🎉との出会い用を済ませた帰り道、後ろから突然、
「はじめまして」
赤い髪の男性に声をかけられる。
「…えっと新しく入る研究員さんって君の事だよね?ほら、写真と同じ顔!僕達の事知ってるって聞いてたから、迎えに来ちゃった」
赤い髪の男性は優しくこちらに笑いかけてくるが、写真には自身とは似つかない他人が写っている。
人違いだと伝えると、彼は笑顔のまま腕を掴んできた。
「いいや!君だよ!良いからついてきて!」
腕は強くひっぱられ、振りほどけないまま見知らぬ建物まで連れて行かれる事に……
幼稚園? 入り口にある謎の建物の横に立てかけてあったプレートに気付く。室内では幼い子供達が寝ていた。
「ごめん自己紹介してなかったよね僕はバンバン、ここの園長先生だよ、今は子供達が寝ている時間だから奥の部屋に行こう」
バンバン…?
変な名前だ、少なくとも日本人ではない気がした
髪や眉毛まで赤いし、とてもチャラい園長先生がいたものだ…
不安を隠せないまま、奥の部屋に着くと、バンバンは広いソファーに座り込み、対面に自身も座った。
バンバン…彼はずっと笑顔のまま、こちらを見ている。
「写真他人だったからびっくりしたでしょ?周りの目があるからつい嘘付いちゃった…その…人を探してたのは本当の事なんだけど、えっと…実は………」
彼は顔を少し赤く染めながら何かを伝えようとしている。しかし、いきなり連れてこられていい気分はしていない…今すぐ帰りたいと伝えた。
すると、彼は表情を固まらせたまま立ち上がり、部屋の鍵を閉める、咄嗟の事で何も出来ず、ただ後ろ姿で立っている彼の背を見つめた。
「行かないで」
振り向きもせず、彼は扉の前に立ち続けている。
「友人達から写真を貰ってその中でいい感じのを恋人にしてこいって言われたんだ、でも…町中で君を見つけて……凄くタイプだったから、キッカケ作りとかもよくわからなくて、誘拐みたいな事して悪かった…本当にごめん………」
今にも泣きそうな声で謝罪を繰り返す
つまりはこちらに、一目惚れして話すキッカケが欲しかったらしい。
こんなにもナンパが下手な男性がいるとは…
悪気が無かった事を知り安心して、この事は問題にしないと伝えた。
すると彼は、嬉しそうに振り向きこちらに近づいて、手を握る…先程の力強さはなく、優しく包み込むように
「良かったら、頻繁に遊びに来て欲しい!建物の中とか案内したいし、その…二人きりでまた話したい事もあるし…でも今日は本当に…会えて良かった…」
彼は照れながら距離を縮めてくる。
「…好きです、あなたの事が」
あまりにも突然の告白に動揺した瞬間、彼に強く抱きしめられる。
……
……。
今日は何もかも違う1日だった…
突然知らない人に声をかけられたと思ったら、誘拐されて、今は抱きしめられている。
状況を整理しようと頭の中はいっぱいで、抵抗できなかった。
「必ず会いに来てね?来なかったら迎えに行くから…」
彼は抱きしめたまま耳元で甘く囁く
うん。と、何も考えられないまま返事をすると、スッと彼は体を離し、笑顔で満足そうにしていた。
帰り際、明日から自身はどうなるのだろうと、
心臓が高鳴る…不安なのか、それとも何かの期待なのか分からない。
ただ、忘れられない。
赤い髪の彼の事が。
___End(続くかも)