心の求めるままに手を伸ばして――投げ出されたプライドの左手首を掴んだ。
ようやく捉えた体温は、泣きそうになるほど温かい。
何十回と伝えた言葉だ。そして、この先何百回と伝えたかった言葉だった。
もうこれが、最後の一回。
「傍に、います」
今度こそ届いたステイルの声に、プライドがほんの少し手首を見るような仕草をした。風に煽られた髪の下は影が深く落ち、その表情は終ぞ見えなかったけれど。
届いたのなら。傍にいられるのなら。それでもかまわないと、ステイルはプライドをかき抱いた。
***
星空へも別れを告げるように目を閉じた。
どうしてか、ほんの少しだけ左手首が温かく感じたけれど。
きっと、そんなの、気のせいだろう。
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