何回か顔の角度を変えながら相手の唾液を啜る。
     ぢゅるっ、ぴちゃ、ぐちゅり、ぢゅるるっ。
     互いの唇の隙間から水音が止むことなく響き、双方のが混ざった唾液がヒースクリフの顎を伝い垂れていった。
     本当なら情欲を煽るきっかけになるはずが、彼が抱える恐怖心を増させる材料にしかならなかったらしい。

     その時、喉を越えて食道へ長い舌が入りかけた。
     浄化された異端が隠し持っていた食料を小槌たちと分けながら食べていたのを中槌に見つかり、胃に収めた分全て吐き出すまで指を突っ込まれた瞬間を思い出した。
     できれば脳の奥深くへ封印したままでいたかった記憶が明瞭に呼び起こされてしまうほどの衝撃がヒースクリフの喉を襲う。
    「っっっ…おっ……」
     嘔吐寸前の不快な感覚が下から込み上がり、横隔膜あたりが痙攣を起こしているのが分かった。
     大量の冷や汗が全身の体温を奪い、ガクガクと震えが止まらなくなる。
     ゴッ、ゴホッ、ゴッ、と確実に喉を痛めること間違いなしの咳が何度も出ているのに、ムルソーは引き続き相手の唇を唇で喰んでは口内を舐る。

     ついに、ぐるりと瞳孔が上向き、相手の二の腕を叩いていたヒースクリフの両手がだらんと力なく垂れ下がる。
     現在進行形で何をされているのかも把握できなくなるぐらい頭の中が真っ白になったのは、愛撫に近いキスをされて気持ち良かったからではなく、ただの酸素不足による失神だ。

     ちゅぱっ…と軽く音を立て、二人の唇が離れる。
     半開きとなったヒースクリフの口からぬろろろ…と青緑色の長い舌が出てきては持ち主の口内へ戻っていく動きは、巣穴に戻る途中の蛇を連想させるだろう。
     ようやく舌の先端まで出てきたと同時に相手の舌との間を唾液の糸が繋ぎ、つぅーと細く伸びたところで、ぷつんっと呆気なく途切れた。

     あれほど激しいキスを繰り広げたのに関わらず、涼しげな表情を浮かべたムルソーは白目をむいたきり動かなくなったヒースクリフをじぃっと見つめる。
    「人間が接吻をする理由は互いの愛情を確かめる行為だと聞いている。そして好意を伝えるのに手っ取り早い手段とも」
     手にした報告書を読み上げるように抑揚のない淡々とした口調で語ってからゆっくりと首を傾げる。
    「ところで、お前はどう感じたか」
     先ほどのキスの感想を聞くも、当然ながら答えは返ってこなかった。
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