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    せいじ

    @seizi_Btn

    ロブカばかり(だいたいデキてる/糖度高め)
    絵文字ありがとうございます😭

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    せいじ

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    兄の糖分高めのロブカ

    (加筆修正済)

    モーニングコール意識の向こう。遠くから自分の名前を呼ぶ声がする。少しずつ浮上していく意識に反してまだ眠っていたいと本能が駄々を捏ねるのでそのまま睡魔に身を委ねてしまおうかと思えば、むにっと摘ままれる感触。

    「ぷはっ、」
    「起きろ。」

    眠りを妨げる息苦しさと声に促されて目を開ければ、視界に入るのは愛しの恋人。楽しそうに笑うシュバルツは可愛いのだけれど、男の握力に摘ままれた鼻が痛い。


    「おひゃよう。」
    「おはよう。」

    チュッと可愛いリップ音たてて頬にキスがひとつ。これが唇だったなら最高なのになんて贅沢なことを思いながら身体を起こす。ハーマンが起きたのを確認して漸く鼻から手を離してくれた。


    ―…ピピピピ、

    いったい何時なんだと思っていればタイミングよく鳴るアラーム。それを片手で器用にシュバルツが止める。


    「珈琲淹れてくる。」

    「頼む。」

    もう一度、今度は唇にチュッと軽くキスをしてくれた。今日は朝からいい日だ。

    簡易キッチンに向かうシュバルツの背中を見送りながら、変な方向に曲がったりしてないだろうかとヒリヒリと未だ違和感の残る鼻を擦り、今恋人の手によってアラームを止められた電子盤を見れば時間は五時半。

    どうりでまだ薄暗いわけだ。予定では五時半から数回にわけて目覚ましをかけて徐々に覚醒するつもりだったのだが、予定が大分繰り上がってしまった。

    1時間後に起きてシャワーを浴びても余裕をもって準備が出来ると思っていたのだが、こんなに早く目覚めては余裕が出来るどころかやることもなく手持ち無沙汰だ。


    だが、もう少しだけと寝直そうものならせっかく起こしたのにとシュバルツが拗ねてしまいそうで寝直すことも出来ない。きっと五時半にアラームをセットしているのを見てわざわざ起こしてくれたのだろう。

    「ほら、」

    「ありがとう。」


    簡易キッチンから戻ってきたシュバルツから珈琲を受け取り口に含む。寝惚けた頭に珈琲の苦さが沁みる。隣に腰をおろしたシュバルツをチラッと横目でみれば、熱い珈琲をはふはふと息で冷ましながら飲む姿が可愛い。淹れたての珈琲の薫りに混じりふわりと鼻孔を擽る石鹸の香り、ほんのり湿った髪、きっとシャワーを浴びてからハーマンを起こしてくれたのだろう。

    シュバルツとて指揮官という忙しい身分だ、決して早く寝ているわけではないのに、よくこんなに早く起きれるものだと感心してしまう。


    「わざわざ悪かったな。」

    「気にするな。」

    相変わらず、はふはふと冷ましながら珈琲を飲んでいるシュバルツの髪をすく。気持ち良さそうに自手のひらに擦りよってくる様がまるで猫のようだ。

    少し湿っぽい毛が情事後を彷彿とさせてあらぬ欲がもたげてしまいそうになり、慌てて良からぬ考えを振り落とす。


    「そういえば…」

    「どうした?」

    ん?と小首を傾げて不思議そうにこちらに向けられる視線。

    (あぁ、本当に可愛いらしい…!)


    「こんなに早く来るなんて急ぎの用事でもあったか?」

    「…別に今朝来たわけじゃないぞ?」

    なにを言っているんだ?とシュバルツが可笑しそうに笑う。


    「ずっと隣で寝ていたんだが…気づかなかったのか?」


    聞いてみれば、昨日ハーマンを訪ねてくれば既に寝ていて、時間も遅いし部屋に戻るのも面倒で隣に横になったらしい。

    確かにシュバルツに部屋のロックナンバーを教えていたし、入ることは出来る。

    しかし今までシュバルツがハーマンの部屋に来るときは大抵ハーマンが起きている時で寝ているときに入ってくるのは珍しいのだ、入って来ても書類とメモを残して帰っていってしまう。ハーマンが寝ているときにベッドに入ってきたのはもしかしてはじめてだったのではないだろうか。

    (可愛いところがあるじゃないか…)


    隣で眠る恋人の寝顔を見れなかったなんて…勿体ないことをしたと心の中、爆睡していた呑気な己を叱咤する。


    「……べつに一緒に寝るために来たわけじゃないからな。」

    書類をもってきたんだと、なにも反応がないハーマンに言い訳するようにシュバルツは口を開いた。顔が熱い。にやにやと嬉しそうに意地の悪い顔で笑うハーマンが憎らしい。あかいだろう顔を見られたくなくて俯いた。


    「そうなのか?」

    だらしなく頬が弛んでしまうのも致し方ないだろう、漏れてしまう笑いも隠しきれずに問えば、シュバルツは顔を見られないように俯いたまま机の上を指さしている。確かに昨夜まではなかった薄い書類の束が乗っている。

    耳まで真っ赤にして言うシュバルツが可愛いくて仕方ない。思わずぎゅっと抱き締めれば突然の衝撃にビクッと身体を強張らせてシュバルツが固まってしまった。揶揄いすぎるのは自分の悪い癖かもしれない。シュバルツの身体は羞恥か更に熱を持ち首筋まで紅く染めている。臍を曲げてしまわれては一緒に過ごせる時間が勿体無い。


    「俺は一緒に寝たかったよ。」

    「…あぁ。」


    次はぜひ起こしてくれと宥めるように背中を撫でれば、控えめに握られる裾。甘えベタな恋人のそんな仕種にすら愛しさが募る。

    昨夜はいったいどんな表情をして隣に入って来たのだろうか?



    (あぁ、本当に勿体ないことをした)


    時計を見ればシャワーを浴びてもまだまだ余裕がある。
    この時間はきっと二人で過ごすための時間だなと思えばとても有意義なものに思えた。
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