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    おリス

    @oh_risuchan

    めたかび・だめしゃどの🔞ならくがきとか文章とか。基本いちゃらぶ。

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    おリス

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    アニカビその後時空の卿周辺の話。捏造設定盛り盛りの盛りで書いてます。
    ⚠ぽょカビちょっとだけ成長していて喋ります
    まだまだ途中ですが己の退路を断つためにアップ。卿とぽょちゃCPみはほぼないですがお互い大切に思っています。というか卿はもうみんなを大切に思っている。愛。

    アニカビその後の卿の話(題未定) 先の戦いで全宇宙最大の危機は去った。
     しかし、銀河中にばらまかれた魔獣は自然に消滅するものではなかった。購入者さえ餌食にし野生化した魔獣のなかには、ときに天災規模の被害をもたらすものも存在し、これを討つため莫大な懸賞金を掲げて猛者を募る国もあった。
     この死と隣り合わせの仕事を引き受け、生活の糧を得る者はいつしか魔獣ハンターと呼ばれ、今ではひとつの職業として世に受け入れられつつある。
     若い――いや、まだまだ幼子ともいえる――星の戦士カービィは、ナイトメアを打ち倒したあと魔獣ハンターとなり今も各地を転戦している。相棒は往年の戦友ナックル・ジョー、シリカ、そして現地で新たに出会うつわものたちだと聞いている。

     轟炎魔獣、斃れる! との見出しで始まる新聞を卓上へ戻し、メタナイトは朝食に添えたコーヒーを啜る。穏やかな、よく晴れた朝だ。静かな一日の始まりは心に凪をもたらす。馥郁たる焙煎の香りを楽しみながら、このような日々が訪れることを昔の己は信じられただろうか? などと考える。
     硝子張りの窓越しに城下町を、そしてカービィの家を見る。今日も異変はなさそうだ。
     この住まいはどちらからも遠からず近からず、ほどよく見渡せるところへ建てたものだが、今となってはいずれも緊張感をもって見守る必要はない。相応の時が経ち、彼らは彼らなりの日常を再構築しつつあった。
    「卿、既にお目覚めでしたか。おはようございます」
    「おはよう、ソード。コーヒーでよいか?」
     背後からの声。目を向けずともソードナイトと判別できる。彼のマグカップを取るため立ち上がろうとすれば、慌てたような声音で制止された。
    「は、いえ、お待ちを。卿の御手を煩わせるわけには」
    「何、遠慮は要らん。私の二杯目のついでだ。それにお前たちはもはや部下ではない――と、何度言っても聞き入れられぬままここに至ってしまったな」
     メタナイトは小さく笑って椅子から降りる。かつて暇乞いにて城を出たとき、メタナイトは長らく側近であったソードナイトとブレイドナイトに解任を言い渡した。そして残りの人生をそれぞれ好きに過ごすよう告げたが、彼らはこれからも卿にお仕えするのが我らの望みです、と言って聞かなかった。そのままここで共に暮らしている。
    「まったく、一途なものだ。だが一途も過ぎれば頑固者だぞ」
    「それは主に似たのかもしれません。長く共に在りますから」
    「はは、言うようになったな」
     ソードナイトが食器棚からマグカップを取り出して振り返ったのに合わせ、メタナイトはコーヒーサーバーを軽く掲げて見せた。ソードナイトは固辞することはせず、姿勢を低くして、勲章でも授与されるかのように恭しく器を差し出す。心地良い香りがまた部屋に広がる。
    「――魔獣、の記事ですね」
     卓上の新聞に目を留めたソードナイトが、わずかに苦渋を含ませて言う。過去の戦闘の記憶が刺激されているのだろう。
    「ああ。その地域では倒せる者のない厄介な存在であったようだな。荒神として奉る者すらあったとか。だが少し暴れすぎた。彼を呼び寄せてしまうほどに」
     メタナイトは複数掲載された写真のうちの一枚を指し示した。魔獣の死骸ばかりがセンセーショナルに写されているなか、たった一枚だけ、小さな桃色の姿が確認できる。
    「おお、これはカービィ殿! 流石は星の戦士……」
    「彼にかかれば、討伐はさほど困難ではなかっただろう。今や旅の仲間も得ている」
     ソードナイトが驚嘆しきりに記事を読み始めたとき、メタナイトは青空に一筋の輝きを見た。
    「む、噂をすれば」
    「あれは星型宇宙艇! 伝説の戦士の御帰還ですね」
     弾んだソードの声を聞きつつ、久方振りだな、と独り言のように呟いてメタナイトは窓際に佇んだ。

     滑るように陽射しのなかを降りてきた星形の宇宙艇は、カービィの――彼自身の家の前で危なげなく停止した。無事に着陸できるのかとつい目で追っていたが、減速のタイミング、進入角の調整、降下位置の指定、どれも手際が良くむしろ感心の溜息が出た。彼の操縦技術はもう一人前だ。手製の免許証を授けた当時はしばらく心臓に悪い思いをしたものだが、それもすっかり過去のことだった。
     窓越しにも響いていたエンジン音が徐々に小さくなる。キャノピーが開き、桃色の丸い姿が現れた。そのまま跳ねるように駆け出して家の扉を開けたかと思えば、はっとしたように飛び上がって操縦席まで引き返し、そこへ頭から突っ込んで、何やら大きな荷物を取り出すとまた玄関へ向かっていく。その慌ただしい様子が実に彼らしく、メタナイトは仮面の奥でかすかに笑んだ。
    「お出迎えにならないのですか、卿?」
     メタナイトの後方から同じくカービィを見守っていたソードナイトが言った。よいのだ、と一言伝えて椅子へ戻る。彼には彼の時間の使い方というものがある。久し振りの凱旋ならばなおのことだ。
     ソードナイトが朝食を摂り終え、メタナイトが二杯目のコーヒーをゆっくりと飲み終えた頃、ブレイドナイトが夜警から戻ってきた。
    「ブレイドナイト、ただいま帰還しました。報告いたします。城下町、城、集落近郊、すべて異常ありません。また、帰還中上空に星型宇宙艇を視認。既にご覧になったかと思いますが、星の戦士カービィのもので間違いありません。報告は以上です」
    「了解した。楽にしてくれ」
     身を屈めたブレイドナイトの明瞭な声がメタナイトに爽やかな緊張を与える。ブレイドナイトが一礼し、直立すると、ソードナイトがその隣に並んだ。
    「ソードナイト、これよりブレイドナイトと警邏状況の情報共有を行います。半刻のち、出動いたします」
    「了解だ。近頃は虫型魔獣が積み荷に侵入し、のちに恐ろしく成長した、などという事件もあったからな。お前たちが日頃から見回りに出てくれるのは助かる。何かあれば、私もすぐに赴こう」
    「は!」
     ふたりの部下は揃って敬礼し、甲冑の立てる軽快な音とともにダイニングから去っていく。その後ろ姿を見届けてから、メタナイトはキッチンへ向かった。ブレイドナイトの食事を準備するためだ。この家にみなで住まうことにしたとき、炊事は輪番制にする、とメタナイトが決めた。部下らには大層止められたが、メタナイトの強い意向に結局ふたりは従ってくれた。
     ――自らの手で悠長に調理をするなど、考えられぬことだった。
     ナイトメアの影が宇宙を覆っていた頃は食事は生きるための雑事にすぎず、楽しむたぐいのものではなかった。ソードナイトもブレイドナイトもそのことを理解はしていても、あたたかな食卓への憧れは棄て切れなかったと見えて――自称国主の謀略に巻き込まれたこともあった。それも遠く霞むような昔のことだ。笑い話として思い出しながら、メタナイトは手を休めることなく作業を進めていく。
     そろそろ仕上がるか、というときに玄関を叩く音がした。その位置はごく低い。ああ、こういったときに現れるのも非常に彼らしい、とメタナイトは思う。
    「開いている、入ってくれ! すまないが、いま手が離せない」
    「いいの? じゃあ、入るね!」
     やや舌足らずながらしっかりした発声が響く。玩具が弾むような音を立てて廊下を駆け抜け、ダイニングへ飛び込んできたのは予想どおり――まだ小さき星の戦士、カービィだ。
    「あの、えっと――」
     振り返ったメタナイトを見てカービィは口ごもった。挨拶としてはじめに何と言うべきか迷っているのだろう。メタナイトは彼の前の椅子を軽く引いてやり、着座を勧める。
    「おかえり、カービィ」
    「あっ! うんっ、ただいまメタナイト……きょー!」
    「卿、はよい。そなたの呼びやすいように呼んでくれ」
     カービィは再びうん! と言って破顔すると、それ以上何かを話し始める前に、目と口とを大きく開いた驚嘆の顔で卓上に並ぶ料理を見た。
    「これ、つくったの?」
    「そうだ。本日の当番は私なのでな。夜勤明けの部下のものだから軽食ではあるが――」
    「おとうばん? すごいなあ、なんでもできちゃうんだね」
     感心するように話すカービィの目は、爛々と輝いている。視線はじっと皿を見つめたままだ。それでもいきなり吸い込んだりはしないところが彼の成長を感じさせる。
    「朝食がまだなのであれば、ここで摂っていくか?」
     たった今出来たての、色よく焦げめのついたホットサンドをカービィの目の前に差し出す。続いて根菜の溶けたポタージュスープを、それから村特産の羊乳チーズと砕いた木の実をあしらった葉物のサラダを。
    「ぼく、あさごはんは、さっきちゃんとたべてきた……んだけど……」
     哀しみにも似た苦悩と葛藤を滲ませる声。メタナイトが促すように頷くと、カービィは最初の笑顔よりも格段に嬉しそうに笑った。
    「やったあ! それじゃあいただきますっ」
    「ふむ――手製の料理が素直に喜ばれるというのは、やはりこころよいものだな」
     メタナイトが感慨を込めて呟く間にも、カービィはすべてを平らげていく。数分と掛からず未使用かと思うほど綺麗な皿だけが食卓に残されたが、彼なりにできるだけゆっくりと味わってくれたらしい。ひと口のうちに食器ごと頬張ったりはしなかった。
    「ごちそうさま!すっごくおいしかったあ」
    「そうか、ではまた振る舞おう」
     心から満足した様子のカービィを見ていると、メタナイトの頬も自然にゆるむ。新たに淹れなおしたコーヒーに砂糖を多めに溶かし、軽くあたためたミルクを注いで彼の前に置いてやる。
    「いいにおい……」
     うっとりと目を閉じ両手でカップを握るカービィに、メタナイトはおもむろに尋ねる。
    「それで……私に何か用が?」
     カービィは大きく二、三度瞬きをすると、あのね! と元気な声を出した。
    「あとでぼくのおうちにきてほしいんだ」
     おみやげがあるの、と言ってカービィは笑った。
    「それは嬉しいな」
     メタナイトは素直に笑みを返して、それからキッチンを振り返る。
    「ブレイドに食事を出して、ここを片付けたら伺うとしよう」
    「あの……でも、よるじゃなきゃだめなの。だからおゆうはんのあとにきてね」
    「――夜?」
     思わず聞き返したとき、ソードナイトとブレイドナイトが別室から戻ってきた。
    「カービィ殿! お久し振りです」
    「また一段と逞しくなられた。ご無事で何よりです」
     口々に帰還を喜ぶふたりに、カービィは椅子から飛び降りて駆け寄る。そのまま楽しそうに話し始めた彼らに、メタナイトは声を掛けた。
    「みな、まずは座ってゆっくり話したらどうだ?」
    「卿、しかしまもなく巡回の時間です」
    「イレギュラーへの対処は柔軟にな、ソード」
    「……はっ! 御助言、ありがたく拝聴いたします」
     ソードナイトが胸に手を当て深々と頭を下げる。心からの礼のようだ。いつまで経っても固さの抜けない部下の振る舞いにどこか安堵すら覚えつつ、メタナイトは席を立つ。
    「ブレイドの朝食は諸事情によりこれから準備に取り掛かる。歓談で空腹を紛らわせておいてくれ」
    「卿――いえ、ありがとうございます」
     ようやく席に着いた部下と小さな星の戦士を見て、メタナイトは満足げに笑った。



    ***とりあえずここまで***
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