隙間で 目を覚ますと夕方だった。真っ暗な部屋の中、手探りで眼鏡を掴む。せっかくの休日だ。今からでも出かけようか。電気を付けると光が目に染みた。
寝間着代わりのスウェットに外套を羽織り、私は部屋を出た。
「うー、寒い寒い」
寮の玄関を出ると、きんと冷えた空気が皮膚に刺さった。厚手のダウンジャケットの中に腕や首を縮こめながら、長い階段を降りた。
地獄の階段を降りきると、息が少し弾んでいた。酸素不足か寒気のせいか、頭がずきりと痛んだ。ふうと吐き出した息がテーブルシティの明かりを受けて白く光る。
空が暗くなってもぴかぴかと明るいこの街も、細い路地に入ると街灯が少ない。アカデミーに入りたての頃はよく迷子になったなと思いながら、迷路のように入り組んだ薄暗い道を進む。
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