22時の曖昧な眩暈 漆喰のように冷えて青白かった頬に、うっすらと赤みが差していく。横たわるナルトの肌が徐々に生気を取り戻すのを見て、カカシはようやく緊張を解いた。
「……今度こそ駄目かと思った」
「上腕の動脈に命中していましたからね。致死量の成分が全身に回るのに時間は掛からなかったでしょう。普通だったら助からない」
あんなに太い矢が貫通したのに、傷が塞がるのもあっという間だった、と。
信じられないものを見た驚きが医忍の声には滲み出ていた。
ナルトの異常なまでの治癒力の高さは、カカシにとっては既に見慣れたものだが、彼らにとってはそうではない。張りつめた空気が緩んだところで、思わず率直な感想が漏れてしまうのも、無理はなかった。
7214