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    ザレイズのレプリカネビリム攻略戦で、ローレライに体を貸していたアッシュを庇って大怪我をしたナタリアにアッシュが怒る?お話です。全体的にはギャグです。ザレイズ時空なので、アシュナタの他にアトワイト、アニー、ルカ、ジュードが出てきます。

    【アシュナタ】レプリカネビリム攻略戦アフター「アッシュ!危ない!」
     声を聞いたのと視界が覆われるのはほぼ同時だった。
     アッシュがローレライに貸していた体は地面に倒れていて、意識は取り戻したが動ける状態ではない。
    「星の藻屑と消え去りなさい……ビッグバン!!」
     具現化されたレプリカネビリムの大規模な譜術は、巨大な光の塊を薄暗い洞窟の中で爆発させた。
     何が起こったのかわからないまま、アッシュは強い力で抱き起こされた。誰かの真っ白な服の袖が視界を覆う。同時に頭部を抱え込むように抱きしめられる。強く、強く。それが当たり前であるように。
     次の瞬間、アッシュが聞いたのは彼がこの世で最も聞きたくない音だった。それは、彼が子どもの頃将来を誓った、幼馴染の悲鳴だった。空気を切り裂くような、それでいて声にならないような、魂が凍りつくような声だった。
     光と轟音の中、谷底に落ちたような絶望感が、アッシュから再び意識を奪っていった。

     誰かの泣き声がした。救護室で目を覚ましたアッシュは、その声に聞き覚えがあった。
    「泣かないで、ルカ」
     アッシュが目覚めた部屋の外で、ルカの嗚咽が聞こえる。慰めているのはジュードだった。2人とも医療の心得があるため、アニーやアトワイトと共によく仲間の手当てをしている。
    「だって、ナタリア……もう戻らないって」
    「僕たちにはどうしようもないんだ。今アトワイトさんが一緒にいてくれてる」
    「でも、やっぱり……!」

    「どういうことだ」
     いつの間にか、眠っていたはずのアッシュが目の前に現れ2人は目を見開いた。
    「ごめん、聞いちゃったんだね」
     ジュードは、いつものように肘を曲げて自分の腕を掴むと目を逸らすように俯いた。
    「でも、僕からは何も言えないよ」
    ルカの嗚咽が廊下に響いた。

    アッシュがナタリアの部屋に向かう途中、アニーが駆け寄ってきた。
    「アッシュさん!目が覚めたんですね」
    「……ナタリアの様子は」
    途端にアニーの顔が曇る。しきりに自分の髪を触り、周りを気にしている。何かを言おうか言うまいか迷っている様子だった。
    「今は、」
     やっと口を開いても、言葉を選んでいるのか途切れ途切れになる。
    「……会わないほうがいいと思います」
    「なぜだ」
     アッシュは極力平静を装い、ナタリアを診てくれたらしい目の前の少女に問いかけた。
     しかし、アニーは次の言葉を紡ぐことはなかった。廊下の向こうからアトワイトが呼んでいた。次の診療があるようだ。アトワイトは疲れた表情で、
    「私も、今はやめておくべきだと思うわ」
    とだけ言って去って行った。アニーもアッシュに小さくお辞儀をして後を追った。

     それから何日過ぎても、アッシュがナタリアに会えることはなかった。一部の医療班を除き、誰も詳しくは事情を知らないようだった。アッシュの焦りと怒りは日に日に増していった。
     
     それは、突然だった。何をするでもなく気がつくとナタリアの部屋の前にいたアッシュは、ドアが開く音に心臓を掴まれるような衝撃を受けた。
     金髪の少女が立っていた。
    「やっと直りましたわ!!!!」
     思い切り開けたドアの風圧で、ナタリアの髪が揺れている。
    「あら、アッシュ!無事に目覚められたと聞いていましたがちょうど良かったですわ!」
     あらゆる感情が押し寄せてアッシュから言葉を奪った。目の前の少女は、以前と何かが違っていた。
    「見てくださいませ!生まれ変わった私の髪を!レプリカネビリムの譜術で羊のようにモコモコになってしまっていたのですが、医療班の方々に相談しても全く取り合ってもらえなくて。ハロルドやリタ、パスカルに頼んだ装置でやっと直してもらいましたの!ほら、前よりもまっすぐで艶もあってきれいでしょう!私、あなたが目覚める前になんとしても」
     次の瞬間、ナタリアの視界は覆われていた。黒い袖が当たり前のようにナタリアの頭部を引き寄せると、強い力で抱え込んだ。
    ナタリアは息苦しさに身をよじって離れようとしたが、逃すまいとしてさらに強く抱きしめられた。
    「お前は」
    ナタリアの頭の上で、アッシュはやっと口を開いた。
    「痛いと言わないんだな」
    気が済んだのか、アッシュは腕を緩め少し体を離した。
    「仕返しだ。あの時の」
    ナタリアの脳裏にレプリカネビリムからアッシュを庇った瞬間がよぎった。
    ナタリアはアッシュを押し返すと、痛みなの羞恥なのか頬を紅潮させて睨みつけた。
    「それはあなたでしょう!元の世界でも、ここでも……だからこそ私は、ジョニーを救う時ローレライに身を委ねるあなたを守ることを誓ったのです、あなたを2度と1人にしないために」
    「……ルカ達から、お前のほうが酷い怪我だったと聞いた」
    心に浮かぶ様々な感情を抑えて、彼は言うべき言葉を選びとった。
    「ありがとう、ナタリア」

    「良かったですね、アッシュさんとナタリアさん」
    「僕はちゃんと言ったんだけどね、僕たちにできることはないですって」
    「まあ、ヘアスタイルのことはねえ……頭部は外も内側も無事だったし」
    「でもすごく悩んでてかわいそうで、僕本当に涙が止まらなかったよ」
    「ルカは優しいね。でも好きな人の前では最高の自分でいたいって気持ち、僕もわかるよ」
    「なんだか素敵な話ですね」
    「『こんな姿でアッシュに会うわけにいきませんわ!』ってしつこく言われた時は、てっきり心配させまいとして早く怪我を治そうとしているのかと思ったけどね」
    「それにしてもあの2人、治療の間ほぼ相手の話しかしてなかったよね」
    「もうしばらくは怪我しないことを願うわ、2人とも、ね……」
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    circle_mlc

    PASTアビス本編軸、モブ目線のナタリア小説です。
    インゴベルト私室にあるナタリアの肖像画を描いた画家という設定のオリジナルモブが登場します。
    カップリング要素はありません。
    昨日ポイピクにログインしたところ、なぜか削除されていたので再投稿します。以前お読みいただいた方、スタンプを送っていただいた方、本当にありがとうございました!
    この腕が支えるもの彼女が部屋に入ってきた瞬間、空気が変わった。小声でおしゃべりをしていたメイドたちは背筋を伸ばした後、小さな少女に深々とお辞儀をする。部屋の入り口に立っている兵士も、開いた扉の隙間から敬礼している姿が見えた。この空間の主は今、この金色の髪の少女なのだ。
    「あなたが、私を描いてくださる方ですの?」
     よく通る凛とした声。真っ直ぐにこちらを見て微かに微笑んでいる。
    「その通りです、ナタリア殿下。本日はどうかよろしくお願いします」

     「私、あなたが描いたお父様とお母様の絵、大好きですわ!お父様の横顔は凛々しく、お母様は優しそうで」
     椅子に座ると、殿下は年相応の屈託のない笑顔を見せた。それでも、揃えた膝の上にきちんと手を乗せた美しい座り方で、絵を描きやすいよう気を遣っているようだ。
    3448

    circle_mlc

    DONE【字コンテ】アップルグミ感謝祭2022にて展示した漫画の続き、の字コンテです。一応エンドマークまで書いてありますのでどんなオチかだけ知りたい方はご覧ください。
    【捏造設定が多分に含まれます。】
    ナタリアはラルゴに育てられていて、実の母親も健在です(出てきません)
    ナタリアはオールドラント童話という絵本に出てくるうしにんのエリオンが大好きという設定です。
    キムラス家の休日(後半、字コンテ)続きからいきなり始まります(書き文字)
    ラルゴ「仲良くだな」
    アッシュ「仲良くだぞ」
    (睨み合っている)
    ナタリア「あ、あの!」
    ナタリア「この園内マップにあるうしにんのマークは何なのでしょう?」(手にした紙の地図を指差す)
    アッシュ「それはナム孤島だな。うしにんのエリオンに会える場所だ」
    ラルゴ「行ってみるか?」
    ナタリア「エリオンに会える…⁉︎」(ウニフラ)
    (後ろにかわいいエリオンのイメージ絵、手を振って歩み寄ってくる)
    ナタリア「行きたいですわ!」
    うんうんと頷くアッシュとラルゴ

    (ナム孤島外観)
    入り口でヨークが施設の説明をして呼び込みをしている
    ヨーク(パークキャスト)「ここではエリオンとご挨拶したり写真を撮ったり出来るぜ〜」
    (並んでいる3人)
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