「小生は、アオキが好きです」
「..................はぁ.........」
まず最初に浮かんだのは
何故この人は、くたびれたサラリーマンで男の自分を好きになったのか、だ。
まぁこれは当たり前の疑問だろう
気になるに決まっている、何処にこんな地味な人間を好きになる要素があったのだろうか、しかも男である。それにハッサクは外見も内面も申し分無い、付き合っている相手はもう居るものだと思っていた。
と、いつも通りに考えにふけ長考していると
急に顎を捕まれ目視線が上へ向いた
「アオキ、ちゃんとこちらを見なさい」
そう言ってギラギラとした目をアオキに向ける。
アオキは心底その目が苦手だ。逃げられない、そう思わせられる。でもどうにかしてハッサクの目から逃げたくて目を逸らし無駄な足掻きをする。
「......ふむ...まだ観念しませんか」
仕方ないですね...と小さく呟き、
アオキの腕を強引に引くと
「小生も諦めが悪いタイプなのですよ」
「我慢比べ しましょうか」
そうニコニコと笑いながらアオキの負けが決まっている勝負を仕掛けてくるのだ。
きっと抗えやしない、目の前にいる空腹の竜に何の抵抗も出来ず食い尽くされるのだろう。