(未定) 縁側の老夫婦。そんな情景に憧れがあった。実物をこのエルジオンで見ることはないけれど、ソフィアの目には道行く夫婦がみな仲睦まじく映る。目の前にあるその情景を花の墨で記そうとしたこともあったけれど、なぜかさらさらと散ってしまった。
「ごちそうさま。……美味しかった」
「そうか」
休憩がてら寄ったつもりのカフェで、思いのほか長居してしまった。手元の器を見る。ミックスジュース、カフェラテ、レモンティー。ついでにレアチーズケーキ。初めから全部を注文したのではない。ソフィアが頼んだドリンクを空にするたび、ジェイドがなにかいらないのかと店員のように言うせいだ。そのくせ自分は最初にコーヒーを頼んだきりで、しまいには知らないうちに会計が終わっているという状態。憎たらしい。
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