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    カカナル過去寄稿その1

    22時の曖昧な眩暈 漆喰のように冷えて青白かった頬に、うっすらと赤みが差していく。横たわるナルトの肌が徐々に生気を取り戻すのを見て、カカシはようやく緊張を解いた。
    「……今度こそ駄目かと思った」
    「上腕の動脈に命中していましたからね。致死量の成分が全身に回るのに時間は掛からなかったでしょう。普通だったら助からない」
     あんなに太い矢が貫通したのに、傷が塞がるのもあっという間だった、と。
     信じられないものを見た驚きが医忍の声には滲み出ていた。
     ナルトの異常なまでの治癒力の高さは、カカシにとっては既に見慣れたものだが、彼らにとってはそうではない。張りつめた空気が緩んだところで、思わず率直な感想が漏れてしまうのも、無理はなかった。
     尤も本人の意識があるところで口を滑らせるような迂闊な彼らでもないだろう。昏睡状態にあるナルトは、故に己に向けられた奇異の言葉を聞かずに済んだ。今はそれでよしとするしかなかった。
    「解毒剤は効いたようです」
    「山は越えたと思っていいんですね」
    「ええ、未だ予断を許さない状態ではありますが、だいぶ落ち着きました」
    「……よかった」
     再び安堵の息を吐き、カカシは目を伏せた。
    「カカシさん。あなたも休んでください」
    「はい、でももう少しここに居ます」
    「少しだけですよ。消灯の時間は過ぎていますから」
     寝台から伸びた管や機具の具合を一通り確かめ、医師と看護師は病室を後にした。



     人の気配が周囲から失せると同時に、傍らの手近な椅子へと座り込んでしまえば、カカシはもう動けなかった。
     普段は感じないような重い疲労感に襲われる。
    (しなくていい怪我だよ。ったく……)
     猟罠の撤去が今回の班の任務だった。対象の獣は、毛皮が高額で取引される希少種の齧歯類。猟季や捕獲許可数、輸出は厳しく制限されているが、違反者は後を絶たず、非正規の売買ルートに乗ってしまえば国外流出を防ぐのは難しい。
     密猟者や密売者の摘発依頼は、定期的に木ノ葉の里へと舞い込んでくる。捕えた犯人が残した罠の解除と回収も、ルーキーたちが請け負う仕事として毎年恒例になっていた。
     忍のトラップほど危険ではないが、捜索に必要な観察眼や慎重さ、手先の器用さが求められる。難易度も里付近の山野で経験を積むのに丁度良い。決して高ランクではないが実のある任務だ、と三人とも張り切っていた。それなのに。
    (油断した。まさか、密猟者同士の縄張り争いが激化していて、あんなに危険な対人の罠が仕掛けられているなんて)
     造りは至って平凡なものだ。術札も鉄線もなく、竹材の弾力を利用した程度の。逆にそれが仇となって、気付くのが遅れた。威力だけは申し分なく、至近距離で放たれれば避けるのは難しかったかもしれない。
     問題は、刃先に塗られた毒薬だった。そこだけには忍の手が入っていた。
    (手の込んだ調合の猛毒)
     ナルトはあれから一度も目を覚まさない。
    (どこかの里が、おそらく毛皮から得られる資金目当てで提供した)
     一体どこのどいつが、と飛び出して行きたい気持ちをぐっと堪える。薬物の出所を突き止める任務には、すでに火影の手によって別の小隊が差し向けられていた。自分の出る幕ではない。
     有り得ない落ち度にしか思えず、悔しかった。
     部下の負傷は上司の責任ではあるが、もちろんカカシを責める者など誰もいない。任務中の負傷は、忍にとっては当たり前の日常だ。
     ナルトが重傷や疲労で意識不明のまま里に戻ることも決して初めてではなかった。普段から天性に頼った無茶な言動で自らピンチを招き、よくそういう羽目に陥っている。里の口さがない連中にとっては格好の陰口のタネだった。
    (警戒を怠ったのはオレだ。もう少し注意を促すべきだった)
     例えこの子が昔から怪我に慣れていて、傷や痛みに無頓着だったとしても。
    (前とは違う)
     打ちのめされて、項垂れる。
    (こんなに近くにいるのに)
    (護るべき時に、何もやれていないじゃないか)
     目の前で眠る相手は苦痛の声を上げることもなく、静かに横たわっているが、カカシの心は確かに痛みを叫んでいた。



     意識が戻っても、身体が上手く動かない。手足がしびれて、寝具を掴んでも布に触れた感触がなかった。
     不安な眠りと目覚めを繰り返すうちに、辛い具合の悪さは徐々に軽減してくる。そのうち口が動くようになり、医師の質問に答えられるようになると、この程度で済んだのは奇跡に近いと言われた。
     会話ができるぐらいまで回復する頃には、同い年の仲間たちが次々と訪ねてきた。
     状況を一番分かりやすく話してくれたのはシカマルだった。
     倒れたナルトを里まで搬送したカカシは、数日前に勾留されていた犯人を締め上げて解毒剤の有無を聞き出すと、取って返す勢いで里を発ったと言う。
     そのまま犯人の拠点へ向かい、すぐに解毒剤を探し出し驚異的な速さで薬を持ち帰ったのだ、と。シカマルはナルトが意識を失っている間に起こったことを順序立てて説明した。
     カカシは特殊な任務でもない限り複数人で行動する基本を破って、手勢も連れず忍犬だけを伴い飛び出して行ってしまったらしい。
     三代目は容認したものの、
    「詳しくは知らねーが、この病院でも火影邸でも、結構な騒ぎになってたみてーだぜ」
    「そ、そうなんだ。あはは……」
     笑って見せたが、どうにも力が出ない。
     どうしよう。自分がドジをするのも騒ぎを起こしてしまうのも、昔から良くあることだが、今は何かあると全てカカシの責任になってしまう。
     お前今度は何を仕出かしたの、と困ったように眉根を寄せられて、身の置き所がなくなるあの感じ。
     どうして上手くいかないんだろう。人一倍頑張っているはずなのに。普段なら笑い飛ばして、次の活躍で何とでも挽回してやる、と息巻くところだが、今回は班内での出来事では終わらなくなってしまった。
     だが、引け目に思う気持ちとは別に、心の中には、ぽっと火がともったような暖かさも生まれている。
    (カカシ先生は……オレのために、そんなにしてくれるんだ)
     オレだけのために、そこまで奔走してくれたなんて。むずむずと笑みが湧き上がるような何とも言えない幸福感だ。
     自分のために一生懸命になってくれる誰かの存在がどれほど貴重かは、よく知っていた。そしてどんなに嬉しくても、喜んでばかりはいられないことも。
    (これじゃあ、前までとあんまり変わんねぇんだよなぁ)
     悪戯で注目を集めて安心する自分。しくじって手間を取らせたくせに世話を焼かれると嬉しい自分。
    (うわぁ、オレってば全然成長してねぇ!)
    「まずいってばよ……」
    「そうか? そうでもねぇだろ。毒の出所は問題らしいけどな」
    「でも、失敗は失敗だってば」
    「なに珍しくネガティブになってんだ? カカシ先生、もうすぐ来るぜ」
    「え! マジで」
     一体どんな顔をして会えばいいのか。咄嗟に全然わからなくなる。
     まず迷惑を掛けたことを謝って、助けてもらったお礼も、言わなければ。
     ちゃんと言えるだろうか。いつもはどんな感じでカカシと喋っていただろう。前に二人きりで話した時はいつだった?
     俄かに緊張してきて、ずきりと肺の奥が痛んだ。
    (あ、あれ……?)
     目がかすむ。また手足の感覚が鈍くなった気がした。
    「おい、ナルト。大丈夫か?」
     シカマルがすぐに異変を察知し、駆けつけた看護師が急いで熱や脈拍を計る。
    「いけない、悪化している。すぐに薬を」
     慌ただしい雰囲気の中で何も考えられなくなっていく。意識を手放す自分を、ナルトはどこか遠くで感じていた。



    「面会中止?」
    「ええ、急に熱が出て」
    「さっきまでは良かったんでしょ? シカマルは喋ってたんじゃないの?」
    「はい。せっかくカカシさんが見舞いに来る時間になったのに、その話が出たあたりで急に具合が悪くなってしまったようで」
     ついていない。自分だけがナルトに会えないように感じるのは気のせいだろうか。
     サクラやサスケからは見舞いに行った旨の報告を受けているし、シカマルの口振りではチョウジやキバだけでなく、イルカや火影も姿を見せたようだ。
     解毒剤を届けた後も、一晩休んだだけで、あれやこれやと事後処理が嵩んでしまった。極力無駄な時間を省いて駆けつけたつもりなのに。
    「どのくらい悪いの」
    「久し振りに喋って疲れただけのようにも見えますが、何か後遺症が出ているかもしれない。意識が戻っても、しばらくは気が抜けませんね」
     せめて顔を見るだけでも、とカカシは食い下がったが、入室許可は出なかった。自分が来たことだけは必ず伝えるように頼んで引き下がるしかなかった。



     目が覚めると、シカマルもカカシも、帰ってしまった後だった。
     と言うより、丸一日近い時間が経っていた。
     ちょっと苦しくなっただけで、そんなに長い間、前後不覚陥って眠ってしまうなんて、自覚できないダメージというものは、確かに存在するようだ。
    「シカマルくんは長居し過ぎてしまったことを気にしていましたが、また来る、と言っていましたよ」
    「……カカシ先生は? なんか言ってたってば……?」
    「ええ、また来ると言って、実はその後も何回かいらっしゃったけれど、面会謝絶ですから」
    「えぇっ! 何回も?」
    「あ! 起き上がっちゃだめ! 少し良くなったからって無暗に動くと……ほら、また熱が上がってる。具合は? 午前中より怠い感じ?」
    「うーん、よくわかんねぇ……。あのさ、看護師のねーちゃん」
     ダメで元々、聞いてみた。
    「頼みがあんだけどさ。次にカカシ先生が来たらさ、オレ、起きるから、起こしてくんねぇ?」
    「なに言ってるんですか、そんなのダメに決まってます。絶対安静!」
     やっぱり怒られてしまう。
    (やっべぇ、早く治してちゃんと会えるようになんねーと)
     しかしいくら人より治りが早くても、寝ている以外何もできないのは変わらない。どうすれば、と考えても変な汗がじんわりと滲むばかりで、経過を見に来た医師からも許可は出ず、大人しくしているほかなかった。



     ナルトに会えないまま、カカシの昼夜が過ぎてゆく。他の皆は来るのに一人姿を現さない上司を、ナルトはどう思うだろう。いい加減憂鬱になってきた。
     時々、いまいち信用されていないように感じるのは、遅刻も含めてだが、こういう細かいところで時間の共有が足りていないからかもしれない。あの子にはもっとそれが必要だと分かっているのに。
     だが、頻繁に顔を出した甲斐あって、収穫は手にした。ナルトはカカシが来たら起こして欲しいと言い出し、看護師や医師を困らせたらしい。
    「あいつ、そんなことを」
     迷いは吹っ切れ、思い立ったまま決行に移す。あまり誉められた行動ではないが、背に腹は替えられない。
     夜を待ち、病院の屋上から忍び込んだ。



     気配は殆ど無かった。ただ闇の向こうで空気がふわりと動いたような気がして……それが窓の方だったから、
    「……カカシ、先生……?」
     誰とは聞かなかった。そんな方向から侵入しそうな人間に、ナルトは一人だけ心当たりがあったからだ。
     実体のない影のような動きを、ナルトの目は暗がりの中でかろうじて捉えた。
    「やっと会えたな。大丈夫か」
     ベッドを囲むカーテンをするりとくぐって現れる。
    「カカシ先生」
     夢じゃない。身体中の血管がどくんどくんと暴れ出す音が、耳の奥で大きく響く。口から心臓が飛び出しそうだ。
    「だ、大丈夫だってば」
    「起き上がらなくていい。無理するな」
     慌てて起こしかけた上半身を抱き止められて、うひゃあとナルトは固まった。
     頭の中がぼーっとして、何だかくらくらする。でも、言わなければならないことはいくつもあったはずだ。
    「あの、オレ。先生がオレのために解毒剤、取ってきてくれたって聞いて」
    「ああ、間に合って本当に良かったよ」
    「ごめん、先生」
    「どうして謝るの」
    「だってオレってば、ホントならあんなの、カンタンによけられんのに。次はぜってー……!」
    「ナルト、オレも油断した。悪かった」
    「そんなの……カカシ先生こそ、そんなふうに謝ったりすること、ねぇってば」
    「あるさ。痛かっただろ?」
    「へへっ、ぜんっぜんヘーキ。起きたら治ってた」
    「……」
     特殊な体質のせいで、ナルトは痛みに臆することがない。
     それは強みだろうか。カカシにはとてもそうは思えないのだが、この先も、この子がそれを力にして戦うなら、それを否定することも、たぶん自分には出来ない。
     ただ、己が感じていることぐらいは伝えたかった。
    「ナルト、お前、もう少しで死ぬところだったんだよ……?」
    「う、うん」
    「本当に無事で良かった……」
     カカシを苛むのは、失うことへ対する恐怖だ。今まで本当に大切なものを身近に置いて、護り切れた経験が自分にはない。相手に直接触れてようやく安堵する。
    「……あのさ、それからさ。先生、」
    「なぁに?」
    「……ありがと……カカシ先生」
     ようやく考えてあった言葉を全部伝え終えたとでも言うように、ナルトは全身の力を抜き、静かになる。
     暗闇の中で抱き止めたままの身体からは、早鐘のような鼓動が伝わってくる。相手の緊張感が手に取るように分かり、カカシは苦笑するしかなかった。
     寝かせてやらなければと思いつつも、胸に抱き寄せた温もりをすぐに手離してしまうのは名残惜しく、片手の掌で髪をわしゃわしゃと掻き回す。
     ナルトは戸惑うように腕の中で身じろいだ。
    「消灯後なのに、いきなり訪ねてきてごめんね」
    「ううん」
     ようやく身を離し、寝かしつける。
    「でも会えてよかった」
    「えへへ、オレってば、タイミング悪くってさ。先生、何度も来てくれたのに」
    「気にするな、何度でも来る。今は焦らすに、身体を癒すことが最優先だ」
    「わかったってば」
    「しっかり休めよ」
    「うん」
     横たわったナルトの布団を整えてやり、カカシは病室を後にした。



     カカシの気配が無くなったのを感じて、ナルトは寝返りを打つ。
     今度はドキドキし過ぎて眠れない。息が苦しくて、心臓も胃もきゅうきゅうと縮み上がっているような気がする。
     本当に会いに来てくれた。通常の面会時間だけではなく、夜の闇に忍んでまで来てくれた……。
    (すげぇ! な、なんだあれ! なんか、なんかぁ、すっげかった! うああカカシ先生ーーー!!)
     何だか割と長い時間、抱き竦められていた気がするのも、どうやら夢ではない。大きな温もりの記憶がリアルによみがえる。
    (いつもと……全然違った……かも)
     普段のあの人の態度は、もう少し突き放すような厳しさがあったように思っていたのだが、気のせいだったのだろうか?
     さっきの今では良く分からなくなってしまった。まるで、そんなふうに感じていたのはナルトの方だけ、とでもいうような……。
     どうしよう、嬉しい。本当に心配してくれてたんだ。オレが良くなったことを本気で喜んでた。
     担当指導者としての義務感だけではない。純粋にナルトの蒙った痛みに心を痛め、真剣に回復を確認し、安心してくれていた。感じる体温からそれが感じ取れた。
     そういう思い遣りが満ちているのが、この世界の本来の姿なのだと、ナルトは何となく知っていたけれども、なかなか与えられる機会がなく、きちんと受け取れた経験も乏しい。そうする相手に巡り合うこと自体が難しかったからだ。
     この怪我で、はっきりとわかったことがある。ナルトに取ってはとても大きな発見だった。
     皆が見舞いに来てくれるのも悪い気はしなかったが、中でもカカシの訪問は、
    (カカシ先生のお見舞いは、なんか……、別格!ってカンジだったってばよ)
     思えば周りの色んな人間を好きになり、関心を持ってもらいたかったり、もっと仲良くなりたかったり、認めてもらいたかったりして頑張って、世の中には様々な種類のままならない好意があることを学んできたが。
    (今はぁ! カカシ先生が、一番好きだなーっ!)
     彼の中で、自分の順位は何番目ぐらいなのだろう。
    (あんなふうにさ、抱きしめる相手ってさ、……あ、あんまいなくねぇ?)
    (なーんてな! 先生にとってはさ、結構普通のことでさ、慣れてるかもしんねーしな!)
     冷静になって考えてみれば、彼の周りに自分以外のどんな人間がいるのかすらも、良く知らないのだった。
    (……カカシ先生も、オレのことが一番好きならいいのに……)
     抱いた望みは、あまりにも馴染みのない領域の彼方にあるような気がして、ナルトは落ち着きなく身体を丸める。
    浅い微睡みが訪れても尚、カカシのことを考え続けた。



    (ちょっと、やり過ぎたかな)
     ナルトは穏やかな時間が長く続くことを恐れるように、嫌がるというよりは、心地良さに慣れていない遠慮のような仕草で、何度か身体を離しかけたが、カカシはそれを許さなかった。安心させたくて宥めるように、さらに抱きしめてしまった。
     自分は、今までこの子が接してきた他の誰とも大きく違う。全く違っているのだと。それを教え、その差をナルトに理解させるには、ああするのが一番だった。
     あんなに素直でおとなしくしているナルトに接近できる機会は、限られている。しかも誰の目もないところで。
     千載一遇の好機を、絶対に逃したくなかった。
     まだ小さい身体だった。薄い肩と背中。
    (早く大きくなってほしいよね……)
     息を吐けば、知らず籠っていた熱は夜気に逃げていく。カカシは僅かに身を震わせた。
     夜陰に紛れて屋根を渡り、帰路に着く。


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    MAIKING自分の尻叩き用に、書き掛けを晒しながら書き進めていく場です。
    まだほんのちょっぴりです。
    そのうちpixivUPもしますが…本にもなるはずですが…先のことは何もわからない…
    ジェリームースプディングの2人のしょーもない日常です。頭の中で勝手に会話を始めるカカナルをばちこりと吐き出していくぅ~
     
     
     
     
     
    ・・・
    インビテーションコンクルージョン 久し振りに体調不良を起こしてしまった。
     身体が重い。
     怠くて何もする気が起きない。
     ナルトは広いベッドの上、仰向けで大の字に寝転がり、暗い天井を見上げる。
     他里にも協力を仰ぐほど難易度の高い任務だった。最前線で戦い続けたが、国境の砂漠から海峡まで長距離移動しながらの長期戦に縺れ込み、事態が終息する頃には体力もチャクラも使い果たした。
     里まで帰還し、病院で診察を受けるまでは何とか意識を保っていたが、医師からはしばらく自宅療養、次の許可が出るまで任務厳禁を言い渡されてしまった。
     しょんぼりと待合室で会計の順番を待っているところへカカシが迎えに現れたので、そこでとうとう気力も尽き、限界を迎えた。
     連れられるまま、この六代目火影専用の仮眠室までは何とか自力で歩いてきたようだが、記憶は途切れており、はっきり言って覚えていない。
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