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    おわり

    @owari33_fin

    アズリドとフロリドをぶつけてバチらせて、三人の感情をぐちゃぐちゃにして泣かせたい

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    ミーティア3️⃣ Az-20 『それはあまりにも幸福な……』

     抱き上げたサミュエルと共に帰路に着く。僕の肩に甘えるように額を擦り付けるサミュエルに、子供たちを見つめて愛しいと微笑むリドルの面影があった。リドルはアスターやサミュエルを『父親に似た』という事が多いが、僕からしてみれば二人はリドルにそっくりだ。感情豊かに笑って、全力で生きるその姿は、まさに僕が好きになったリドル・ローズハートそのものじゃないか。
     毛先の赤いターコイズブルーの頭を撫でてやると、サミュエルがニコリと笑う。
    「とうさん、大好き!」
     母さんもアスターも、おじいちゃんもおばあちゃんも大ばあちゃんも、みんなみんな大好きと、そう微笑むサミュエルに、「僕もお前が好きだよ」と返せばギュッと首にしがみつくサミュエルが嬉しそうに鼻をグズグズと鳴らしてまた小さく泣いていた。

     帰宅すれば、心底ホッとしたリドルの頬が、あの青ざめた色からほんのり赤みを取り戻していて僕も安心した。
     リドルが夕食を用意している間に、サミュエルと僕も汗や汚れを落とそうとすれば、いいなぁと羨ましがったアスターも風呂に入ってきて、結局いつもの様に三人で入浴し、サミュエルの髪を洗ってやれば、前方の鏡越しに僕を見たサミュエルがニコリと鏡の中の僕に向かって笑い、それをアスターに指摘され二人で笑っていた。
     風呂から上がれば、いつもなら身体をバスタオルで拭いて新しい服を着せる間も遊ぼうとする二人は、今日に限ってサミュエルが僕にべったりとくっ付いていたせいで苦なく着替えさせられた。
     リドルの作った夕食はいつも以上に美味しく感じ、いつもの様にたくさん食べる二人につられて僕までお代わりしてしまった。リドル達と暮らして初めておかわりした僕に、リドルは目を大きく開き、その後嬉しそうに空になった皿を受けとってくれた。その瞬間までは摂取カロリーを頭の中で計算して、今日はよく動いたからいいだろうと自分を納得させていたが、こんな風におかわりすると喜んでくれるリドルを知ってしまったら、今後も軽率におかわりしてしまうかもしれない。
     食事の片付けを終え、リドルが二人を寝かしつけてくると言えば、ペタペタと足音を立ててサミュエルが僕の足元に抱きつく。
    「おやすみなさいとうさん」
     今日は特に甘えたのサミュエルに、リドルの様に額におやすみのキスをしてやれば、アスターが「ずるいサミー!」とぼくもと額を見せてきたから、頭を撫で同じ様にキスをしてやれば、二人は顔を見合わせ、リドルより先に手を繋いで二階への階段を駆け上がっていった。
     リドルの様に二人の額にキスをした僕に嬉しそうに微笑むリドルは、行ってくるねと寝室に向かい、僕は一人、おやすみのキスなんて気恥ずかしいものを、自分からしておいて恥ずかしくて赤くなった頬を隠す様に口元を手で覆った。
     リドルに恋をして、その延長線上で僕は二人の父親になっただけだったのに、今はリドルの事を抜きにしても僕は二人を自分の子だと思い、愛情を二人に抱いていた。リドルに恋をする前の僕が今の僕を見たら、我ながら気色悪がって信じられないと「一度頭の中身を洗濯してみては?」と言って眉を顰める辛辣な姿が安易に想像できる。
     リビングのソファーに腰掛け、そんな事をぼんやり考えていると、二人を寝かしつけたリドルが僕の隣に座り、少しの沈黙の後、僕はとつりと話し始めた。
     サミュエルとの事を話せば、アスターもリドルにサミュエルとよく似たジェイドとの関係を聞き、リドルは、サミュエルには僕以外にもう一人血の繋がった父親がいると答えたようだ。
    「キミは?」と聞かれて、今日の一連のやり取りを思い出し、一瞬で首まで熱を持つ。
    「僕は……サミュエルに『父さんの子がいい』と泣かれて、他の誰が何と言おうが、お前の父親は僕だと言いました。あなたに結婚を申し込んだときは、二人をここまで愛しいと思うなんて想像がつかなかった。でも、日々成長していく二人を見て、僕は、リドルさんとの契約なんて関係なく、彼らの父親で有りたいと……そう、思った……思ってしまった……!」
     最初は、必死に子供を産もうとするリドルの事を理解できず、子供のことばかりで自分を蔑ろにするリドルに腹が立った。子供の事も話を聞いても全く可愛いなんて思えなくて他人事だ。そんな僕が、一緒に暮らして二人と間近に接して、あの時と雲泥の差の今をリドルに知られるのはやはり恥ずかしい。
     なのにリドルは、嬉しそうに僕の身体に抱きついた。三つある心臓が跳ねて、驚いてリドルを見つめれば、嬉しそうな顔が目の前にあった。
    「今日ほど、キミがいてくれてよかったと思ったことはないよ。アズール……」
     おずおずと、リドルの細い腕が僕の背中回され、密着したリドルの身体、そこからほのかに香るリドルの香りに、僕はリドルに抱きしめられているんだと理解すれば、酷いぐらい心臓が大きく鳴る。なのにリドルは、僕にトドメをさそうとしているのか、ゆっくりと目を閉じた。その姿、これは僕がこの先に踏み入るのを許してくれると言う事なのか?
    「リドルさん、本当にいいんですか?」
    「いいよ……ボクの全部、キミにあげるよ」
     その瞬間、箍なんて一瞬で外れた。リドルの唇に唇を重ねて、何度も、何度だって角度を変えて深く唇を重ね、僕はあれ以来ずっと夢見ていたリドルの身体に触れた。唇を重ねたまま、座るソファーに押し倒して、早急にワンピースのボタンを外し、しっとりした肌を手のひらで触っても、リドルは抵抗せず、ただ小さく声を漏らすだけだった。
    「好きです、リドルさん……ずっとあなたを、僕だけのものにしたかった……!」
     何度も角度を変えてリドルの唇に、頬に、耳に、首にキスをして、好きだと愛を囁き、リドルの身体の深くまで僕のペニスで埋めれば。腕の中、溺れるような快感の波に翻弄されたリドルは、耐えられない快感に声を殺し背に爪を立てた。その痛みさえ愛しくて、手をとって指先から手首にまで唇を這わせキスをする。
     やっと僕の腕の中に閉じ込めたリドルは、僕のこの思いを自分から受け入れ、その細い身体の奥深くで僕の熱を受け止めた。
     行為の後、リドルにくっついた僕が何度もキスをすれば、リドルは「くすぐったいよ」と言いながらも、あの苦しげな表情をする事なく、僕の腕の中で微笑んでくれた。


     *

     ふと……リドルよりも熱い体温に意識が浮上した。目をうっすら開けると、経済誌を読みながらソファーで眠てしまった僕に、アスターとサミュエルがくっついて眠っていた。今見ていたのは夢に見るほど、僕が何度も噛み締める幸せだ。それは今、僕の目の前にある。
     僕の手の届かない場所にあったリドルが、僕の隣を歩き、その間には満面の笑みで僕を『とうさん』と呼び慕う二人の子供たち。自然と、幸せだと……これ以上の幸福などないだろうと言う気持ちが、僕の心を満たしていた。
     暖かい体温に、さらに意識が微睡、僕はもう一度夢の中に身を揺蕩せると、僕たちを見てくすりと微笑むリドルが、持って来た毛布を掛けた。ずっとこの先も、こうしていられたらと、僕は願った。

     けれどその願いは、どれだけ願っても叶わなかず……僕は運命に負け、世界はどこまでも僕に無情だった。
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