ファーストキス「センパイ、……キス、したいッス」
いつも通り二人で居残りして練習を終え、帰り支度をしていた部室で、三井が着替え終わるのを待っていた流川が声をかけてきた。
三井が流川と付き合いだして1週間。これまでと変わらず部活をして二人で帰るだけの、付き合う前と何ら変わらない日々を送っていた。恋人らしい事といえば、屋上や帰り道で人目を忍んで何度か手を繋いだくらいで、いまいち付き合っている実感がなかった。
流川はバスケをしている俺が好きなだけで、俺自体を好きなわけじゃないのかもしれないと思えるほど、何の進展もなかった。
流川の告白を受け入れはしたものの、もしかしたらやっぱり気の迷いだったと言われてしまうかもしれない。それに、出会いが最悪だっただけに彼の初めての恋人が本当に俺でいいのかという不安もあった。
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