(未完)「あの子に会える魔法の小瓶」No.01理解が203号室のドアを開けたとき、大瀬は、トカゲが眠るケージの中を覗き込んでいた。トカゲは彼のペットだった。
こちらに背を向けていて、表情はうかがえない。
一瞬、理解は不安になる――あれが「いつもの」大瀬君だったらどうしようか、と。理解はノックもしていなかった。
だが、
「あ――理解さん!」
その弾んだ声。
振り返った大瀬の、赤い頬、同じ色の目尻に縁どられた潤んだ瞳。その屈託のない、愛らしい笑みを見て、理解は確信する。
――ああ、「あの子」が目の前にいる。
――ようやく会えた。
思わず泣きそうなほどの喜び。
大瀬は、ぺたぺたと裸足でこちらへと駆けてくる。
「どうしたんですか?こんな遅くに」
理解を真っ直ぐ見上げ、微笑みながらそう尋ねる。
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