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    せいじ

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    ロブカばかり(だいたいデキてる/糖度高め)
    絵文字ありがとうございます😭

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    せいじ

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    酒はのんでもほにゃらら…の前日譚として読めそうな無意識両片思い口ブカ。
    口づけのみ

    いつもの謎時系

    「はぁ…、おまえと飲むとだめだな…
    楽しすぎて加減を忘れて飲みすぎてしまう」

    アルコールが入るとシュバルツの雰囲気はだいぶ変わる。ふにゃりと柔らかく笑う顔が年齢よりも幼くみせる。蕩けそうな微笑みを向けられるとどうにもソワソワと落ち着かない気持ちにさせられてしまう。

    「おっと、」
    「大丈夫か?」
    「すまない、」

    アルコールがまわったのかバランスを崩してスツールから落ちかけた身体を腕で支えてやる。腕の中に収まったシュバルツの身体は思っていたより軽く、少し驚いてしまった。先程よりも早くなった鼓動に戸惑ってしまう。シュバルツはハーマンの腕に掴まるとゆっくり身体をおこした。

    「基地まで戻るのが億劫になるな。今日はいささか飲み過ぎた…こんな体たらく、部下に見られたらなんて言い訳したものか……」

    シュバルツが離れたことで軽くなった腕に寂しさに近いものを感じてしまう。普段ならばお開きのタイミングではあるのだが、どうにも離れがたく、ふと思いついた考えをそのまま口にしてしまう。

    「…ふむ、ならおれの部屋に来るか?」
    「…おまえの部屋に?確かに基地よりは近いだろうが突然おれなんかが行ったら屋敷の者も…それこそ大統領が驚くだろう?」

    俺もそこまで非常識じゃないとシュバルツが言えばハーマンは何がおかしいのか吹き出す。怪訝に眉を寄せれば違う違うと更に笑いだす。

    「いや、基地の近くに部屋を借りてるんだ。大統領邸ではなくて悪いな。」
    「…なら、お言葉に甘えよう」

    それならばと会計を済ませて2人並んで店を出た。飲み過ぎたと言っていたはずなのに、手ぶらもなんだか寂しい気がして酒を幾つか買い取った。気にしなくていいのに、とハーマンは言うがそこは気持ちの問題である。

     ◻︎ ◼︎ ◻︎ ◼︎

    「ほぉ、綺麗にしてるんだな」

    案内された部屋は物が少ないせいか寝るための部屋というには少し広く感じた。

    「まぁな…と言いたいところだが、時々な、屋敷のやつらが片付けに来てくれているんだ。」
    「これほど基地から近ければ溜まり場とかにはならないのか?」

    家主に促されるままソファーへと腰を掛ける。
    見た目では気がつかなかったがソファーは簡素な部屋には不釣り合いなほどに上等で、心地よい座り心地にそのまま身体を投げ出したくなる。深く腰掛けて背もたれにだらしなく全身で寄りかかってしまうのも致し方ない。アルコールがまわった身体は欲望に忠実なのだ。この男の前で無防備な姿を晒すことに抵抗など今更感じない。

    「……そ、それこそ女とか」
    「いや、ここに招き入れたのはおまえがはじめてだな。」

    隣に座ったハーマンの重みで少し座面が傾く、用意してくれたグラスを受け取って背もたれに頭を乗せたままハーマンを見上げれば、そもそもここ最近は固定の女もいないと返ってきた。その言葉になぜかよかったと安堵にも似たものを感じて、自分の心境に少し驚く。

    「婚約者とかはいないのか?」
    「…そう言うおまえは?」
    「質問に質問で返すな、おれは…候補なら何人かいたんだか戦時中だからな顔合わせすらしなかったらすぐに別のところへいってしまってな…今ではからっきしだ。」

    正直言うと結婚願望もないから構わないんだがとつづければおれもだと返ってくる。思えば二人で飲むようになってからお互いの話をするようになった、少しずつ、軍人ではない個としての相手を知っていくのはなんだか新鮮で楽しい。他愛のない話を肴に飲む酒が美味いものだと思ったのは久方ぶりだ。せっかく買ってきた酒は少しだけ注がれて、あとはテーブルの上の飾りと化していた。

    カランと部屋に響いた音にテーブルへと視線をおくればグラスの中、氷が揺らめいた。

    ほとんど手をつけられてなかったそれへ手を伸ばしてひと息に呷る。喋り過ぎたのか渇いた喉に酒が沁みる。ふと、肩に掛かった重みに視線をやればシュバルツが凭れかかっていた。

    「すっかり酔いが醒めてしまったな…明日もあるからそろそろ休むか?」とシュバルツへ問えば汗を流したいと返ってきたので酔っている時にどうかとも思ったが先にシャワーを勧めた。

     ◻︎ ◼︎ ◻︎ ◼︎

    「ベッドはお気に召していただけましたかな?」

    シャワーを浴びて部屋へ戻ると限界だったのかシュバルツは既にベッドに突っ伏していた。自分のベッドにシュバルツが寝ているという光景に夢でもみているのかと思ったがどうやら現実らしい。

    枕へと顔を埋めたシュバルツがぽつりと呟いた言葉を辛うじて拾いとる。

    「……ん、おまえの匂いがする。」
    「悪いシュバルツ、昨日風呂も入らずに寝てしまったから汗くさかったよな?!」

    抱き抱えられていた枕を取り上げると不満そうに唇を尖らせる。

    「……別に、嫌な匂いじゃない。んっ、ほら…」
    都合のいい意味で受け取ってしまいそうだと跳ねる心のまま、どうぞとばかりに空けられたスペースに身体を滑り込ませた。シュバルツの体温に温められた布団、拳ひとつくらいの手を伸ばせばすぐに触れそうな距離、こちらを見上げてくる瞳の瞬きに心臓が跳ねる。

    (……っ、これでは、まるで)

    良からぬ欲が湧いてきそうで頭をふってどうにか散らす。このままでは取り返しのつかないことになるのではないかと己の自制心にも自信が持てず、離れようと思った。

    「…さすがに男二人だと狭いよな」

    おれがソファーに行こうかと身を起こそうとすると腕をひかれた。

    「…スペースはあるのだから一緒に寝ればいい。」

    ぎゅうと甘えるように腰に回る力に抱きしめられているのだと気がついた。

    「……枕を抱いてないと眠れないんだ。」
    「な、なら、仕方ないな。」

    なにが仕方ないというのか分からないが、シュバルツの言い分に便乗して、腕の中に閉じ込めてやる。少し下を向ければ形のいい旋毛、その小さな蕾のような旋毛に鼻を埋めれば同じシャンプーで洗っている筈なのにシュバルツ本来の香りをより強く感じてしまいもう駄目だった。どうしたってこんなにいい匂いがするのだろうか。

    酔いに任せて押し付けるように匂いを嗅いでいれば、擽ったいとシュバルツが身を捩る。胸に埋められた顔がむずがるように擦り付けられる。

    「……ハーマン」

    こちらを見上げる翡翠の瞳は揺らぎ、奥に瞬く煌めきに吸い込まれそうだ。綺麗な瞳だと以前から思っていた。簡単に触れられる距離にあるその誘惑に勝てる筈もなく、手が伸びてしまう。目尻を優しく親指の腹でなぞればそっとシュバルツの瞼が降りる。隠れてしまった瞳を少し残念に思いながらも、嫌がる素振りのないその様子に調子に乗ってしまうのは致し方ないことで、

    「………シュバルツ、嫌なら突き飛ばしてくれ。」

    ハーマンの言葉に少し息を呑んだシュバルツに、拒絶の言葉でもくるかと身構えつつ間をおいてやる、拒絶されることはなく、それどころか焦れたシュバルツが瞼を閉じたまま顔をあげる。小さく握られた服、まるで差し出されたようなその唇へ重ねてみれば、甘い吐息がこぼれ落ちた。
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