『鳥籠に兄の幸福を。』「ア"?」
唐突に疑問が胸に生まれ、声が出る。
俺は何かを忘れているような気がする。
大事なことだったと思うがなんだったけかな。
周囲に自分以外の人間は誰もおらず、何も無い空間。唯一目の前には、ピンクに緑、青に黄色。カラフルな色の硝子玉がキラキラと輝いて転がっている。
綺麗なはずなのに、どこか物足りない。
何がないのか分からず不安と焦りだけが募り、段々と息苦しくなってきた俺はゆっくりと意識を手放した。
カチコチ、カチカチ。カチコチ、カチカチ。
秒針の音が耳につき、目を開けると、時計の音だけが響く真っ白な空間。
俺はさっきまで何かを必死に探し求めていたような気がするが、それは果たしてなんだったか。
何も思い出せないが、なんとなく大切なことだった気がする。忘れてはいけない気がするそれを思い出すために、先程まで見ていた夢での出来事について、ゆっくりと思考を巡らす。
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