夜。 つかほにもうすぐ月が空高く上がる頃。
周りは段々と薄暗くなってきて逢魔が時とやらはついぞ過ぎ去ったようだ。
世界が光から闇に移り変わるその時間が、自分達を一般の人間から裏社会の人間へと切り替える。
大通りを少し外れた路地。
そこには表通りより少し早めに夜がやってくる。
その暗がりを3人の男が走っていた。
いや、これでは状況説明として充分ではないだろう。
1人は黒のフードを被った男。よろよろと転びそうになりながら必死に狭い路地を奥へ奥へと向かっていく。
その後ろを歩いて追っているのが2人。
灰がかった髪の男は先を歩く黒髪の男の後ろをるんるんと鼻歌でも歌いそうな様子でついて行く。
先頭を走る黒のフードの男がついに辿り着いたのは路地の最奥、行き止まりだ。
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