盛り上がる賑やかな宴を横目に、バルコニーに立ち尽くしながらツカサは何度目かの溜息を吐いた。傍らに仕えるアキトも、その隣で用意されたグラスに口をつけるミズキも、珍しく戸惑いを滲ませた表情で佇んでいる。
彼の落胆の原因は、単純に言ってしまえば失恋と呼ぶべきものであった。特訓隊としてこの都を暫し離れるその前にと告白をして、帰ってきたらその返事を聞かせてほしいと約束をした相手との数年ぶりの逢瀬にて、見事と言わんばかりにあっさりとフラレた。ツカサは髪をぐしゃりと掻き毟って幾度目かの悲観的な息を吐く。自信過剰と言われてしまえばそれまでだが、正直ツカサはルイに好かれている自覚があったし、送り合っていた手紙にだって何度も書いた愛の言葉を咎められたことだってなかった。
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