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    さなぎの置き場

    @sanagi1nizi

    咲凪さんのツイートで上げるにはちょっとマズイかも…?なお話や中途半端に終わったお話の置き場。

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    さなぎの置き場

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    この5人の絡みがみたいと思いつつシャチョの依頼内容が何も思い浮かばない&ぼるたの解像度がバカ低くて表に出しにくく没になったお話を供養させて下さい。

    シャチョがぼるたに依頼する話。(未完) カララン、カラン
    「…あ。いらっしゃいませー!」
     十八時二十分、とある大通りに面したお洒落な店構えの、『CAFE Zeffiro』。可愛らしいイラストが描かれた看板のすぐ横のドアを開けば、軽やかなドアベルと共にレジカウンターの向こうから明るく元気な声が出迎えてくれた。どうやら、店内に居る客はカウンターで店員と何やら話をしている青年だけのようだ。
    「雲雀、続きは後で。上に居ます」
    「はいよ。お待たせしました、ご注文どうぞ。店内でお召し上がりですか?」
    「あ…ええと…」
     レジカウンターまで進んで、差し出されたメニューに目を落とす。注文するものは決まっているのに、決めたのに、なぜだかここへ来て迷ってしまう。本当に合っているのか、合っていたとして受け取ってもらえるのか。受け取って貰えなかったら、受けて貰えなかったら、もう他に手段が無い。
    「…お客さん?もし迷ってるなら、お先に席へ…」
    「あ、いえ…エスプレッソのSを、…角砂糖、4つ付けて。…お願いします」
    「…かしこまりました。少々お待ち下さい」
     聞いていた合言葉を注文してカウンターに茶封筒を置くと、店員さんが少し驚いたような表情をして、けれど直ぐに笑顔になる。カウンターのすぐ後ろにあるコーヒーメーカーから抽出されたエスプレッソの香りがふわりと店内に漂って、少し心が落ち着いた。
    「お待たせしました、エスプレッソのSに角砂糖4つです」
    「ありがとうございます」
    「こちらもお預かりします。追って連絡がありますので、お待ち下さい」
     どうやら聞いていた店も、注文方法も正しかったらしい。角砂糖が4つ乗ったソーサーと温かな湯気を上らせるエスプレッソを差し出す代わりに、店員さんは茶封筒を手に取る。
    「えっと、いつ頃ご連絡頂けますか」
    「急ぎですか?」
    「出来れば急いでご連絡を頂けると助かります」
    「うーん……一応急ぎでとは言っときますけど、確実では…」
    「やっほー雲雀〜、って…接客中か。…あれ?」
    「…貴方は…風楽さん?」
     ドアベルが鳴り、入店してきた青年の声に聞き覚えがあって振り返ると、最近何かと話題に上がる人物の姿があった。
    「加賀美さんじゃないですか。お久し振りです、お披露目パーティ以来ですね。あの時はありがとうございました」
    「いえいえこちらこそ、ご招待頂けて嬉しかったです」
     風楽奏斗、二十歳という若さで数々の飲食店を経営する凄腕の実業家。会社を経営する者ならば彼の名を聴く機会は多い筈だ。
    「え、奏斗知り合い?」
    「うん。この方、加賀美インダストリアルの社長さん。半年前オープンした店のお披露目パーティに来てもらったんだ」
    「あー、なるほど。じゃあ、依頼方法も奏斗に?」
    「あ、いえ、それは…」
    「依頼?」
    「そう、加賀美さんから。…あ、請負人の件については奏斗も知ってるので隠さなくても大丈夫です」
    「あぁ、そうなんですか。…その……こちらで、問題事を解決してくれる請負人へ依頼が出せると、人伝に聞きまして」
    「なるほど…そちらが依頼書ですね」
    「はい」
    「急ぎでってご依頼だけど、どうする?ちなみにアキラとセラフは上に居る」
    「…ふーん……分かった。雲雀、ランドリー開店準備」
    「了解。丁度お客さん他に居ないから店閉めるわ」
    「うん、宜しく」
    「え?あの」
    「加賀美さんはこちらへ。今丁度斡旋先の請負人が上に居ますから、ご依頼の件、直接請負人を交えてご相談させて下さい」
    「…良いんですか?依頼を受けるか受けないかは、後日連絡があると…」
    「構いませんよ。貴方には経営について色々教えて頂きましたし、お世話になりましたから。さ、上にどうぞ」
     風楽さんが二階へ続く階段を上がって行くのについて行く。大きな窓から夕日が差し込んでいる広々とした店内の端には、先程カウンターの店員と話をしていた青年と、その向かいにも若そうな青年が座っていた。
    「おーい、セラ、アキラ。仕事だよ」
    「あぁ奏斗。…そちらの方は?」
    「今回の依頼人。僕がお世話になった、加賀美インダストリアルの社長さん」
    「初めまして、私…」
    「加賀美隼人さん、ですね。初めまして、請負事務所Room4Sの四季凪アキラと申します」
    「私を知っているんですか」
    「えぇ、勿論。加賀美インダストリアルと言えば今や玩具業界を席巻する大企業、若くして就任した現社長は子供心に溢れ義理人情に厚く、経営術に関しても大胆かと思えば堅実でもあり、その手腕は他業界からも一目置かれているとか…そういう噂をよく耳にしますよ。お会い出来て光栄です」
    「はは…ちょっと大袈裟な気もしますが、そう言って頂けるのはこちらこそ光栄です」
     差し出された手を取り握手を交わすと、四季凪さんはにっこりと笑う。
    「こちらはセラフ・ダズルガーデン。うちの優秀なエージェントです」
    「初めまして」
     対して、セラフさんは表情こそ笑顔だけれど、どこかこちらを伺うような目をしていた。
    「…あ、雲雀。こっちこっち」
    「はいはーい。あ、お兄さん、忘れ物」
    「え?…あぁ、これは、すみません」
     二階へ上がってきた店員の青年が、角砂糖が4つ添えられたエスプレッソを持ってきてくれた。急な事でカウンターに忘れていってしまったようだ、申し訳ない。
    「こいつは渡会雲雀、うちの店員兼仕事仲間です」
    「どうも、渡会雲雀でっす」
     にぱ、と効果音がつきそうな、人懐こい笑顔を見せる渡会さん。お洒落で鮮やかなこのカフェによく似合う店員さんだ。
    「…それで、奏斗。彼を連れてきた理由をお聞かせ頂いても?」
    「加賀美さんがRoom4Sに依頼があるって。お世話になった人だから、俺もひと肌脱ごうかなと思ってさ」
    「では我々Room4Sではなく、ランドリーとして受けると」
    「そういう事。良いよね?」
    「まぁ、私は構いませんけど…」
    「奏斗がそう言うなら良いよ」
    「俺もオッケー」
    「よし。それじゃあ加賀美さん、ご依頼の内容をお伺いします」
     四人の視線が一気に向けられ、緊張の糸のようなものがピンと張られた気がする。…呆れられないだろうか、少し心配だけれど…他に解決策も無いのだから、縋れるものには縋りたい。
    「…今回私がご依頼したいのは……」
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