星屑と嘘つき 星を見に行こうと誘ったのは、気まぐれだった。世界に取り残されたように佇む男が気にくわなかったのかもしれない。ユリウス・ユークリウス。紫の髪に金の瞳。息を飲むほど美しい容姿を持つ男。だが、騎士としての実力は本物で『最優の騎士』と呼ばれる存在だ。――その『最優の騎士』を覚えているのは、今では俺しかしないのだが。
「ユリウス」と声をかけると酷く動揺していたのを覚えている。星のように美しい瞳が、零れてしまうと錯覚するほどに大きく開かれた。
「スバル……」
ユリウスの声は少し震えていた。薄い唇を噛み締める姿は何かを必死に耐えているようで痛々しい。
「星、見に行かないか」
「……星? なぜ、星を眺める必要がある?」
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